ポカンとした後…

ホテルの部屋のドアを出たら、ここに繋がっていたのだ、と

恭介は思い出す。

そもそもそんなことはあり得ないのだけれど…

だけども犬井さんは、さして驚く様子もなく、

「キミは、ユニークな人だなぁ」

ニコニコしながら言う。

そうしてじっと恭介を見ると、

「それはやっぱり、お嬢さんなのかな」

軽い口調で言う。

「あっ、まぁ、そうです」

思わず大きく、頭を縦に振る。

 そうだ…

 あの寝ている姿が、どこの部屋からのものなのか…

探しているのだ。

(もっとも、まったく見当もつかないのだけれど)

「落葉の舞う所で…ベッドに横になっていたから…

 てっきり、この温室かと思ってたんだけど…」

じぃっと犬井さんを見つめる。

 

 よく見ると…彼はその年頃にしては、かなり背の高い方だ。

さぞかし若い頃は…周りが放っておかなかったのだろうなぁ~

恭介はひそかにそう思う。

浅黒い褐色に日焼した肌の下の顏は…

よく見ると、くっきりとした、彫りの深い顔をしている。

袖から出ている腕は、筋肉質で、かなりガッチリとしている。

(この人は…一体、何歳ぐらいなのだろう…)

 たった一人で、この庭を手入れしているとしたら、

かなり体力がいることだろう。

(この人は…何者なんだ?)

奇妙なものを見るような目付きで、彼を見ていた。

 

 

 

 

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