小さなことにも・・・

マッカーサー元帥

 先日新聞を見ていて、ある写真に思わず目が止った。
 
 事件がらみの写真ではない。紙面の下部に載せられている本の、広告に使われている写真だ。
 
 その本とは、吉田茂元首相の回想録である。
 終戦直後に長く日本の首相をつとめた吉田茂。強いリーダーシップで戦後の混乱期にあった日本を率い、戦後日本の礎を築いて、日本で初めて国葬で葬られた政治家である。最近のナントカ元首相と違って、反対運動も起きなかった。

 さて、その回想記本の広告に使われていた写真だが、もちろん吉田茂本人の写真と、もうひとり、占領地日本の最高司令官だったマッカーサー元帥のものだ。

 わしがちょっと驚いたのは、そのマッカーサー元帥のほうの写真である。

 これまで彼の写真でよく見たのは、レイバンの卵型サングラスを掛けている、カッコいい姿のものが多い。
 とりわけ連合国軍総司令官として初めて日本の厚木飛行場にやってきたときの、タラップ上でコーンパイプを咥え、腰に片手をそえて悠然と占領地を見回していた軍服姿の彼には、敗戦で打ちひしがれて地べたにへたりこんでいた日本人には、威厳と力に満ちあふれた圧倒的なカッコ良さがあった。
 
 ところが吉田茂の回想録の表紙に使われているのは、サングラスを外して、素顔を丸ごと見せている珍しい写真であった。

 わしがその写真に驚いたのは、その顔が平凡そのものの男の顔・・・いやむしろ気の弱そうにさえ見える男の顔であったことだ。
 そこにはサングラスを掛けている時の、威厳と権勢と自信に満ちあふれた近寄りがたい雰囲気はニオイもなかった。
 
 ところで急に下世話な話をするが、われわれ一般人のなかにも、ふだんサングラスをかけて強面(コワモテ)に見える男が、グラスを外すと意外と優しそうな、むしろ気弱そうにさえ見える男であることはちょくちょくある。

 ・・・というか、サングラスを常用している男は、むしろそういう優しい顔をしている男であるほうが多いように思う。
 
 恥を忍んでコクハクするが、わしも若いころの一時期、レイバンの卵型サングラスをちょくちょく掛けていた時期があった。

 いまさらいうのも何だが、わしの顔もコワモテではない。いやまあ逆だろう。当ブログの冒頭の画像にときどきシャレで、自画像のマンガを使用していることもあるので、ご想像いただけるかと思う。

 さてマッカーサー氏。
 世界を巻き込んで列国がはげしく争った第二次世界大戦で、連合国軍最高司令官にまで上り詰めた男である。
 だがその自分の素顔が、そうした人間にはふさわしくないという、ある意味ではどうでもよい些末なことにも、きちんと意を用いていたところに彼のエラサの一面が顕れているように思う。

 頂点に上りつめれば、そのような本質的ではない卑小ゴトには、普通の人間ならつい気を配ることをしなくなる。
 しかし大きな仕事をする人間は、そういう小さなことをも常に疎かにしない客観的な視点を失わないのだと感じる。
 
 小さなことにも気をくばる大物。

 ・・・とまあ、たまたま見たある写真から、わしのヒマな頭に浮かんできたどうでもよい妄想を述べた。
 
 そんなものに付き合わされたアンタもヒマ・・・いや災難だったねぇ。
 スンマセン。

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