今回はジョン・カーペンター監督「ゼイリブ」(1988年)。
SFホラーですが、風刺劇の作りとなっています。
"6.10.12 - "They Live"" Photo by Movies in LA
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格差社会で失業者が溢れるアメリカ。
しがない労働者のネイダが都会に流れ着き、ホームレス支援キャンプで世話になる。
突然、キャンプのテレビが何者かにジャックされる。
テレビの男が視聴者に警告を発する。
ネイダはキャンプの傍の教会が電波ジャックの基地だと見抜き、そこでサングラスを手にする。
それはエイリアンを判別する道具だった。
サングラスを掛けたネイダは、広告や雑誌にサブリミナルで「従え」「眠っていろ」等の命令が刷り込まれていることも発見。
しかし、ネイダはエイリアンたちに存在を知られて追われる身になる。
同僚のフランクを巻き込んだネイダは、エイリアンに抵抗するレジスタンスに参加するが・・・というお話。
権力者とメディアに踊らされる大衆の姿や監視社会等々、シビアな風刺劇ですね。
エイリアンの存在を知った人間のとる道は2つ。
抵抗するか、従って大儲けするか。
前者は元の暮らしを取り戻すべく抗う人たち、後者は自分さえよければいい人たち。
主人公は前者の道を選びますが…。
80年代は大量消費・物質主義の極みだったので、一部の権力者や富裕層の意向でメディアに群集が躍らされていることへの警鐘を監督は鳴らしたわけですね。
ジョン・カーペンターの慧眼は80年代当時にとどまらず、未来まで見通していたのかもしれません。
現代のネット社会は、80年代当時よりさらに問題がエスカレート、格差も広がってしまいました。
「ゼイリブ」は現代社会を予見していたかのような内容です。
低予算映画ですが、サスガはジョン・カーペンター監督。
「ゼイリブ」は根強い人気を誇る作品なんですが、それには理由があるのでしょう。
現代社会では雑多な情報が氾濫していますが、結局自分がしっかりして賢明でいるしかないんですね。