(老母が雲となって1年経った)
ブログを始めてかれこれ4年半になる。
ブログの最大のごリヤクはボケ防止だが、ブログ記事がきっかけで新たな出会いがあることもうれしいものだ。「ブログ友」は今や「囲碁トモ」、「犬トモ」と並ぶ一大勢力圏を形成している。
もうひとつ、ブログには日記としての役割もある。
1年前に私が書いた記事を見て、老母が死んでちょうど1年が過ぎたことを思い出した(アメーバブログの場合「1年前にお前が書いた記事はこれだ。少しは反省しろ!」というメッセージが出る)。
2月に納骨.。
4月に相続税の申告と納付。
どうにか死者との決別に伴う2大手続きを終えることができたわけだが、これがもう少し先のことだったら私の体力気力も失われ、果たしてどうなったことかと忸怩たる思いである。
我が国には100歳以上の高齢者が8万人いらっしゃるという。この方たちのお子さんも相当高齢のはずだから、いざという時にはさぞ難儀するであろう。
享年91にして、相続人は64歳。母はいい時に死んでくれたのかもしれない。
母は死のだいぶ前から終活に熱心だった。
そのせいか納骨、相続を除き、面倒なことは皆無であった。唯一閉口したのが「不動産相続の相談承ります」という無数のDMである。
いったい連中はどこで嗅ぎつけるのだろう。母の死を知りうる立場にあるのは、
老人ホーム
死亡診断書を作成した医者
葬儀屋
死亡届を受理した役所
年金事務所
金融機関(銀行、ゆうちょ)
寺
税理士と税務署
司法書士
といったところ。
葬儀屋と寺は多少ユルそうだが、それ以外の当事者は「死亡情報を横流しした」なんてことが発覚したら大問題になるからまずありえない。
もちろん土地登記簿をひとつひとつ当たれば被相続人死亡の事実を把握することは可能だが、たかがダイレクトメールの発送のためにそんな膨大な手間をかける会社はないだろう。それに無数の会社からDMが来るという事実からしても、「〇〇区死亡情報一覧」のようなものが何らかの形で市中に流通している可能性が高いのである。
(DMといっても封筒に入った立派なヤツ)
DMを送ってきた会社に電話して、「どこで知ったのか」と質してみたが、モゴモゴするだけではっきりとは言わなかった。やはり怪しいのである。
DM攻勢は9月になってぱったり収まった。
8月に相続した土地の売買契約を締結したからだと思われるのだが、これも不思議だ。
元々土地売買の媒介契約をしていないので、土地が売りに出たこともそれが売れたことも私が声をかけた3社以外は知りようがない(不動産会社と「一般媒介契約」を締結すると売買対象不動産の情報が「不動産流通情報システム(REINS)」に登録され、全ての宅建業者が閲覧できる)。
死せる孔明生ける仲達を走らす
生者たちの愚かなドタバタを雲になった母は笑っていることだろう。