黒柴スポーツ新聞

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FA近藤健介獲得でソフトバンクは打線強化〜人的補償はどうなる?

2022年シーズンオフの移籍市場の目玉、近藤健介(日本ハム)がソフトバンク入りを決断した。11月には zakzak記事で西武入りへと報じられていただけにソフトバンクファン的には棚ぼた感すらあるものの、交渉のテーブルに長谷川勇也コーチが同席したとの情報から、まだソフトバンクの芽は消えていないのではと淡い期待も抱いていた。そう、近藤は成長の機会を得ようとして移籍を決断するのではないか、と。

契約額は36億円とも50億円とも報じられており、ともすると近藤がマネーゲームをしているとか、お金のための移籍と見るむきもあるようだ。しかし近藤は決して派手なタイプに見えず(むしろ逆の印象)、お金のためだけで日本ハムから離れようとしたとも思えない。チームにはまるかはまらないか。そう考えた時、近藤が日本ハムを出る理由が思い当たる。日本ハムは若返りを図っている、つまり出番は保証されてはいないという点だ。逆にソフトバンクはレフトを守れる人材を求めている。2022年レフトを守ったグラシアルが退団したからだ。

もちろんソフトバンクに来たからと言って好調を維持しなければ近藤とてスタメンは確約されない。グラシアルでなければ栗原陵矢もレフトを守るが、栗原は2023年は三塁で勝負するようだ。となると近藤を脅かす選手が出ない限り、レフト近藤は堅そうだ。そう、いい打者ではあるがソフトバンクはきちんとチーム編成上の戦略で近藤が欲しかったのである。若手のお試し機会で出場機会が削られる日本ハムより、ピースとしてはまると期待されるソフトバンクを選ぶ。近藤がそう考えても自然ではなかろうか。

もう一つ、ソフトバンク的には弱点の補強になる。同じ巧打者タイプの中村晃に陰りが感じられるのだ。渋い打撃と堅実な守備でチームを何度も救ったとは言え、シーズンを通して中村晃が活躍したとは言えなかっただろう。年俸が9000万円も下がったのがそれを物語る。V逸の責任を感じるべき主力である。ソフトバンクとしては中村の奮起を促しつつ、それを補って余りある同タイプの近藤健介がいたら安心だ。

打順はどうなるだろう。日本ハムでは3番や5番と、4番のサポート役だったイメージだが、ソフトバンクでもそうなるのではないか。となると4番が誰になるか気になるところ。デスパイネがいなくなったら順当に行くと柳田悠岐。本人的には3番で自由に打つ方がいいのかもしれないが、優勝を逃したとはいえ最終盤の神がかり的なホームランを見せられるとやはりソフトバンク柳田悠岐のチームだと思える。個人的には柳田悠岐に4番を打ってほしい。その前後を近藤が固める。栗原の状態にもよるがヒットが見込める近藤が3番。勝負強く打点が稼げる栗原を5番というのを予想するがいかがだろうか。

このように書くと他球団のファンからは「お楽しみができていいよね」などと言われそうだが、そうばかりでもない。そう、人的補償だ。誰を持っていかれても残念なのだが、昨年私は陰ながら応援していた岩嵜翔が中日に指名されて複雑な心境になった。プロテクト漏れの予想はしてみたが、その選手のファンを慮って名前を挙げるのは控えておく。どちらかと言うと日本ハムは万波やら野村ら若手打者が伸びている印象なのでピッチャーを狙いそうに思うのだが…果たして近藤獲得の代償はどうなるだろうか。


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