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迂回ルートを車で進み、第一ポイントの印を車内から注意深く探しながらゆっくりと車を走らせました。そうしている間に宗家の記憶は少しづつ鮮明になってきているようでしたが、確証には至りません。そこで車を道端に駐車して全員で歩いて探すことになりました。



道は登りとなっていて、想像していたよりもずっと山奥で、想定していたよりも長い距離を歩きました。車を停めてからも1時間以上探し続けていました。



徒歩で印を探す宗家と道場生


位置を確認する宗家と自分



脚に自信があった僕は山道を皆んなよりも先に登ってそれらしい印が見つかれば写真を撮って送るつもりで歩を進めました。



何箇所か印らしいものが見つかって写真を送ったのですが、電波が届かない山奥で画像を送れていませんでした。もちろん、状況を報告しようにも電話も通じませんでした。



しかしそれでも、何としても印を見つけて宗家に報告したいという想いと、何故だか大山総裁に試されているような気がしていました。



山の中で午後3時過ぎといえば活動を終えなければいけない時間帯であることは重々知っていながらも、ここで断念したら大山総裁に顔を上げられないという想いとこれまでの苦労が水の泡になってしまうという想いなどが複雑に交錯していました。



登山ならば「引き返す勇気」が問われる状況ですが、とにかく崖崩れがあった場所まで登り詰めれば全区間を間違いなく確認したことになるのだし、それで見つからなければ諦めもつくと考えました。



しかし、崖崩れがあった場所までは思った以上に距離があり、しかも傾斜はどんどんキツくなっていきました。さらに困ったことは、途中で道が修復されてしまっている区間があったことです。



もしもこの区間に印があったのだとしたら二度と第一ポイントを見つけることはできないと思いましたので、崖崩れの場所までいっても印がなければ修復された区間が第一ポイントである可能性が高くなると考えました。



そのためにも何がなんでも崖崩れの現場まで行って証拠の写真を撮って全区間をひと通り探したという実績を残さなければと思いました。





キツくなる一方の登り坂をひたすら走り続けました。恐らく、人生の中でこんなに一生懸命に走ったことはなかったかも知れないと思うほど必死に走って登りました。



その間も陽は刻々と沈み、恐らく皆んなが自分のことを心配しているだろうと思いました。しかし、木々の隙間を選んで電話をかけても電波が通じることはありませんでした。



汗でびしょびしょになりながら、ようやく崖崩れの場所を確認しました。その間に印らしきものを見つけることは遂にできず、残った可能性は道が修復された区間だけという確証を得ることができました。



道の所々に落ちている落石


木がいつ倒れてきてもおかしくない状況



急いで皆んなのところへ戻ろうと濡れた坂道を転ばないように気をつけながら走って下っていると、途中で副座長のねこまたぐりんさんと新人の空知さんが僕のことを探して上がって来てくれていました。



副座長からは心配したとお叱りを受け、先輩の敏蔵さんからは僕が転落して遭難でもしたのではないかと心配され、宗家にいたっては、僕の心配というよりもこの時間からこの場所にレスキュー隊を呼ぶことの重大さを心配されたようでした、、。



皆んなのいる場所まで戻った時には既に3時を回っていました。



しかし朗報がありました。僕が探している間に宗家が第一ポイントの印を発見しておられたのです。副座長たちはその事をいち早く僕に知らせようと坂道を登ってきてくれていたのだと思いました。印は自分が写真を撮って送ったものの内の一つでした。





日が傾き始めていましたが、この場所が第一ポイントであるという確証をさらに深めるために、ガードレールにロープを結び付けて、宗家と僕の二人で川まで崖を降りてみることになりました。



しかし、間近に夕闇が迫っており、そればかりか嵐が近づいてもいましたので、この時間から崖を川まで降りるのは危険を伴うと副座長が猛反対されました。



そこで先ずは、途中で停めておいた車を取りに戻り、第一ポイントの直ぐそばに駐車し直していつでも乗り込めるようにするということにして何とか副座長から了承を取り付けました。



嵐の急接近を告げる空模様



宗家と僕との二人で車を取りに戻り始めたのですが、しかし、こんなに遠かったのかと改めて痛感するほど長い距離を皆んなで登って来ていたことを知りました。



ようやく車を停め直すと、ガードレールにロープを結び付けて宗家と二人で崖を降り始めました。



予め用意しておいたロープシステム


ロープを張りながら崖を降りる自分


様子を見守る唐橋さんと空知さん


一番心配している副座長


崖下の川の状況(増水している)



川幅や川の周辺の状況を確認して、この場所で間違いないという確証を遂に得ることができた宗家と僕は、崖を登り返して上で待っていてくれている皆んなに報告してロープを回収し始めたのですが、ロープを回収した途端に驚くことが起こりました。



なんと、これまで何ともなかった天候が一変して突然雨が降り出し、しかもそれがこれまでになく土砂降りの大雨だったのです。



僕がロープを回収してから皆んなが車に乗り込むまでの僅かな間に路面はびしょ濡れになり、本当に間一髪で全身がずぶ濡れになるのを回避できたのです。



この瞬間に恐らく誰もが思いました。奇跡が起きたのだと。その奇跡は山の神様が起こしたのか、それとも大山総裁が起こしたのかは定かではありませんが、僕たちがこの場所を発見するのを待っていたかのようなタイミングであったことは間違いないことです。



ロープを伝って崖を登り返す宗家


ロープを回収しながら登り返す自分



第一ポイントが明確になったことで、次なるミッションは修行現場に行くことになりました。



しかしそのミッションは、今回のミッションよりもさらに難航するであろうことが想像できます。それほどに、大山総裁が修行を積まれた現場は人里離れた山奥で危険な場所であったということを誰もが身に染みたと思います。



山歩きに慣れている僕自身でさえ、この山域の雰囲気には危険を感じました。こんな場所で延べ一年半にも渡って、たった一人で山籠りをされていたというその精神力は想像を絶するものです。




しかし僕は今回の捜索で大きな恵みを頂いたように感じました。何といっても大山総裁と気持ちが通じたような気がしたからです。



結果的には宗家ご自身が印を見つけた訳ですが、僕個人としてはあの時諦めずに、大山総裁の視線を感じながら「押忍」という掛け声を自分に浴びせながら最後までやり遂げたという自負が生まれていました。



今後の人生の中で今回ほど必死で走ることは恐らくないと思うのですが、あの瞬間の僕の精神は肉体の限界や苦痛を完全に超越していたと思います。その証拠に、実は朝から微熱があったのですが、捜索を終えた頃には完全に体調が回復していました。



風邪をひいているときでも力禅を長くすると治るのですが、恐らくこれと似たような原理で、必死で走った影響で免疫力が最大になり体調が回復したのだろうと思います。



ただ、今回の自分の行動は皆んなに心配と迷惑をかけたことは間違いなく、その点は反省しております。





こうして二日間の合宿は大山総裁修行現場へ至る第一ポイントの再発見をもって無事に終了しました。



今回の合宿の第一の目的は自然の中でおこなう力禅の素晴らしさを体感することにあったと思いますが、その目的は各人が自分なりに体感できたと思いますし、その感覚はこれからの空手修行の羅針盤になると思います。



そして何よりも"真に達する"という達真空手の修行の目的に一歩近づく体験ではなかったかと思います。



さらに今回の合宿では聖地巡礼という特別な体験が加わって、しかも偶然を通り越して奇跡のようなことを連続して体験することになった不思議な二日間でもありましたので、記憶に残る特別な二日間になったように思います。



こうなると次は何としてでも大山総裁修行現場をこの目で見てこの足で踏んでみたいとなるのですが、その価値を理解できる自分であるためには日々の稽古の積み重ねが大事なのだと改めて思う次第です。



以上、長文となりましたが最後までお読み下さりありがとうございました。



河辺林太郎 




★こちらもご覧ください

【動画・達真空手演武〜日本刀VS空手〜】

 

 

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https://m.youtube.com/watch?v=X2cSlqip8T4

 

 

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