「あっ、ごめん…」
あわてて頭を下げる。
「なんて言うか…
リョウくんが、本当にお化け屋敷に住んでいるのかどうか、
知りたかったんじゃあないの?」
まるで、他人事のように、淡々と宗太郎が言う。
(知ってるんだ…)
さんざん気を使っていたけれど、本人はすでにこの家のことが、
噂になっているのを、知っているようだ。
すると急に、神林くんはイタズラっぽい顔になる。
「ここで、殺人があった…とか、幽霊が出るとか、言われているんだろ?」
ニヤニヤしながら、楽しそうに神林くんは言う。
(ヤバッ!)
宗太郎は焦りつつも、動揺を押し隠し、
「うん、まぁ…小学生の頃、そんな噂があった」
ごまかすように言うけれど、内心のところ、冷たい汗が宗太郎の背中を
伝っている。
「肝試しをしに来たりするんだってな」
サラリと神林君が言う。
(うわっ、これもバレてたのか…)
さして気にすることなく、神林くんがポンポンと話す。
そんな彼を見て、宗太郎はひたすら、目を白黒させた。
ははは…
そんな宗太郎の様子を、神林くんは面白がっているようだ。
「で、キミたちも、その口なんだろ?」
さり気なく言う。
まるで、誘導尋問だ。
2人の口を割ろうとしている。
宗太郎は思わず、口を閉ざす。
「違うわよ!」
リンとした声で、清子がキッパリとした態度で言う。
「へぇ~」
じぃっと探るような目付きで、神林くんは清子を見つめた。