今回は大島渚監督の「戦場のメリークリスマス」(1983年)。
今観てもかなり攻めた内容ですね。日本のヌーヴェルバーグです。
"戦場のメリークリスマス, Merry Christmas, Mr. Lawrence" Photo by ivva イワヲ
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1942年、ジャワ島の日本軍俘虜収容所。
オープニングからたけし演じるハラがミスター・ローレンス(トム・コンティ)を殴る蹴る。
ハラは何かある度にローレンスに酷いことをするバイオレンスでサディスティックな男。
たけしの醸し出す暴力性みたいなムードが危ういのです。
でも、デヴィッド・ボウイ演じるセリアズがハラを見て「おかしな顔だ。だが、目は美しい」と言うんですね。
この作品のたけしは演技云々ではなく、こう、純粋さが醸し出されていて、不思議な存在感でした。
戦闘シーンが無い戦争映画ですが、悲惨さは充分伝わってきます。
そういう荒涼とした舞台で、こう、愛情がより純粋で熱いものだった 、とコントラストになっているんですね。
終盤の有名なシーンはアクシデントでコマが飛んでいたそう。
もう撮了して帰国している、撮り直しも出来ずどう編集しよう?と。
でも結果的に、あの場面の坂本龍一演じるヨノイの動揺やセリアズの覚悟・緊張感が表現されて印象深いシーンとなっています。
怪我の功名だったんですね。
戦場という不自由で悲惨な世界が舞台だからこそ、愛とか不思議な友情、絆、そういうものの純粋さがより際立っていたように思いますね。
戦争映画というよりラブストーリーだったと思います。
主要キャストのデヴィッド・ボウイ、坂本龍一、たけしが皆若い!
彼ら異色の演者が集まって異色の作品が出来上がったんですね。
坂本龍一のテーマ曲が美しくて、儚く切ない。
坂本龍一と言えばYMOですけども、僕が中学生の時、給食の時間に放送部がかけてくれたスネークマンショーとのコラボアルバムをゲラゲラ笑いながら聴いてましたね。
今だったらコンプラだ、なんだと怒られてるだろうなぁ。
坂本龍一が亡くなって早1年です。デヴィッド・ ボウイももう亡くなってます。
この十数年はマイケル・ジャクソン、プリンスといった僕の青春時代を代表するアーティストが亡くなりました。
大切な記憶、思い出の一部ですから、本当に寂しいな、と思います。
だから余計に、「ベストヒットUSA」で小林克也さんを観ると相変わらずのDJパフォーマンスに安心するし、マドンナがまた炎上、なんてニュースを観ると変わんないな、頼もしいな、と思うんですよね。
まだまだ元気でいてほしいな。