展覧会「部屋のみる夢─ボナールからティルマンス、現代の作家まで」が、箱根のポーラ美術館にて、2023年1月28日(土)から7月2日(日)まで開催されます。
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コロナ禍以降、 私たちの生活様式は大きく変化しました。移動が制限された状況で誰もが多くの時間を過ごしたのが、「部屋」という空間です。
本展では、19世紀から現代に至るまでの、部屋にまつわる表現に特徴のある作家を取り上げ、個性にあふれた作家たちによる多彩な室内の表現を紹介します。

<出品作家> ベルト・モリゾ、ヴィルヘルム・ハマスホイ、ピエール・ボナール、エドゥアール・ヴュイヤール、アンリ・マティス、草間彌生、ヴォルフガング・ティルマンス、髙田安規子・政子、佐藤翠+守山友一朗

<みどころ>
1. 19 世紀から現代まで、あらためて見つめ直す「部屋」をめぐる表現
19世紀から現代までの約50点の作品を通じて、部屋にまつわる表現を紹介。古くから、室内で起こる出来事や、窓から差し込む光などは芸術家たちの着想源となり、部屋はさまざまな作品に描かれてきました。近代化以降、部屋の表現は絵画の重要なテーマとなり、数多くの室内画が制作されました。現代のアーティストたちが手掛ける作品とともに、部屋をめぐる多様な表現をあらためて見つめ直します。
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ベルト・モリゾ 《テラスにて》1874年、東京富士美術館  © 東京富士美術館イメージアーカイブ DNPartcom
モリゾは、近代生活の情景を描いて高い評価を得た印象派の女性画家です。娘のジュリーをはじめとする近しい人物たちの登場する室内の場面とともに、彼女が好んで取り上げたのが、ベランダやバルコニーといった空間で家族や友人たちの織りなす親しみに溢れた情景でした。

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ヴィルヘルム・ハマスホイ 《陽光の中で読書する女性、ストランゲーゼ30番地》1899年、ポーラ美術館
ハマスホイは、静けさに満ちた独自の室内画を描いています。鑑賞者に背を向けている人物を描いた室内画が多く、その静謐さがゆえにオランダ絵画の黄金期を代表するフェルメールの絵画を彷彿とさせます。

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ピエール・ボナール 《静物、開いた窓、トルーヴィル》 1934年頃、アサヒビール大山崎山荘美術館
世紀末のパリでナビ派の一員として活躍したボナールは、生涯にわたって、恋人や家族、友人などの身近な人々や、自宅の室内や食卓といった身の回りの対象をモティーフとし、その情景の記憶を描きとめました。

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エドゥアール・ヴュイヤール 《書斎にて》1927-1928年、ヤマザキマザック美術館
1890年代、ヴュイヤールはナビ派の画家として絵画や装飾パネルを制作する一方、自宅の室内の母や姉をモデルとして、明暗の効果を用いた神秘的で暗示に満ちた空間を描きました。

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アンリ・マティス 《窓辺の婦人》1935年、ポーラ美術館
大胆な色使いと筆致により「フォーヴ」(野獣)と称されたマティスは、1921年以降、明るい日差しに惹かれ南仏ニースを拠点として活動しました。ときに窓を通して差し込む地中海の光や眺めを取り入れつつ、壁掛けや調度、モデルの衣装にまでこだわって演出した室内空間を描いています。

2. 草間彌生、ヴォルフガング・ティルマンスの新収蔵作品を初公開
現代を代表する作家である草間彌生、ヴォルフガング・ティルマンスの新収蔵作品を初公開。草間はこれまでにベッドをモティーフとした作品を2点制作しており、新収蔵作品はそのうちの1点にあたる貴重な作例です。
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草間彌生 《ベッド、水玉強迫》2002年、ポーラ美術館 © YAYOI KUSAMA

また、写真の新たな表現を開拓し続けるティルマンスが、日常生活を送るとともに制作に明け暮れる時間を過ごした室内を捉えた作品を紹介します。
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ヴォルフガング・ティルマンス《静物、ボーン・エステート》2002年、ポーラ美術館 ©Wolfgang Tillmans, Courtesy Wako Works of Art

3. ステイホーム以降の新たな感性を伝える、現代作家たちの作品を展示
髙田安規子・政子は、身近な事物や風景を用いて、スケールや時間の感覚を揺るがす緻密なインスタレーションを手がけるアーティストです。本展では、室内と屋外をつなぐ窓や扉を取り上げ、ステイホーム以降更新されてきたパブリックとプライベートの境界のあり方を問いかけます。
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髙田安規子・政子 《Relation of the parts to the whole 》2022年 撮影:長塚秀人 © Akiko & Masako Takada

昨年に初めて二人展を開催した佐藤翠と守山友一朗は、新作のなかで閉じられた部屋と開かれた自然との関係を再考します。
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佐藤翠《Floating Dahlias Closet Ⅲ》2022年、個人蔵 © Midori Sato, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

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守山友一朗《Tea time on a table》2020年、個人蔵 © Yuichiro Moriyama

【展覧会概要】
部屋のみる夢展 ボナールからティルマンス、現代の作家まで 
Interior Visions : From Bonnard to Tillmans and Contemporary Artists
展覧会「部屋のみる夢─ボナールからティルマンス、現代の作家まで」
会期:2023年1月28日(土)~7月2日(日)会期中無休
会場:ポーラ美術館 
住所:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285
※臨時休館の場合あり
展示会ウェブサイト