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フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

番外編453. 新型コロナウィルス13. 海外と日本の状況

2020年07月11日 | analysis

 

 新型コロナ感染も、属地的な様相をおびてきた。世界で見れば米国が感染者数が増加し続けており、他方でヨーロッパ各国と比較すると日本は、人口数の割には著しく感染者数の値が低い。

 これまで日本のPCR検査数の少なさがメディアなどで指摘されてきたが、その指摘は間違っている。同様のことを7月8日の感染者数累積値で見ると韓国(13,244人)、オーストラリア(8,880人)、ニュージーランド(1,537人)である。これらに共通する点は、いずれも島国であること。韓国は北朝鮮との国交がないから島国と捉えてよいだろう。島国であることによって国境を陸地で接することがないので人の往来の遮断が容易であり、そのことが感染者数の少なさにもつながっていると考えられる。

  他方で同じ島国で大量の感染者を発生させている英国は、海底トンネルで鉄道、バス、自家用車でヨーロッパ大陸諸国と密につながっているので、これを島国と呼ぶのは難しく、やはり制御できない人口流動が感染経路として存在しているのだろう。

 また的中率7割程度のPCR検査数の少なさを指摘するメディア系人種も多いのだが、このPCR検査の及ばないところを埋めているのがレントゲンやCT検査である。むしろレントゲンやCTの方が瞬時に感染状態までわかる能力があり、PCR検査よりはるかに優れている。

 いま病院で内科の診察を受けると、先ず検温され、熱があると直ちに隔離されて、レントゲンやCTによる検査を受けさせられ、即座に結果がわかる。レントゲンやCTによる検査数は感染症検査数にはカウントされていないのだろう。ベッド数50〜100床程度の病院ならばレントゲンとCTは大概備えられているといってよい。

 日本は本来脳梗塞や心臓疾患が多かったので、諸外国より優位な医療設備状況にあり、このことがPCR検査数の少なさにも関係していると私は理解している。PCR検査は空港などの水際対策で使用してこそ効果があると私は考えている。医療設備が整っている日本国内において、的中率の低いPCR検査をわざわざ受ける必然性は少ない。PCR検査は、海外からの大量帰国者の検疫方法なのだろう。

 

1.G7主要国の感染者数推移の状況について

 先ず図1でG7国家+中国、韓国の感染者数累計値を図1、さらに同様の1日あたりの感染者数推移を図2でみてみよう。

 米国が他国と比較し突出した右肩上がりの線形であり、都市封鎖政策の効果も少なく現在に至っている。7月8日時点の感染者数(累計値:8日時の感染者数)をみてみよう。米国2.993,760人:57,683人、次いで英国(287,874人:584人)、スペイン(252,130人:341人)、他方で最小値は韓国(13,224人:63人)である。各国とも10〜500人程度毎日感染者が発生しているが、米国の増加は群を抜いていることは既にメディアが報道しているとおりである。グラフの線形からすれば感染は、全く納まっていない状態だ。

 尚V字上の推移を見せていてる箇所は、元データの欠損値である。累積値だから水辺にはなるが低減することはありえないが、それでも若干の低減がみられるのも元データの集計方法を変えたとか修正したといったデータ集計側の事情を反映している。

図1.G7国家+中国、韓国の新型肺炎患者数累積値の推移(単位:人)

 

 図2. G7国家+中国、韓国の感染者数の推移(単位:人)

 

2.我が国政令指定都市を有する都道府県別感染者数の推移について

 7月7日時点で(感染者累積値:7日時点の感染者数)を、図3と図4でみてみよう。もちろん最大値は東京(6,973人:106人/日)であり、図の線形をみれば、一時期感染者低減期がみられたが、再び増加に転じている。これは夜の風俗業などに対して感染者発掘を積極的におこなってきている結果が反映されているのだろう。今後も感染者数は増加するが、それ自体は、むしろ適切な増加とみてよいだろう。ある一定のところ迄きた頃増加はストップされるだろう。

 それ意外に繁華街での若者の感染が増えていることが要注意だ。こちらは感染経路不明が多く、隣接県へ感染を拡大している可能性がある。実際東京都の1日あたりの感染者数が50人を越える頃から、隣接県の感染者数の増加、あるいは例えば京都、大阪の感染者がそれまで続いていた0値から、京都(1〜15人)、大阪(1〜34人)へと増加している。東京から持ち込まれた可能性が高いことを否定できない1日あたりの発生数の数値の推移である。

図3.政令指定都市を有する都道府県別感染者数累計値の推移(単位:人)

 

図4.政令指定都市を有する都道府県別感染者数推移(単位:人)

 

3.国際比較

 図1の海外と図3の国内の感染者数累計値推移をみていると、数値の相違こそあるが推移構造が類似していることに気づかされる。米国が増加を続け他都市との増加率は桁違いであると同様に、東京が増加を続けており、他都道府県との増加率がやはり異なっている。つまり1極増加他微増とする構造だ。そこに巨大都市ニューヨークを抱える米国と東京の類似性と読み替えてもよいだろう。

 それは巨大都市ならではの都市構造が関係しているのだろう。先ず空間密度が大変狭隘であること。当然昼夜間人口密度は高く、ソーシャルディスタンスも十分とれず、さらにはテナント家賃が高いため店を休業できる状態にはあらず、サービス機能維持のため企業を休みにはできず、さらには検疫できない裏社会を抱えている、などの巨大都市ならではの都市構造だ。

 

4.気になること

 今回の一連の政府や自治体の感染症対策で気になることが一つある。それは感染が発生した属地情報がプライバシーの観点から一切伏せられていることだ。そのため政策も自治体単位で自粛するという広範囲な政策をおこなってきた。もちろんそこには把握できない人口流動があるからなのだが、はたしてそこまでの社会的犠牲を払い広範囲な政策をおこなう必要があったのだろうか。むしろクラスターを発生させた場所がどこかとするスポット的な属地情報の公開こそが重要ではないか。感性地に近づかなければ、感染の可能性は低い。現状では、東京、神奈川、埼玉に近づくなということが図からわかるが、しかし重要なことは東京の全ての地域が感染地ではないのである。感染地は、大変限られた空間である。

 従って目下の所、東京・新宿、渋谷、池袋の夜の歓楽街の一部を一定期間封鎖すればよいと推測できる。因みに手元の厚労省のアプリをみるとこの2週間陽性患者との接触はないと表示されている。もちろん当初から当てにならないアプリだから、私は信用していないが・・・。

 感染者数増加と経済のバランスをとるなどというのは、いかにも微分方程式でモデル式ぐらいはつくれそうに思うが、そんな報道は全く聞かない。せめて数式ぐらい示して欲しい、と私は思う。感染症に関する知識は、高校生迄の知識で十分だからね。

 ニュースを聞いていると実に説明や論理が稚拙すぎる。まして科学技術立国において文科系の官僚や政治家がリーダーシップをとるなんて、私にはゾッとする気分だが、といって文科系の官僚や政治家が一番多いのだから、これも困った現象だ。政府はこれからおこなうとする施策を形式的に発表するだけだが、それを解説するメディアは、もう少し数値や数式を用いて論拠ある実証的解説をしてほしいですね。そうでないと、私のような工学系人間にとっては、なにもわからない。

 

データ依拠:厚生労働省WEBサイト、新型コロナウィルス感染症の状況と厚生労働省の対応について

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00086.html

 

SONYα6600、Carl Zeiss Vario-Tessar E 4/16-70mm

ISO100,焦点距離34mm,露出補正+1.3,f/4,1/250

 

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