ゆらゆら荘にて

このごろ読んだ面白い本

「編めば編むほどわたしはわたしになっていった」

2022-11-25 | 読書日記

東日本の震災のあと出来た「気仙沼ニッティング」の製品(地域の人による手編みのセーターを販売)のデザインを担当した
ニットデザイナーの三國万里子さんのエッセー
「編めば編むほどわたしはわたしになっていった」(三國万里子著 2022年9月 新潮社刊)を読みました。

三國万里子という存在が好きです。

表紙は最近人形の服作りに凝っている
という三國さん作のセーターを着た
ロシアの作家の人形
(ロシアは人形制作がさかんです)

中学生のころ
学校になじめずに
外階段で時間を過ごしたり
しょっちゅう早退したりしていたこと。

息子さんはなかなか言葉を言わず
ひらがな積み木で意思表示をしていた。
その後母音だけを発音するようになり
ずいぶん経って子音も言うようになったこと。
(今では日本語ペラペラ)

大学を卒業して仕事に馴染めずに
秋田の山奥の温泉旅館で働いた日々のこと。

はたから見るとちょっと重めの話が
淡々と語られていきます。
(そうでない話もあります)

第1話では
夫との結婚のいきさつを語っている。
アルバイト先で出会った夫が
(年の差婚というから、ちょっとおじさんだった?)
何という銘柄のタバコを吸っているか知りたくて
(自分も同じものが吸ってみたくて)
コンビニで全種類のタバコを買って
三國さん(夫)の前に
「好きなの一つあげます。クリスマスだからみんなにあげているの」
と言って袋を差し出して
三國さんがキャスター・マイルドを取り上げるのを見て
吸っている銘柄を探り当てた。
(作戦!)
そして続く。
「半年後、わたしは三國さんと結婚した」
この余白の大胆さに
脱帽しました。

まあ、
三國万里子が好きなので
書いてある中身は何でもいいのですが。



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