ヤングジャンプでフォビドゥン澁川が連載してる「スナックバス江」、16巻も紙の単行本で買ってきました。
あーもー紙の本ほんと自室に増やしたくない。でもバス江とジョジョだけは紙で買いたい。
それにしてももう16巻、連載8年かあ~。10年の大台も見えてきた長寿連載です。この漫画って扱う題材もあって「老化を感じる」と「老化を感じさせない」の両方の側面が同時に存在するよなあ~、ってのが16巻を読んだ主な感想です。
さて、まずは表紙はムーのパロディ。タイトルロゴもご丁寧にムー風。相変わらずバス江の表紙は毎回何がモチーフにされるのか法則性とかは全く存在しません。
ただ明美やバス江ママはたまにオカルト系都市伝説にかぶれることがあるのでムーは親和性は実は高いです。
あと今巻で初めて気付いたのですが15巻からは奥付に編集担当者の氏名も正式にクレジットされるようになったんですね。この漫画の現在のYJ編集担当者は久能直子だそうで。アニメのスタッフロールにもクレジットされてました。だからなんだってほどでもないのですが、責任者が可視化されるのはいいことだと思います。
恒例のゲストページは「イリオス」の円城寺真己。この漫画の初期は単行本にゲストページなんか常設してちゃんと続くのかちょっと不安もあったのですが、今こう長寿連載になったら作家たちも引き受けてくれやすくなってるのかもしれません。
ママが女神というネタ。そういやイリオスの女神は何者なんでしょうね。あと、背景の酒瓶の絵が本家より丁寧に描かれてるのも面白いです。
単行本の内容のほうは、おまけページもすっかり恒例行事で、なんかもう「いかに出オチにするか」でネタを考えてそう。
そして本編のほうは、こう改めて単行本でまとめて読むと、タツ兄と山田はすっかり老化というか老練というか、枯れた男が自分の老いをぼやいたり日々堅実に生きてる様子を見せてきたり、なんか年を取ったなあ、ってのを改めて感じました。作風に年齢の積み重ねを感じます。
なんていうか「酒のほそ道」のラズウェル細木のような漫画家の境地に近づいていってるような気すらします。
作者フォビドゥン澁川って、2011年に商業誌デビューしたので漫画家歴もう14年です。年齢は不明ですがなんとなく察せるし、そしてその作風も若い頃には荒々しくギラギラしたどぎついギャグばかりだったのが、今はこんな熟練した世界観になってきた印象です。
……と、一瞬思いきやそういうわけでもなくて、荒々しくギラギラしたどぎつい回も今も普通に存在してて、特にレギュラーではない一見の珍客の回は大体そんな感じです。「よくまーこんなキャラクターを思いつくよな」ってのばっかりです。
今回も「カレーを食べてる時にうんこの話をする会」メンバーとか「バカをやろうぜ」主義の人とか社会的成功者のピエロとか充実です。
そして山田も山田で、彼はそういうキャラの対処役になることも多いのですが、そのときの返す言葉の切れ味が凄まじいです。
(山田は牙は失ってない)
今回はそういう、熟練の境地と荒々しくも鋭い切れ味の両方を特に感じました。
やっぱ単行本を紙で持っておきたくなる作品です。
あと、本誌を読んでるときに気付かなかったことに単行本で初めて気付くこともあります。それも楽しみの一つです。
今回は森田が想像する空中給油の絵の意味に初めて気付きました。