アルケゴス巨大追証騒動、舞台裏暴かれる

この歴史的な株高が暴落するならば金融に絡んだ問題だろうと日頃から警戒しています。コロナ感染拡大自体はもはや暴落の引き金にならないだろうことはこの一年の株式市場の動きから思い知らされました。3/29に表面化した巨大追証騒動では、ブロック取引やファミリーオフィスといった馴染みのない用語に慄いたものの結果としては大手金融機関数社の被害で済み、ドミノ崩し的に連鎖する類のシステミックリスクではなくホッとしました。




アルケゴス巨大追証騒動、舞台裏暴かれる

日経新聞4/17『日欧勢、共同歩調で傷深く』にて舞台裏が明らかになっています。3/29の4日前にあたる3/25、ファミリーオフィス「アルケゴス」の呼びかけで緊急会議が開かれています。参加社は、米系のゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、欧州系のクレディ・スイスとUSB、ドイツ銀行、日系の野村HDです。
クレディ・スイス、USB、野村は市場を混乱させないことを第一に考え、抱えたポジションを共同歩調で整理しようと提案したとのことです。しかしゴールドマンは批判を覚悟のうえ思い切った処理に踏み込み、遅れをとったクレディ・スイスが5,200億円、野村HDが2,200億円、モルガン・スタンレーが1,000億円の損失を出しました。
野村の関係者の弁では、ゴールドマンのような処理をしたら米国で投資家や市場の信頼を失い、米市場でのビジネスが継続できなくなるとボヤいています。
インサイダー取引の前科がある人物が経営する運用会社に融資している時点でそもそも周囲の目は冷たいです。そしていざ問題が発覚すれば金融機関の間に備わる力学で呆気なく幕引きで舞台裏はお粗末です。

まとめ

個人資産を運用するファミリーオフィスの資産規模は5兆9,000億ドルで、ブラックロックには及ばないもののヘッジファンドやGPIFを大きく上回っています(日経新聞4/11『膨れる高リスク資産』)。これまで規制がかからずそこにつけ込んで緩和マネーが流れ込んでいます。
金融の話は小難しいですが地道に追いかけ将来の暴落への備えとしたいところです。