埼玉県川越市にあるコンディショニングジムBlueFit(ブルーフィット)の代表で、
理学療法士の粟生田です。
本日は脳梗塞や脳卒中、パーキンソン病といった神経疾患の方で
〇気がつくと背中が丸くなっている。
〇家族に最近猫背が強まっていると言われた。
〇歩くときに足元ばかり見てしまっていて前を見にくくなった。
といったことが当てはまる方におススメのストレッチをご紹介します。
下の写真はパーキンソン病の方に多い姿勢になります。
猫背が強まり、その影響で股関節も屈曲位をとりやすくなり、
重心は踵に偏り、足首や足の指には力が入ってしまっています。
この姿勢が強まると、まねをしていただくとわかりやすいのですが、
〇歩こうとしても足は前に出にくくなる。
〇歩き出しても小刻み歩行になる。
〇方向転換がしにくくなる。
といったパーキンソン病の方の典型的な症状が生じやすくなります。
本日は省略させて頂きますが、
脳梗塞・脳出血で片麻痺や失調症状を呈した方も似たような現象が起こります。
麻痺側の腕の重みで猫背になり、股関節は屈曲位をとりやすく、
足は伸展パターンで突っぱりやすく、足首や足の指は過緊張な状態となりやすいです。
そうなると各疾患から生じる現象はことなりますが、
上記と同様に麻痺側の足は前に出にくくなり、歩きづらくなります。
この現象はまねをして頂くと実感しやすいですが、
神経疾患を呈していない方でも生じることがあります。
加齢や不良姿勢による猫背⇒腰や股関節が曲がってくる
⇒膝が曲がる(もしくは突っ張る)⇒足首と足指がうまく使えない
といった連鎖が生じてきます。
結果として、腰や膝に痛みが生じる。歩き方がおかしくなる。
転んだり、つまづきやすくなる。
といった問題につながる恐れがでてきます。
つまり、「猫背」は上記の問題を強める原因となります。
そのため、「猫背の予防」は非常に重要であり、
優先的に対策をとった方がよい要因と言えます。
パーキンソン体操とよばれるものの中にも
猫背対策としてうつ伏せでのストレッチなどがあります(下記写真)。
しかし、実際には腰を痛めやすかったり、
脳卒中で片麻痺のある方にはこの姿勢をとること自体が困難であったり、
日中こまめに行うことが難しいといったお話を頂くことが多いです。
そこで、軽度の麻痺やパーキンソン症状があっても行いやすく、
腰の痛みも生じにくく、
日中こまめに実施しやすい方法をご紹介します。
次回以降、数回に分けて足のストレッチなどもご紹介しますが、
「いすを利用したストレッチ」になります。
今回は猫背ストレッチになります。
まずは「胸椎の伸展ストレッチ」です。
胸椎とは、背骨の中の、首の付け根~肩甲骨の内側あたりの部分になります。
次の写真のように猫背になると、
肩甲骨の間が開いてきます。
しかし、猫背にならないためには肩甲骨は背骨によっている必要があります。
理想的に自分の手のひら1つ分の幅と言われています。
しっかりと肩甲骨を寄せるためには、
胸椎が伸展、しっかりと伸びていないと、
寄せることが物理的に行えますん。
なのでまずは、「胸椎をしっかり伸ばす」⇒「肩甲骨をよせる」ことが大事になります。
いすを利用しての胸椎の伸展は
背もたれのついているいす(背もたれは高すぎない)、
かつ背もたれの上部がとがっていないもので行って下さい。
まず背もたれの上部に両脇(肩甲骨の下方)がくるように座ります。
写真くらいの高さの椅子であればやや浅めに座ります。
そのまま、上体をもたれかけさせ、胸を天井の方に向けます。
注意点として、首と腰をそり過ぎてしまうと痛みが生じる危険性があります。
両手を頭の後ろに回し、
首は反りすぎないようにし、胸椎を反らすイメージで行って下さい。
次に、肩甲骨を寄せていきます。
上記の胸椎伸展が十分に行えていれば、
自然と肩甲骨も寄ってくるので、上記のストレッチだけでも大丈夫です。
それに加えて、両手で頭の後方を支えている場合は、
両肘を開いていくと、
肩甲骨が背骨によって行きます。
手が挙がりにくい方は背中で両手を組んで、
肘を寄せていくと、
一緒に肩甲骨も背骨によっていきます。
このやり方は背もたれの有無や職場、電車など場所を選ばす行えます。
立った状態でも行えるので、
パソコン作業をしている際中や散歩で体が曲がってきたなと思ったら、
猫背をリセットするイメージでこまめに行うと効果的です。
さらに猫背をしっかりと伸ばすストレッチとして、
上記の胸椎伸展ストレッチに加えて、
胸椎を反らした状態で背骨を横に倒したり(側屈)、
胸椎を反らした状態で背骨をひねったり(回旋)、
二つを組み合わせたりしていきます(側屈+回旋)。
他にも肩から胸椎を伸ばすには、
椅子に座った状態で、両手を壁にあて、
伸ばしていくストレッチの仕方もあります。
また、いすを使わずに寝た姿勢で行う方法として、
膝を立てた状態で仰向けになり、
肩甲骨の下方(わきの下)あたりにバスタオルを丸めたものをいれ少し高くして、
バンザイや両手を横に拡げる方法もあります。
これはストレッチというより、胸椎周囲の筋肉の緊張をリラックスさせ、
胸椎の伸展を促してアプローチになります。
深呼吸しながら力を抜いて、寝るだけです。
大の字になるのも気持ちよく伸ばせます。
他にも、ハーフポールと呼ばれる半円柱のものを利用したり、
ストレッチポールと呼ばれる円柱のものにのる方法もあるので、
お好みとお体の状態に合わせて、
気持ちよく効果的に伸ばせる方法を探してみて下さい。
もしご興味ある方は参考にして頂けたらと思います。
注意点としては、いすに座って行うと腰が自然に反りにくくなり、
腰を痛めにくいのですが、
仰向けの場合は、腰が反って痛みが生じないように気をつけて行って下さい。