「どうして?」

 まるでジュンペイが、ここにいないのは、この男のせいだ…

そう言わんばかりに、裕太はジロリとにらみつけるようにして振り返る。

「どうしてって…

 キミの友達は、ここにはいないからだよ」

だが男は、裕太の様子を見ても、気にすることもなく、平然として言い返した。

それにしても…何でそんなに、自信たっぷりなのだろう。

「何を根拠に、そんなことを言うんだよ?」

この人に怒るのは…お門違いだ、とわかってはいるけれど。

「何で、ここに、ジュンペイがいないんだよぉ」

裕太はすっかり気落ちして、ヘナヘナとその場に、しゃがみ込んだ。

(何でだよぉ)

どうしても裕太は、この状況が信じられない。

絶対にここで、裕太が来るのを待っていると思い込んでいたのだ。

「残念だったな」

ボソリと男が言うと…

「じゃあ、どこにいるんですか!」

半ば噛みつくように言う。

 

 わかっているんだ。

怒る相手が、違う…ということは。

だけど男は、まったくひょうひょうとして、

「さぁ?そんなの、ボクにはわからないよぉ」

のらりくらりとした口調で言う。

じぃっと裕太を見据えて言うので、

(何なんだよ、この人!)

押さえられない怒りが、猛然とこみ上げて来る。

何だって、人のすることに、イチイチケチをつけて。

じゃあ、どうしろって言うんだ?

もはや、八つ当たりだ。

それはもちろん、裕太にはわかっていた。

だけどもどうしても…怒りをどこにぶつけたらいいのか、わからない。

裕太は頭をかかえた。

 

 

 

 

 

 

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