FXで90%のトレーダーが負ける原因は?答えは脳の4つの癖だった

FXに新規参入した人の90%が、半年から1年以内に撤退を余儀なくされる」、と一般的に言われています。

僕も昔、FXに新規参入したときは、トレード初日に80万円を50万円まで溶かすという大敗を演じて、1ヶ月もたずに撤退させられた経験があるので、この数字は感覚的によくわかります。

また、僕の周りを見渡しても、株やFXの短期トレードを始めた人の多くが、大きな損失を被って、短期間でやめてしまうケースが多いようです。

では、どうして株やFXの短期トレードは、勝つことがこれほど難しいのか?

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元先物トレーダー 麦恵成

僕は2017年に当サイトを立ち上げた際に、「ご挨拶」の中で、「人が本能的に持っている感覚を『トレード脳』に変えなければ群衆からは奪えない」と書きました。

ここでは、その内容を、脳科学をもとにさらに具体的にお話ししていきたいと思います。

FXで90%のトレーダーが負ける原因は、人間の脳が持つ4つの癖がトレードに適していないからだった

FXで90%のトレーダーが負ける理由は、人間の脳が持つ4つの癖がトレードに適していないからだった

では、さっそく最新の脳科学による、「短期トレードで初心者が勝てない原因となる人間の脳の4つ癖」

  1. プロスペクト理論
  2. 過去から未来を予測する
  3. アンカリング・バイアス
  4. 後悔理論

それぞれについて見ていきましょう。
90%のFXトレーダーが、大きな損失とともにこの世界から去っていく「落とし穴」から、回避するヒントを見つけることができるかもしれません。

脳の癖その1 プロスペクト理論

絶対に損をしたくない

人間の脳は、「利益を得ること以上に、損失を被ることを嫌がる」習性があるそうです。
ピンとくるのは、「ロスカット(損切り)をする瞬間の嫌〜な感覚」ですよね。

当たり前ですけど、同じポジションの決済でも、利益を確定するよりも損失を確定するときの方が、はるかに大きなダメージが心に加わる気がします。

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元先物トレーダー 麦恵成

実際、心理学では、人間は勝つ喜びの2倍のエネルギーを負けた際に感じてしまうそうです。

人間に備わったこの本能のよって、僕たちトレーダーは「ついついロスカットするタイミング」が遅れがちになってしまうんでしょうね。

で、この習性によって、最初は小さかった含み損を、命取りになるほど大きく膨らましてしまったトレーダーが、撤退、あるいは強制退場させられてしまうことになります。

この、トレーダーが絶対に避けなければいけない心理ついて、僕自身の痛〜い経験を下(↓)の記事に書いてありますので、参考になさってください。

脳の癖その2 過去から未来を予測する

過去と未来の為替レートに因果関係はあるか?

例えば、直近の5日間のドル円チャートが順調な右肩上がりを示していたとします。
そのうえで、あなたは今日のドル円相場は「上がる確率が高いか?」それとも「下がる確率が高いか?」どうお感じになるでしょう?

一般的な感覚としては、この5日間、毎日ドルが円に対して値を上げてきたわけですから、「今日も上がる確率が高い」と考えてしまうのが普通だと思います。

でも、誰もが当たり前に持っているこの感覚が、実は、気をつけなければならない脳の癖なんです。

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元先物トレーダー 麦恵成

本来、ドル円相場が「上・上・上・上・上」と5日連続したとしても、今日上がるか下がるか、その確率は50%です。確率論的に50%以外にはあり得ません。

それなのに、人間の脳は「上がり続けているから、今日も上がるんじゃないか」とか、「いや、そろそろ下がるころだろう」などと、勝手に考えてしまいます。

過去のチャート形状から、その先を推測する場合、往々にして「バイアスがかかった状態」で予測をしてしまっていることに、僕たちトレーダーは気づかなければなりません。

僕は当サイトで何度も「勘や予想は意味がない」と書いてきたのは、このことを言いたかったからです。

僕は、トレードをする際に、過去のチャートパターンを基に「環境認識」を行いますが、それは今後のレートを予想しているのではなく、むしろ、勝手な予想を排除するため、言い換えれば、脳の錯覚を排除するために、行っている行為なんです。

脳の癖その3 アンカリング・バイアス

レートが戻ったら売ろう

アンカリング・バイアスというのも、トレーダーにとって非常にやっかいな脳の習性です。

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元先物トレーダー 麦恵成

これは、「エントリーした際のレートがいくらだったか」を基準にして、今のレートを判断してしまう習性です。トレーダーあるあるですよね。

エントリーしてから、ずっと含み損状態が続いているとします、このとき、もし明確なロスカットポイントを決めていなかったら、たいていの人は「レートが戻ってくるのを待とう」とするでしょう。

そして、ようやく建値までレートが戻ってきたら、仮に「チャート形状がすごくいいカタチ」になっていたとしても、ホッとして決済してしまうんですよね。いわゆる「やれやれ売り」というやつです。

つまり、本来なら、今のチャート形状がどういった状態を示しているかでポジションをどうするか判断すべきなのに、「自分の建値」にばかりフォーカスして、正しい判断ができなくなってしまう状態です。

それでレートが建値まで戻ってきてくれれば、まだいいんですが、最悪なのは、含み損がどんどん膨らんでいき、その精神的痛みから開放されるために「諦めの段階」に入ってしまうことです。

この精神状態についても、以下の記事に詳しく書きました。

自分がエントリーした際のレートを無視するというのは、なかなかできることではないですが、すくなくとも「諦める」前に、「最大限許容できる損失額」だけは決めておかないと、いつかは為替市場から強制的に撤退させられる日が来ることになるでしょう。

そういえば、以前読んだウォーレン・バフェットの「スノーボール」という本に、まだ少年だったにもかかわらず初めて株を買ったバフェットが、「買った時の株価を意識しない」ことを自らの教訓とする場面がありました。

エントリーした際の価格を強く意識してしまうと、その後の冷静な判断ができなくなるということを、バフェットは少年のころにすでに気づいていたんですね。

脳の癖その4 後悔理論

あとから後悔したくない

「あとから後悔したくないから、いま行動する」というのは、人生においては大切なことのように思います。
僕も常にそのことを意識しながら生きてきたつもりですから。

ところが、ことトレードにおいては、「飛びつく前に、もう一度冷静に考える」ことを心がけた方がいいかもしれません。

これは、「あのとき買っておけばよかった」「いま買わないと損だ」「早くしないと乗り遅れる」といった、トレード中によく湧き起こる感覚で、トレーダーを衝動的に突き動かします。

でも、急に飛び乗ったトレードって、みなさん上手くいったケースと、失敗したなっていうケースと、どちらが多いように感じますか?

僕の場合は、圧倒的に後者のように感じます。

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元先物トレーダー 麦恵成

過去に、「トレード日記」の中で、数えきれないほど含み損を抱えた苦しいトレードをご紹介してきましたけど、こういうときって、僕がよく言う「ローソク足のケツを追いかけてしまった」ときに、けっこうやらかしてるんですよね。

要するに、「ローソク足が伸びたのを見て、今がチャンスだ!」と、とっさにエントリーしてしまったケースです。

こういった感覚に動かされたトレードは、そもそも理論にのっとってないので、勝つ確率は非常に低くなってしまいます。

「後悔したくないから飛び乗ったトレード」が、結局は、「飛び乗ったことを後悔させられる」という、皮肉な結果になるのが毎度のパターンなんですよね。

ここまでのまとめ

僕は、過去の手痛い経験から得た教訓をみなさまにお伝えしようと、いろいろと言葉を変え、視点を変えながら、当サイトの記事を書いてきたわけですけど、今回、あらためて「脳科学」の理論と照らし合わせてみると、より「腑に落ちやすい」内容になったのではないでしょうか?

僕の経験は、トレードの現場で得た「トレーダーにしかわからないもの」ですが、その個々の失敗を説明するのは、トレーダーよりも「脳科学者の言葉」の方が適しているのかもしれません。

FXのトレードに必要なのは、頭の良さよりも感情をコントロールする能力

FXのトレードに必要なのは、頭の良さよりも感情をコントロールする能力

ここまで見てきた「脳の癖」について冷静に考えてみると、実はトレーダーに求められる要素は、頭の良し悪しではなく、「心をコントロールする能力の方が大切」だということなんですよね。

僕が、そもそもこの「FX トレーダーズマインド」という、トレーダーの心理面をテーマにしたサイトを立ち上げた理由は、自分の過去の経験から、トレードに必要なのは、FXに関する知識や経験はもちろんとして、それ以上に「トレーダー自身の心の問題」が、トレード成績に大きく左右することをみなさんにお伝えしたかったからです。

僕は、自分で言うのもなんですが、先物取引会社に勤めていた時代、世界経済や金融、マーケットに関する知識は社内の他のトレーダーよりも豊富に持っていたつもりでした。

にもかかわらず、トレード成績はトップどころか、下から数えた方が早いといったようなありさまでした。
はじめのうちは、そのことが不思議で仕方ありませんでした。

相場というのは、「知識を持っている者が、知識を持っていない者から奪うゲーム」だと思っていたのに…。
だからこそ、知識だけは誰にも負けないようにと、勉強してきたのに…。

人間は、心が落ち着いてないと正しい判断ができない

それで、あるとき気づいたんです。
「トレーダーには、知識や経験以上に大切なものがある」ということに。

それが、「心の問題」です。

先物取引会社時代やFX初心者時代の僕は、トレード中に「緊張している」ことが多かったんです。というか、常に緊張状態でモニターをにらみつけていたように思います。

そのときの精神状態とは、「負けることに対する恐怖心」や「勝ちたいという欲望」の、どちらか一方に支配されていたり、あるいはそれぞれが常に大きくなったり小さくなったりしながら、心の中を行ったり来たりしていました。

自分の心なのに、自分ではまったくコントロールできていない状態だったんです。

自分の心の状態をコントロールできていないトレーダーが行ったトレードが、どんな結果となるかは言うまでもありません。
人間は、心が落ち着いてないと正しい判断ができないわけですから。

当然ながら、僕は数々の手痛い失敗を繰り返してきました。

僕がこれまでに書いてきたことは、未熟な自分に対する戒めだった

僕が「FXトレーダーズマインド」で書いてきた内容は、自分が過去に経験してきた失敗と、そこからなんらかの教訓を得るためのものでした。

そして、同じ過ちを繰り返さないこと、つまり、自分自身に対する戒めです。

加えて、トレーダーとして僕が抱えている問題は、きっと、他のどこかにいるトレーダーの悩みでもあるはずだと。そんな思いから、これまで記事を書き連ねてきました。

「心の問題」は、常にトレーダーの中に存在し、決して消えることはありません。

当サイトの記事を通して、僕が過去に経験した失敗や、そこから得た教訓が、すこしでも悩みを抱えるトレーダーのお役に立てるなら、たいへん嬉しく思います。

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麦 恵成(バク ケイセイ)
名前:麦 恵成(バク ケイセイ)
生年月日:1970年11月8日
出身:兵庫県神戸市
職業:FXトレーダー兼ファイナンシャルプランナー。元先物取引会社勤務。現(株)エンスージアズム代表取締役。
自己紹介:トレーダー歴はトータルで約20年になります。
主戦場は為替。他にダウ先物・225先物・原油先物など。
現物株は高配当銘柄の長期投資中心。少しだけ新興市場のグロース株も。
Twitter:https://twitter.com/BakuKeisei

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