「THE BATMAN-ザ・バットマン-」(2022年) | ネコ人間のつぶやき

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 「THE BATMAN-ザ・バットマン-」(2022年)は、人気アメコミヒーローをマット・リーヴス監督がリブート。若き日のバットマンを描きます。

 

 

 ブルース・ウェイン(ロバート・パティンソン)がバットマンを始めて2年。


 バットマンは犯罪がはびこるゴッサムシティを毎晩監視しています。

 

 さすがにバットマン独りでは街を護れないので、標的を絞り、他の犯罪者は恐怖のシンボルによって抑制・威圧していました。

 

 そんなバットマンは、犯罪者だけでなくゴッサム市警からも狂者として恐れられ疎まれています。


 唯一の例外がジム・ゴードン警部補(ジェフリー・ラッシュ)なんですね。

 

 さて、バットマン登場シーンが強烈。


 そこにヒーローの姿はなく、滅茶苦茶ヤバい男です。

 

 悪党のリーダーをズタボロに殴り倒して「俺は復讐だ」と言うバットマンに皆がドンびく。


 ブルースの強烈な怒りと憎悪は、自身を蝕み、その傷ついた繊細な心はギリギリの状態なんです。


 

 今回のバットモービルは60年代のマスタングをベースに製作されたらしいです。


 武骨で怒れる雰囲気と威圧感が本作のバットマンに合っていますね。


 ロバート・パティンソン演じるブルース・ウェインは、怒りに溢れながらも繊細で、粉々に壊れそうな危うい雰囲気。


 心の奥には今も無力で泣き叫ぶ男の子がいる、そういうブルース像を打ち出しています。

 

 セリーナ・カイル(=キャットウーマン)というキャラクターは、バットマンとの関係は複雑で、時に敵、時に味方、時に恋人という設定ですね。

 

 本作のゾーイ・クラヴィッツ演じるセリーナとバットマンの関係は、孤独な似た者同士の同情と共感が愛に変わる、そういう姿ですね。


 本作のセリーナからは、いわゆる悪女要素はあまり感じませんでした。

 

  個人的に「ダークナイト ライジング」のアン・ハサウェイ演じるセリーナのファム・ファタールっぷりが好きなんですが、本作のセリーナはもっとストレートな愛、という感じでしたね。


 

 僕の中でクリストファー・ノーラン監督版バットマン3部作「ダークナイト トリロジー」が基準になっているので、リブート作はハードルが高くなってしまいますね、どうしても。


 マット・リーヴス監督は原点回帰、コミックスのダークな世界観に立ち返り、独自の色付けをしています。

 

 バットマンの別名の1つ「世界最高の探偵」にフォーカスすることで、犯罪、ミステリー、ファムファタールが登場するフィルムノワールとなっていますね。


 探偵ものとしても面白く、そういう意味でも成功していると思いました。

 

 アメコミもいくつか読みましたが、元々バットマンの世界観は暗い。


 心理学的で人の闇をテーマにしていますから。


 本作もかなり暗いです。ちょっと気が滅入るくらい。

 

 でも、ブルースがバットマンのやり方を犯罪者達が模倣していることに気づく、というくだりは中々良かったですね。


 でなければ、ブルースは己の怒りと暴力に囚われたままだし、バットマンはゴッサム市民からもずっと恐れられちゃう存在になりますから。


 さて、マット・リーヴス版バットマンは3部作になるそうです。


 悩めるブルースは今後どのように描かれてゆくでしょう?