(何なんだ?あれ…)
ポカンと口を開けたままの裕太に向かい、
「どうだ?やっと納得したか?」
勝ち誇ったように、ジュンペイが言う。
「あぁ~そうだな」
魂が抜かれたような状態で、裕太は上の空で返す。
なんだ?あれは。
オオトカゲか?
いや、新種のコウモリか?
翼の特徴が、コウモリに似ている。
鳥?
いや、あんなデッカイ鳥なんて、見たことがない。
しかもあの翼らしきものを、あまり動かすことなく、風に
乗るように、悠然と飛んでいる。
「タコみたい…」
ポツンと裕太がつぶやく。
「タコ?はっ?何を言っているんだ?」
ジュンペイがわざとお茶らけて、手足をクネクネとさせて、
唇を突き出す。
バカにしているのか?
裕太はカァッと、顔を赤くして、
「そっちのタコじゃない。
カイトの方!
飛ばす凧!」
大きな声で怒鳴り返す。
裕太が語気を強めたことに、ジュンペイは一瞬ひるんだようなのだが、
すぐにヘラヘラとして、
「あぁ~このタコ野郎の方じゃなくて、ムササビみたいな感じ?」
だいぶ、ズレたことを言う。
だが颯太は、ニコニコと裕太に笑いかける。
「そうだね、ボクもそう思ってた」
裕太はそれにホッとして、
「そうだろ?」
さすが、ソウタだ、と顔を見合わせた。
「なぁ、知っているか?
例の中学生、恐竜に助けられた、って言っているらしいぞ」
ジュンペイが裕太に向かって、大きな声で話しかける。
「恐竜?」
「そんな恐竜なんて、どこにいるんだ?」
呆気にとられた顔で、裕太と颯太が同時にジュンペイに尋ねる。