週末に本気を出す療法士

自分の目に映る「リハビリ難民」を西洋と東洋、双方向から診る療法士。セミナー寅丸塾を不定期で開催しながら、普段は家でも職場でも子どもに振り回さる会社員。

療法士の適性について

今日もアクセスいただき、本当にありがとうございます。

寅丸塾の管理人です。

 

最近、職場の同僚から「娘が療法士の学校に行きたい」が「私にはどう説明したらいいかわからない」的な相談を相次いで受ける機会があり、久しぶりに学生時代を思い出しました。

 

ということで、

今日の話は療法士の適性についてです。

※かなり私見が混じりますので、読んで不快に感じた方は申し訳ありませんが、あくまでも私の意見ですのでそこはご了承ください。

 

 

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療法士を選ぶ人の傾向(PT)

 

経験上、療法士の養成校に入る人の特徴として、

 

①自分や家族が療法士のお世話になったことがある

②仕事の特性に魅力を感じている

③親から勧められた

④医療職なら安泰だが看護師以外がいい

 

のどれかが大抵当てはまります。

 

私の場合は①ですが、学生の時の友人には②が多かったように記憶しています。

 

 

特に、理学療法士を選ぶ人は

「体を動かすことが好きで、できることならスポーツに関わりたい」

的な、かなり尖った意識を持っている人も多かったように感じます。

 

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進路を決める高校生にとって、

「部活の延長みたいな感覚で仕事ができるかもしれない」

そのような期待を持つことは自然なことですし、身体を動かすことが苦手な人にはそもそも務まりませんので、適性という意味では高いものを感じます。

 

ただ、

実際に現場に出るころにはこの感覚を持ち続けている人はかなり少なくなってきます。

 

解剖学や運動学といった基礎知識と評価・治療という壁にぶつかり、

今の自分にできることはたかが知れている

という現実に直面します。

 

就職できる場所の大半は病院、クリニック、老人ホーム的な施設、訪問系…

と、選択肢も大体20年前と変わりません。

ですので、大半の学生はその中から「とりあえず」就職先を探し、そこで修行を積みます。

※修行を積むかどうかは本人次第。何年経っても進歩のないセラピストは多い。

 

ちなみに、

いわゆるアスリートクラスの人の身体を診るというのは、それこそトップレベルの知識と技術、経験値によって結果を出す指導力が求められます。

当然学校を出た程度のセラピストには務まりませんし、そういった領域に手を伸ばそうと思えば一般の人にも「あなたに診てほしい」と選ばれるくらいの実力を身に付けていること、年単位で独自に努力を積み重ねていくことは必須でしょうね。

 

 

 

 

療法士を選ぶ人の傾向(OT)

 

では、作業療法士を選ぶ人の傾向は?

 

作業療法士である私の場合、

ぶっちゃけ「PTとOTどっちでもよかった」のであまり参考になりません。

強いて言うなら「応用的動作能力」「社会的適応能力」という何となく高度なスキルが必要そうなイメージでこちらを選んだような気がします。↓参照

 

理学療法士及び作業療法士法(昭和40年制定)第二条 

1「理学療法」とは、身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マツサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう。

2「作業療法」とは、身体又は精神に障害のある者に対し、主としてその応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図るため、手芸、工作その他の作業を行なわせることをいう。

※60年以上前にできた法律です。この文面そのままを鵜呑みにしてはいけません(笑)

 

ただ、私の周りの人達は明確にOTを選んでいました。

・家族が生まれつき障害を持っており、サポートしたい

・自分の家族ががんで亡くなったが、最後まで付き添ってくれたのがOTだった

・体の問題だけでなく、困っている人の役に立ちたい

etc…

 

そうなんです。OTを選ぶ人は、

病気=体の問題だけでない

ことをよくわかった上で、「人に寄り添う」という目標を持って養成校に入ってきた人が多い。

 

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そのような仲間と大学生活をスタートしたことに、自分の動機が不純すぎて恥ずかしくなったことをよく覚えています。

 

とはいえ。

 

少なくとも一般病院レベルでは治療家としての実力が物をいう世界。

これは私の中では揺るぎません。

 

なぜなら、

リハビリテーションの必要な患者は、今よりも少しでも良くなりたいという回復への願いを常に持っているからです。

 

したがって、

理学療法士でも作業療法士でも、実働レベルでは目の前の患者に対して問題を解決させるための戦略を考えることは最優先事項であり、

そのための技術を磨く努力が嫌なら選ぶべきでない仕事だと断言します。

 

 

療法士になろうとする人へ

 

 

現実問題として、年々増加するセラピストの需要はすでに飽和状態になりつつあります。

なので、これからの療法士には質が求められ、資本主義の原則で考えれば生き残るための競争が必ず発生するはず。

 

ただし、

我々は医療保険という国の制度によって今のところ守られているので、危機感がなくても休日に遊ぶことばかり考えていても当面は職を失うことはないでしょう。

 

ですが、

動機が不純でも(人に勧められたからでも、資格を持ってれば「安泰」でも…)人の役に立ちたいという意思があれば、最低限の適性はあります。

 

現時点で私にとって、

 

理学療法士は身体を診るプロ

作業療法士は人間を診るプロ

 

という認識でいます。

 

少なくとも、

理学療法士は身体については医師並みに知っておかねばならない

作業療法士は人間の幸せとは何か?対象者を笑顔にするには何が必要かを常に考える

 

そのような努力や姿勢を資質と呼ぶのではないか?

 

そして、

どちらの道に進んでもどちらの考え方も合わせ持てる人材が、信頼されるセラピストになれるんじゃないかと私は考えます。

 

ぜひそのような思考を共有できる若者に、この仕事を選んでほしいなと思い、

私情入りまくりですが療法士になりたい人へのメッセージとさせていただきます。

 

今日もここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。