皆の飛鳥IIのイメージを180°変えたい…!
こんにちは! 旅するフリーランス女医、えりおです。
週の半分ほど医師として従事する傍ら、総合旅行業務取扱管理者の資格を生かし、品格ある優雅な旅へ――体験した旅の情報は、現在メンバーズメディアのほか、ブログなどを通じ発信させていただいております。
依然として継続中のコロナ禍、旅行・宿泊業界は多大なるピンチが続いております。クルーズも同じでありましょう。
一方で「新しい生活様式」「新しい旅スタイル」が提唱される中、感染対策を万全に、生き残っているホテルや宿があるのは動かぬ事実。
飛鳥II、はたまた飛鳥IIを有する郵船クルーズさんもその一つではないでしょうか。
私、実はコロナ禍&飛鳥II改装前の最後のクルーズと、改装後のクルーズ、計2回乗船しております。
制限がある中での2度目の乗船…、新鮮味がなくなったり、最初に乗船したほどの感動が薄れてしまうのではないか、と思いきや、全くそんなことはありません。むしろリピーターとして乗る方が楽しく、ますます飛鳥IIのトリコになってしまうほどのものでした。今となっては飛行機で海外に行くことにはほとんど興味が薄れ、むしろその何回か分で飛鳥IIに乗船したいくらいなものです。
その一因として、医師としても学びとなる、乗組員(以下クルー)の卓越したホスピタリティというのがあります。
前回、飛鳥IIの絶妙な船の大きさと乗客定員、クルーとの人数比などから、そのアットホームとも言えるサービスが生まれる理由に迫りました。
今回は、一度乗ったら離れがたくなってしまう、飛鳥IIの魅力にクローズアップし、医師としての学びについても、併せてお伝えしていこうとおもいます。
飛鳥IIならでは!クルー達の「おもてなし」
クルーは日本人と、フィリピンなどから来られた陽気な外国人で構成されています。クルーズ中は毎回といっていいほど、さまざまなクルーと、たくさんの楽しいひとときを過ごすことができます。
レストランやカジノにおいては、常に乗客に目を光らせ、こちらが物欲しそうにしてることを発見するや否や、すっ飛んできてくださるのは基本中の基本です。クルーズ中、待たされたことがないです。
が、そんなことやこんなことより、今回ご紹介したいのはもっとコアな部分です。
外国人クルーの言葉遣いの完璧さ
まずご紹介しておきたい、主にレストランやビュッフェなどで登場率の高い外国人クルー達。
世間話や混みいった話こそ、たどたどしい日本語ではありますが、接客・接遇における振る舞いや言葉遣いはそこいらの日本人なんかとは比べ物にならず。敬語は私より確実に正確に話します。
彼らを見ていると、自分も日本人として、物書きとして、きちんと敬語を使いこなせるようにならねばと、あらためて敬語の復習をしたものです。
名指しで挨拶いただく率の高さ
次に心打たれたのがこちら。
特に名指し率が高かったのが、ハウスキーパー、ディナーの給仕さん、カジノ長です。朝食を食べに、部屋から出るや否や、外国人ハウスキーパーから「オハヨウゴザイマス、キッタサマ~」。ディナーでも「コンバンワ、キッタサマ」、カジノでも気づいたその時に普通に「キッタさん」と呼ばれておりました。
各客室のハウスキーパーはクルーズ中固定されていて、私の部屋に入るハウスキーパーはクルーズを通して一人しかおりませんでした。それだけに、自分の担当するゲストの部屋と顔と名前は必ず把握しているようです。
メインダイニングでのディナーの座席も、コロナ禍には指定席制になりましたので、テーブルを担当する給仕たちは必ず担当する乗客の名前を覚えています。
カジノ長の谷村義治さんに至っては、飛鳥IIのカジノ好きであれば誰もが知っている、その接客・接遇の素晴らしさが船内で表彰されたこともあるくらいな、名物オジサマでいらっしゃいます。
変に馴れ馴れしく感じることなく、気づいたら客の懐に入り込み、「またカジノへ遊びに来たい!」と思わせる接客スキルは大変に素晴らしい。初めてカジノを訪れた時は、様子見程度で、決して長い滞在時間ではなかったにも関わらず、次に訪れた瞬間、普通に「お帰りなさい、橘田さん。遊んでいかれますか?」と名前で呼ばれるようになってました。
カジノ長の谷村さんと
「おはようございます」というだけでなく、「おはようございます、橘田様」と呼ばれてみると、ちょっとのことであるのに、なんだか自分が特別なゲストであるかのような気分になってしまいます。
これもふりかえれば外来で、果たして患者さんの「名前」をここまで意識したことがあるかと、考えるきっかけとなりました。
外国人クルーの直筆メッセージ
今でこそ、電子カルテの時代となり、字のキタナイ私でも世の中に通用してしまう、大変いい時代となりましたが、それだけにやっぱり直筆の手紙は今後なくならないし、ここぞという時の決め手になります。
外国人クルーが要所要所で繰り出してくる、たどたどしいひらがなで書かれたメッセージカードを目の当たりにして実感したことです。
ディナーテーブルでのこちら、クルーからのおもてなし精神もそうなのですが、クルーのお名前をお知らせいただくことにより、こちらからクルーに対して親近感が湧く効果もあります。
現に、2019年末のクルーズでお世話になったクルーを覚えていたことで、今年の4月のクルーズで嬉しい再会を果たすことができました。
お正月、ベッドの上にはハウスキーパーさんからこんな素敵なメッセージと折り鶴が。
彼らのたどたどしいひらがなを、なぜか愛らしく感じてしまうのは私だけではないと思うのですがいかがでしょうか。
あらためてこう見てみると、自分の字がキレイだのキタナイだの言っていたことが、くだらなく思えてきます。
直筆の文章って、キレイに書くか、ではなく、心を込めて丁寧に書くか否か。それは必ず読み手にも伝わるものだとあらためて思いました。
以来、私もここぞ!という時は直筆でメッセージを書くように心がけています。
カルテや紹介状、ともなるとここまでの愛情を込めて書く自信はないので、あれは電子化でいいかなとは思います。スミマセン…。
こんな感じで、乗船すると、本当に良くしてくださるクルーの皆様。並大抵の努力ではあそこまでの接客・接遇スキルは身につかないと思うのです。
仕事への取り組みや姿勢として、医師としても考えさせられるものがあります。
それだけに、なかなかクルーズを出発させられず、大さん橋に停留していた時期は皆様それぞれ複雑な思いを抱えて過ごされていたそうです。
クルーズに出られない…その時クルー達は
船内のショーやイベントを統括するクルーズディレクターさん曰く、船内では4ヶ月働いて、2ヶ月お休みが基本だそうで、トータルして年間250日ほど、船の上にいるのだそうです。
どうやら、船がクルーズに出ていない時も、船内に寝泊まりしてお仕事されているスタッフと、そうでないスタッフがいらっしゃるようなのですが、このクルーズディレクターさん、どうも船が出港しないときはお呼びがかからなかったようで、食いつなぐために知り合いのお店でお寿司のデリバリーのアルバイトをされていたようです。
食いつなぐためにアルバイトといえば、カジノディーラーさん達も同様の状況だったようで、スーパーでレジ打ちの仕事をされていたそうです。
今年の4月に乗船した際に、ディナーのテーブルを担当していただいた外国人クルーのマークさんからは、ある日突然こんなカードをいただきました。
女子力高すぎです
2月、3月と、ずーっと出港できず、乗客相手にお仕事ができなかったため、合間の時間に、こういった絵を描いたりしてたそうです。
ゴールデンウィーク中に新型コロナウイルス陽性者が見つかり、クルーズ半ばで横浜にUターンしたあの一件以来、なかなかクルーズに出られていない(8月からようやく動き出すようですが)飛鳥IIをみるのはもどかしくもありますが、焦りすぎず、ゆっくりと本来の業務に戻ってほしいと思います。そのためにも、こうした飛鳥IIの実態を、より多くの皆様に知ってもらえたらと思うのでした。
次回は、「コロナ禍でも生き残る宿泊施設2021」をお届けします。2020年度版に続き、その後私自身が新たに宿泊したホテル・旅館を厳選してご紹介し、この時期でも「生き残れる」理由を私なりに分析させていただきます。どうぞお楽しみに!
===========(本文ここまで)
編集後記:
校正担当のTさんから、以下のコメントいただきました。
なかなか知り得ないクルーのみなさんの状況に驚きました。
(マークさんから頂いたカードのくだりにつきまして)
ここ、おもしろかったです笑 マークさんに会いたくなりました!
同じく校正担当のKさんからは、以下のコメントいただきました。
飛鳥IIの魅力を語っていただいたことで、飛鳥IIに対する印象が180度変わりました。読者の方にも魅力を伝えるとともに、考えるきっかけを与えられるのではと感じます。
飛鳥IIに対して、まさにそういう反応がいただければと願って書きましたので、とても嬉しい❣️
一人でも多くの方にこちらを読んでいただき、共感いただければ嬉しいです
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