それよりオジサンは…大丈夫なのだろうか?

裕太はそのことが1番、気がかりだ。

「ふん、まぁ いいか」

 裕太がホツとした顔をする。

それにすかさず、その男は気付いて見ていたが…

「まぁ、妙な真似だけは、考えないように」

ピシリとそう言った。

「じゃあボク…その人の所へ、行ってきます」

なるべくさり気なく、クルリと背を向けると、

「待て!」

いきなり男の鋭い声がかかる。

(えっ、なんで?)

裕太は背中をむけたまま、背中にジワリ…と、冷や汗がにじんでくるのを感じた。

「まぁ、いい。

 それじゃあ、タイムリミットを付けよう」

ニヤリと歯を見せて笑うと、男は裕太に宣言する。

「えっ?いつでもいいんじゃあないの?」

何でだよぉ~

不満そうに、裕太は口をとがらせる。

だが男は、冷ややかな目で、裕太を一瞥すると

「ダメだよ」

即座に言い放つ。

「そんなことをしていたら…キミの友達が、どうなってもいいのか?」

痛いところを、突いてきた。

どうやらそう、甘いものではないらしい…

「ずるいぞ!」

悔しくて、思わず裕太が叫ぶ。

だが男は、まったく平然とした顔で

「ずるいのは、どっちだ!」

揺らぐことのない、冷ややかな目で、裕太に向き直った。

 

 

 

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