「どんなところに、出るんだろう?」
不安だけれど、それでもやっぱり裕太は、ワクワクする。
海岸?
それとも…山?
ガケだったりして…
小学校とか?
あれこれと、頭にこの島の地図を思い浮かべる。
『きっと…あまり人目のつかないところだろうなぁ』
リュウタがそう言うので…確かに、それはそうだ…と、裕太は
納得する。
話をしている間にも、リュウタはこの木に沿って、まっすぐに
上を目指して上がり続ける。
(どれだけ、地下にもぐったんだろう?)
グングンと、周りの色が明るくなっていく。
それに気が付くと、さっきまでの出来事は、まさか夢だったのでは、
などと思ったりもする。
『一気に上がるぞ!
しっかりと、つかまれ!』
リュウタの声が、裕太の頭にしっかりと響く。
裕太は無意識に、ギュッとリュウタの長い首に両手を回すと、
グッと目をつむる。
そうしないと、たちまち暗闇の中に、振り落とされてしまうのでは?と
恐れたからだ。
まるでジェットコースターが頂上を目指して飛ばすように、
グングンと地上目指して、上がって行くのを感じる。
あのドキドキ感と似たような高揚感と、そして不安とかが入り混じり、
裕太の中でないまぜになる。
ゴーッという音がしたかと思うと、間髪入れずに、一気に風が自分の周りを
吹き抜けるのを感じた。