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「拳銃使いの娘」感想 大絶賛!現代アメリカ版「子連れ狼+ボニーとクライド」

「拳銃使いの娘」 ジョーダン・ハーパー著 鈴木恵訳 ハヤカワ・ポケット・ミステリ って本読みました。

 

超良かったです。大絶賛です。今年2025年に読んだ本ベストになるかも。

 

元強盗の男が娘を守るために、自分達の命を狙うギャングと戦う話。でも主人公は娘のほうだという話。

 

話全体は意外な展開とかは特にありません。この本を最初に手に取ってあらすじや冒頭を読んで「こういう話なのかな?」と予想しただいたいその通りの話でした。しかしこの本は「だからこそ良かった」ってタイプの本です。期待を裏切りませんでした。

 

いや~、良かったなあ。素晴らしかったです。

 

 

 

そういや感想の本題とは関係ないのですが。私はハヤカワの小口が黄色く塗られた本は、最初は戸惑ったんですが何冊か読むうちにすっかり慣れました。人間慣れるもんだなあ~。

 

 

さて。一応ネタバレあり感想。

 

元強盗のネイトはどこのギャングにも所属しない一匹狼で、それは死んだ兄がすごい殺し屋だったその威光のおかげで、刑務所に入れられても平穏に過ごせてたけど、出所間際になって刑務所の外も中も牛耳ってるギャング組織に目をつけられてしまいます。

 

出所したらギャングのためにムショと娑婆を繋ぐ連絡係として働けと。もちろん看守もとっくに買収済み。

 

お前に選択権なんてないよ?

 

しかしネイトは断って、あろうことかギャングのボスの弟を刑務所内で殺してしまいます。

 

ネイトは殺したのを知らん顔してゴタゴタのどさくさに紛れて出所。しかしボスには当然ながらばれて、ネイト抹殺の指令がカルフォルニア全土に発令されました。

 

ネイトだけではなく彼の妻と娘も殺せという指令が。

 

 

ポリーがギャングから命を狙われるようになったのは完全にネイトのせいです。ポリーは母と義父を殺されて学校へも通えなくなって逃避行の旅を続けるしかなくなってしまいます。世間では父親に誘拐された行方不明者扱いです。彼女はたったの11歳。あまりにも過酷な仕打ちです。

 

しかし。

 

ポリーにとってはそれがある意味の救済になったのでした。ひ弱で、常に精神的な苦痛を内に秘めて生きてて、同級生からは見下され、母ともあんまりうまくいってなかった少女は、唐突に犯罪と暴力にまみれて必死に生き抜かなきゃいけない世界に突き落とされて、覚醒していくのでした。かっこいい!

 

 

いやいや決してのんきに「かっこいい!」と手放しで賞賛できる話ではありません。

 

二人が生き延びる方法はギャングに抹殺指令を解除させるほかなく、そのために二人は逆にギャングを襲って金や麻薬を奪って損害を与え続ける作戦を取るのですが、その作戦は確かに合理的なのでしょうが、もう危なっかしくてこわいです。

 

ポリーは運動も会話もうまくできない少女だったのに、なんか父と再会した瞬間からもう覚醒の片鱗を見せて、みるみるうちにたくましくしたたかになっていきます。その様子が読んでてたまりません。

 

おどおどした喋り方だったのがはきはきと話すようになり、父からトレーニングを受け体の動かし方を理解するようになり、こわいギャングにも物おじせず会話して、襲撃のために囮役を演じたり、別のギャングとは自ら交渉したり、ときにネイトに「恐ろしい」と感じさせるほどです。恐ろしい!

 

でもでもネイトにとってはそうしなきゃいけないわけで。自分が娘を毒してると分かってても、娘が誰にも脅かされずいじめられない人生を送れるようにするために自分の命を使う覚悟を決めてます。そこも切なくてかっこいいです。

 

本当に、子連れ狼、実際に作品を鑑賞したことはないんですが、そんな感じです。あと二人で逆襲に成功して大金を奪ったときには笑い合ったりもしてて、ボニーとクライドっぽくもあります。

 

そういう古典作品を現代のカルフォルニアを舞台に見事に再構築したような物語でした。

 

 

そして結末も見事オブ見事。

 

ネイトは別のギャングに娘の身の安全を保障してもらうかわりに敵ギャング幹部の汚職警官を殺す仕事を請け負い、結果的にそれは成功するけど死にます。死ぬ間際の彼の言動が泣けます。

 

そして残されたポリーは悲しみを背負いつつも新しい人生をたくましく生きていくのでした。と。

 

なんつうか黄金エンドです。美しいです。

 

13,4歳になったポリーは敵ギャングの残党を殺したっぽい描写もあり、殺し屋になってしまったかもしれないっていう結構こわい終わり方でもあったのですが、そこもいい!

 

 

いや、なんか、今日のこの私の感想ブログは本のあらすじをただなぞってるだけみたいなお粗末な読書感想文なんですが、それはたぶん、この物語は、意外性のようなものがなくて黄金パターンのかたまりのような作品だったからだと思います!

 

ね~そうだよねえ~。

 

あ、ところで、この小説は原題は「SHE RIDES SHOTGUN」で、これは「助手席に乗る」って意味のスラングだそうで、本の表紙も車の助手席の絵なんですけど、私だったらこの本の表紙は絶対熊のぬいぐるみの絵にするけどなあー。あるいはいっそアニメ絵で赤髪ポリー本人を描いたラノベ風表紙とか。

 

 

 

 

 

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