「心配してくれて…ありがとう」
よしっ!と気合を入れると、
「だけど…カギがかかっているのかもしれないわ」
ナイトを振り返る。
ナイトは軽く肩をすくめてみせると、アキをうながす。
(開かなくても、知らないわよ)
思い切ってアキが、扉に手を触れる。
いきなり現れた、とは思えないくらい、ガッシリとした
立派な木の扉だ。
黒い金属の縁取りがしてあって、とても簡単には、破られたりは
しないように見える。
黒い取っ手に手を触れると、それは今までに使い込まれたように、
うっすらと指紋が見えてくるようだ…
ゆっくりと、押してみる。
思いがけず、手ごたえを感じる。
(開いてる…)
思わずナイトを振り返ると、
「キミを招待したんだから…歓迎してくれているんだろう」
当然という顔をして、
「開けてごらん」と、アキに声をかける。
「はい」
緊張のあまり、手に汗がにじんでくる。
ふぅ~っと息を吐くと、ぐぃっとさらに押す。
すると…音もなく静かに、ゆっくりと扉が開いた。
「あいた…」
アキのすぐ後ろで、カガリがつぶやく。
いつの間にかナイトが、アキの肩に軽く手を触れている。
「大丈夫だ」
安心させるように、ナイトはアキに声をかけてくる。
開いた扉の向こうは…思ったよりも、小さな部屋のようだ。