あおいとり

しゃけを目指すいくらのブログ。しあわせを探しています。

美術品がドミノ倒しなんて絶対ダメ…!

こんにちは、いくらです。

こちらの記事を読んでなぜこんなことに本当にびっくりしました。

 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170716/k10011061351000.html

私自身大学で学芸員資格を取得し、様々な実習にも参加してきました。

実習の中で美術品の取り扱いについては複数回授業があったが、本物の巻物や掛け軸になんか絶対に触るなんてできませんでした。

その実習を担当なさった学芸員の方は「美術品を私たち学芸員が破損するようなことがあれば後世の人々には大きな損失である」とおっしゃっていました。

だから、学芸員にとってこんな事故の起こりかねない展示の仕方はありえないのです。

学芸員とキュレーター

そもそも学芸員は、博物館で収集・保存・調査を行い、展示の企画を立てる研究者のことを指します。

博物館の受付や展示室内で監視をしているスタッフは派遣さんなどで、彼らは学芸員ではありません。

また、学芸員は普通、学芸員資格を保有していなければならないけれど、公立の館ではエデュケーター(教育普及担当者)を美術系の教員が担当していることもあるようです。

 

海外では学芸員のことをキュレーターと呼ぶが、その職務は学芸員よりも狭くなっています。

キュレーターは、展示専門職員や修復技術者保存管理者などを束ねる最も位の高い役職です。

逆に日本ではこれら様々なことを一人でこなさなければならず、人手不足の問題を抱えています。

 

しかし、今回の事件は細分化されているがために起こってしまったのではないかと思うところもあります。

私が実習に行った美術館は展覧会の企画担当者が開館前、開館中、閉館後と展示室内を巡回していました。

様々な業務を一人でこなすからこそ気づける異常があるのではないでしょうか。

人手不足は解決すべき課題だが一人の学芸員が広く展覧会を管理できる状況は好ましい側面もあると今回感じました。

とはいえ、ひとつの展覧会を終える前から次の展覧会の企画を立てるという厳しいスケジュールの元で働いているので、そこはどうにかしていくべきではあります。

どんな美術品にも「現代美術」だった時代がある

美術品に限った話ではないが、全てのものに最新だった時代はあったはずです。

そして当時は認められなかったものの、後からあれが時代の転換点だったと言われるものもあります。

 

かつて、マルセル・デュシャンが『泉』を発表し、ニューヨーク・アンデパンダン展に出品した時、美術品とは認められずオリジナルは紛失されてしまいました。

Marcel Duchamp, 1887 - 1968: Art As Anti- Art (Basic Art)

当時の人にとって、サイン入りの便器は美術品ではなくガラクタだったかもしれません。

しかし今となっては非常に惜しい損失です。

 

また、特に大々的に広告を打っている展覧会では、客のマナーが悪いと感じることもあります。

展示室に大きなキャリーバッグを転がしながら入ってきた人を見たときは、驚くと同時に入室前になぜ止めないと怒りが湧きました。

 

今回のことも同様に、現代美術なんてガラクタと言わず、ぜひ後の世のために保存していって欲しいと思います。

そのために学芸員の方々にはそれが出来る展示環境を整えていってほしいし、展覧会を訪れた人にも美術品を後世に遺していくという意識を持って鑑賞して欲しいです。