アメリカ外交官のロバート・ソーンは赴任中のローマで愛妻のキャサリンが身籠り、出産の日を迎えるが、彼女の子は死産であった。
何も知らないキャサリンを悲しませないようにとロバートは病院の修道院に仕える神父を頼る。
するとキャサリンが子どもを死産した6月6日の同時刻に産まれながら母親が亡くなったという孤児を紹介される。

ロバートはキャサリンにショックを与えないよう、神父の申し出を受け、孤児の男の子を自らの息子として密かに受け入れ、キャサリンと対面させる。
やがてダミアンと名付けられたその子どもはスクスクと育っていき5歳の誕生日を迎えようとしていた。

ロバートはイギリスロンドンの駐在大使に任命され、政界への重要なポジションも間近となっていた。

ロンドンに住居を構えたロバート夫妻は息子ダミアンの5歳の誕生日パーティーを開く。
政財界のVIPたちが集い、賑わう中でダミアンの子守りをしていたホリーはどこからか紛れ込んできた黒い犬と目が合い、食い入るように見つめ合う。

異変に気づいたキャサリンがホリーからダミアンを取り上げると、彼女はフラフラと屋敷内に消える。
しかししばらくすると屋敷の屋上から彼女は
『ダミアン、あなたのためにするのよ』
と叫ぶと、首に縄をかけて飛び降り、窓ガラスを突き破って首を吊って絶命する。
その凄惨な姿に皆がおののく中で、キャサリンの腕に抱かれたダミアンは黒犬に手を振っているのだった。

ホリーは遺書もあったことから自殺として処理される。
そんな中でロバートはサウジアラビアへの赴任を打診されるがこの騒ぎを理由に断り、しばらく家族と共に過ごすことを決める。

翌日。
ロバートの勤務する大使館にブレナンという神父が訪ねてくる。
ブレナンは会うなりいきなりダミアンを今すぐキリストの拝領式を受けさせるよう迫り、彼は山犬の母から産まれた悪魔の子であると告げる。
言い知れぬ不気味さに脅しと考えたロバートは警備員を呼んで彼を追い返すのだった。

乳母の自殺の件以来ロバートを追っているカメラマンのジェニングスは肩を落とし出てくるブレナンに声をかけ、何枚か写真を撮る。

その頃、ソーン家には自殺したホリーの代わりにベテラン乳母のベイロックが現れる。
彼女は親しくなるためまずはダミアンと二人きりにさせてほしいと告げるが、キャサリンはその異様な空気を感じていた。
ベイロックは部屋で佇むダミアンに『そなたを守りにきた』と告げるとダミアンは彼女に微笑みかけるのだった。

次の休みの日。
教会への洗礼の儀。ロバート夫妻はダミアンを連れて教会へと向かおうたするが、ベイロックは子どもには早すぎるとして近くの公園で遊ばせるようキャサリンに申告する。
あれこれ指図をしてくるベイロックに苛立ちを隠せないキャサリンはその言葉を無視して、ダミアンを連れて教会へと向かうのだが、教会が近づくにつれてダミアンは異様に怯え震えだし、車を降りようとしたキャサリンの顔を引っ掻き、暴れまわるのをみてロバートらは、慌てて引き返すのだった。

キャサリンを療養するなかで、ロバートはダミアンが生まれてこのかた全く病気になったことがないことに気づく。
キャサリンは不審に思うことなくやりすごしていた。

その夜、ロバートはダミアンの部屋の前に黒く大きな犬が自分を威嚇しているのを見つける。
ベイロックに聞くと、ダミアンも気に入っているようで連れてきたというが、不気味に思ったロバートは早々に動物愛護協会に引き取ってもらうよう彼女に命令するのだった。

キャサリンも回復した休みの日。
彼女はダミアンと共に動物園へと遊びに行き、サファリパークへと入っていく。
しかし、動物たちはみなダミアンをみては怯えはじめ、マントヒヒらはその反動で車に向かって集団で攻撃をしてくる。
恐怖を感じた二人は急いで家路につくのだった。

同じ頃、学校のラグビー観戦にきていたロバートのもとに再びブレナンが現れる。
彼は数分だけ会って欲しいと言い、来なければ奥さんが死の危険にさらされると脅迫めいたことを伝える。
その様子もジェニングスは撮影していた。

ブレナンの発言が気になり会いに行ったロバートであったが、ブレナンは彼にキャサリンが第二子を妊娠しており、ダミアンがその子どもとキャサリンを殺そうとしていること、さらにダミアンは悪魔の子で、すぐにでもイスラエルの古都メギドへいき、ブーゲンハーゲンに会って子どもの殺し方を教わるようにと付け加える。
ブレナンはダミアンは黙示録にある悪魔の生まれ変わりで、ロバートの富と権力を利用して世界を征服するためにやってきたのだと告げる。

荒唐無稽な内容に憤慨し、立ち去るロバート。
静かにそれを見送るブレナンはもはや諦めの顔を浮かべていた。
その刹那、局地的に吹き荒れる暴風雨に見舞われたブレナンは教会へと逃げ込むも、落雷によって折れた避雷針に全身を貫かれて串刺しとなり悲惨な死を遂げる。

帰宅したロバートはキャサリンから子どもを身籠ったことを告げられる。ブレナンの言った通りとなり動揺するが、中絶をほのめかす彼女にロバートは絶対に産んでくれとせがむ。それはブレナンが言ったことを全肯定したくなかったこともあった。

そんなある日。
子守りをしていたベイロックはおもむろに三輪車で遊ぶダミアンを部屋から出す。
その先には、台座に登り高所の植木鉢の取り替え作業をしようとしていたキャサリンがいた。
ダミアンの三輪車は台座にぶつかり、その衝撃でキャサリンは一階に落下する。
落ちる寸前のキャサリンが見たのは何の罪もなく眺めるダミアンの姿であった。

キャサリンが事故に遭ったことを知らされたロバートは入院先の病院に駆けつける。
キャサリンは一命こそ取り留めたものの脳震盪と腕の骨折という重傷を負っていた。病室にやってきた彼に気づいたキャサリンは、ダミアンが邪悪な存在であり、自分を殺そうとしていたとロバートに話し、自分を守ってと懇願する。

大使館に戻ったロバートのもとにカメラマンのジェニングスから連絡が入っていた。
ロバートたちを取材し撮影していた彼は、ロバートを自分のアパートに招くと、これまでの犠牲者たちに関する衝撃的な内容を語り始める。

ジェニングスは亡くなったブレナンやホリーらを撮影していたが、彼らの写真には不可解な線のようなものが入っていた。
ネガ痕でも加工でもないそれはまるで犠牲者の死に方の様子を描いていたのである。
そしてそれは鏡越しに自分を写した写真にも表れていたのである。

ロバートはキャサリンやこれまでのことから不審な事件についてダミアンのことを調査することを決意し、ジェニングスもそれに同行する。
二人は生まれの地であるローマを訪れ、出生した病院を訪ねるのだが、その病院は火事で焼失しており、出生の記録も全く残っていなかった。

唯一火事から助かったというダミアンを渡した神父はローマから離れたサン・ドミニコ修道院にいたが、右半分が焼け爛れ、まともに話すことすらできない状態であった。
ロバートが詰め寄ると震える手で『チェルベット』と描くと神父は息絶えてしまう。

チェルベットがダミアン出生の鍵となる墓地であることを突き止めると、二人は墓地に侵入し6月6日に死んだ墓を掘り起こしてみるとそこには山犬の白骨死体が。さらに隣の墓には産まれてくるはずだった乳児の白骨死体が埋まっていた。
ダミアンが悪魔の子であることを確信する二人だったが、いつの間にか墓地の周りには黒犬の群れが迫っていた。
襲われ重傷を負いながらも何とか逃げ延びた二人は帰り着いたホテルからすぐさま入院しているキャサリンに連絡をとる。

ロバートは彼女にすぐにロンドンを離れるよう告げるのだが、キャサリンはその準備の最中にベイロックに襲われ、病室の窓から突き落とされて墜落死してしまう。

一方ロバートたちは黙示録の予言を伝って、メギドの地に行き、考古学者で悪魔祓い師のブーゲンハーゲンを訪ねる。
彼は悪魔を殺すための7つの短剣をロバートに手渡すと、その際に悪魔を見分ける方法を教える。それはからだのどこかに世紀末の獣の紋章がえがかれているというものであった。

ダミアンを殺すようにと短剣を託されたロバートであったが、子どもは殺せないとして、短剣の入った袋ごとを捨てようとする。慌ててジェニングスが拾い上げようとするのだが、その刹那動いていた軽トラがジェニングスに近づくとスライドしてきたガラス板によって首を切り落とされ絶命するのだった。

ジェニングスの凄惨な死を目の前でみたロバートは覚悟を決め、ロンドンに帰ってくるが、そこでキャサリンの死を知らされたロバートはいよいよダミアンを手にかけることを決める

門番のように居座るいつぞやの黒犬を地下室へ閉じ込め、眠るダミアンを連れ去ろうとしたときベイロックがロバートに襲いかかる。
揉み合いの末に彼女を返り討ちにしたロバートはいやがり泣き叫ぶダミアンを教会へとつれていく。

果たして悪魔と対抗してきたロバートの運命は…

80年代オカルトホラーの代表格となった作品。

『エクソシスト』の大ヒットにより始まったとされる『オカルトホラー』ブーム。
数々の類似作品が現れるなかで、『エクソシスト』と双璧をなすほどの高い評価を得ていたのがこの『オーメン』である。
聖書のヨハネの黙示録の一編を題材に、拡げていったその脚本はなかなかしっかりとしており、全体的に漂う退廃的な感じとじわじわとくる恐怖感が見る者を何とも言えない不安感にいい意味でかきたたせる。

作品として話題になるのは鮮烈なショック描写であるが、実のところそのインパクトこそ強いものの直接的な残酷描写はそこまで多くはない。
有名なシーンは本編後半にでてくるガラス板のギロチンシーンだろう。
切断される一瞬をスローにし、アングルを変えて何度も繰り返すことで今でも語り継がれるほどの印象づけとなっている。

ただこれ以外でも避雷針による串刺しや物語冒頭の屋上からの首吊りバンジーなど血しぶきが直接出てくるわけではないが、画面上のインパクトは強烈なシーンはあるので、苦手な人は注意。

ただ本作の真に怖いのは悪魔の子として産まれたダミアンの無垢さ。
無意識のうちに周囲の関係者に残酷な死を与えるにも関わらず、何の感情も示さない無表情ぶりが不気味。そしてラストにみせる笑みが真に震え上がらせる。

そしてこの時期のこれらの作品につきまとう、不可解な事件も本作品の恐ろしさに一役買っていることも間違いない。
こうした事例で有名なのは『ポルターガイスト』シリーズであるが、悪魔を扱った本作品も公開されるまでにいろんな怪奇現象が起こっていた。

スタッフやカメラマンによる事故死など、主演陣の怪我も続発していたが、中でも怖いのがカメラマンの事故死事件。
助手カメラマンが撮影現場で首を切り落とされなくなるという事件なのだが、これ実際に本編においても同じようなシーンがあった。

こうして呪われた映画という要素も取り入れ、オカルトホラーのなかでも随一の恐怖映画として評価されるようになった。
名優グレゴリー・ペックの重厚な演技もあり、陰湿な恐怖が覆っているような作品。
リメイクもあったらしいが、独特の空気感と怖さに関しては敵わないだろう

残酷度…★★★★

評価…★★★★
(無垢な感じだからこそ響いてくるラストシーン秀逸)







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