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【羽田】どこに離陸?着陸?滑走路使い分けルール【2022年最新】

どの滑走路から離陸するのか」「どこに着陸するのか」って実は細かく決まっているんです。さらに、羽田空港の滑走路ルールは、2020年に大きく変化しました。今回はそんな『羽田空港の滑走路新運用』の最新情報をお届けします!

今日のボクたちの飛行機どこに降りるんだろうー?

実は飛行機が離着陸する滑走路は細かく決まっているんだよ

そうなの!?!毎回あてっこしてたのに...(泣)

説明はいいから、取りあえずどこの滑走路かだけを知りたいという人は、「早見表」をすぐにチェック!!

2020年に滑走路ルールが一新

家族や友達が飛行機を使う際のお見送り・お出迎えの際、「その飛行機どこから離陸するんだろう?」「どこの展望台に行ったら見れるんだろう」って思った事はありませんか?使用する滑走路は細かくルールが決まっており、緊急時意外は全ての飛行機が規則的に振り分けられています。

そして、羽田空港の滑走路の使い分けルールは、2020年3月に変更されました。その理由は「東京オリンピックに向けたインバウンド需要の増加に対応するため」です。実はこのブログでも過去に滑走路の使い分けを紹介していました。しかし今回は、最新ルールを改めて紹介していこうと思います!!

ルール変更の経緯

東京五輪の開催が決定して以来、国と羽田空港はルールの変更に向けて動き出しました。ただ、現地住民による 「騒音問題・落下物問題」を懸念する反対意見が多く、計画が難航していました。それでも、空港側による現地住民の説得のおかげで、遂に2020年3月29日からの変更適用が決定しました。それに先立ち、2020年1月30日から「試験運用」が始まりまりました。

しかし、試験運用段階でも「着陸時降下角度3.45度」が問題になり、騒がれました。つまり、「騒音問題を解決するためにできるだけ空高く飛んだ後に 着陸直前に急降下しよう」という新計画が危なすぎる、と議論になったのです。これについてはまた別の記事を書こうと思います。

ルール変更の内容

最終的に決定して一新したルールは、滑走路の運用を完全に変更するものではありませんでした。現地住民の反対を押し切るために、ある限られた混雑時間のみ「住宅の上空を低飛行する新ルール」を適用し、他のほとんどの時間は「従来通りのルール」を適用する、という事になりました。その「ある限られた混雑時間」がいつかは、後述します。

 

では早速「滑走路使い分けルール」を見てみよう

 

滑走路選びの3原則

羽田空港において滑走路を決める要素は基本的に以下の2つのみです。

  1. 風の方向
  2. 目的地の方向
  3. 時間

其の一 風の方向

  飛行機は常に「向かい風」でしか離着陸ができません。なぜなら、飛行機は前から来た風を翼に当てることで、浮かぶ力(=揚力)を得ているからです。つまり、「早く飛びたい離陸」も「滑らかに降りたい着陸」も向かい風が必須です。そのため、向かい風となる滑走路を常に選択します。例えば、北風(⬇︎)が吹いている時は、南から北向き(⬆︎)に離着陸します。

あれっ。紙飛行機は追い風の方がよく飛ぶよ!

そうなんだよ!追い風だと速度が出て早く遠くへ飛べるんだ。
でも紙飛行機に向かい風を当てるとどんどん浮かんでいくよ

航空機も、離着陸の時は「浮かびたい」から向かい風が良くて、上空では「速く進みたい」から追い風がいい、という事です。アメリカ便は行きが速くて帰りが遅いのはそのためですね。(「行き便帰り便の時間差の謎」はこの記事をチェック!

離着陸:浮きたい! ⇒︎向い風

上空 :進みたい! ⇒追い風

※ちなみに、一年のうち6割は北風・4割は南風が吹いています。特に北風は冬に多く、南風は夏に多いのは周知の事実ですね!

其の二 目的地の方向

 これは、羽田空港独特な運用方法です。羽田空港は、地方空港とは異なり、発着便数が多く滑走路も4つあるという特殊な空港です。そのため、全ての便を「北便」「南便」の2つに大別して、それぞれに別の滑走路を振り分けています。

北便 ... ヨーロッパ アメリカ 一部アジア(北京etc) 北海道 東北
南便 ... アジア オーストラリア 西日本

 

其の三 時間

前述したように、新ルール適用にあたって現地住民の反対を抑えるため、「限られた時間のみ新ルールが適用できる」という仕組みにしました。つまり、それ以外の時間は従来通りのルールで滑走路を使うのです。この「限られた時間」は、風の向きによっても変わってくるので、表でまとめてみました。

 
 
北風(⬇︎)時
南風(⬆︎)時
0時〜7時
従来経路
従来経路
7時〜11時
新経路 可 新経路 可
11時〜15時
従来経路 従来経路
15時〜17時
新経路 可 従来経路
17時〜24時
従来経路 従来経路
 ただし難しい点なのが、「”新経路 可”の時間の間は、1日約3時間程度のみ新経路を使用する」という記述です。つまり、この時間であっても従来経路の可能性もあり、非常にややっこしいのです。

羽田の滑走路について

まずは羽田の4つの滑走路を見てみよう!

そもそも羽田空港にある4つの滑走路にはA,B,C,Dという名前があります。

羽田滑走路

そしてさらに、それぞれの滑走路には両方向にそれぞれ名前がついています。例えば、A滑走路は南から北方向(⬆︎)が「34L」、北から南方向(⬇︎)が「16R」という名前です。こうすることで、パイロットに「34L」に着陸してねーって言うと、「A滑走路を南から着陸すればいい」ってすぐに伝わります。同様に他の滑走路はこのようになっています。

 
 
北向き(⬆︎)
南向き(⬇︎)
A滑走路
34L
16R
B滑走路
04
22
C滑走路
34R
16L
D滑走路
05
23

 

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 この滑走路の名前の意味はここでは省略します。こちらの記事に詳しくまとめました。

 

 

 

羽田滑走路 8種類の使い方

じゃあ羽田滑走路の使い分けを見ていこう!

これから、「風向・時間・目的地」の3要素それぞれの時の使用滑走路を説明していきます。説明用画像は、国土交通省の羽田空港が作成しているページ*1から引用しています。

 

北風 従来経路

北風ということは向かい風を受けるために南から北向きに離着陸します。
赤が着陸便青が離陸便。北につながる矢印は北便・南側が南便です。

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北風 新経路

次に、北風時の新経路。実はこの新経路、使用する滑走路は従来と全く同じなんです。
変更された点は、離陸後の上空経路。従来よりも住宅地に近いところを飛ぶ事になっています。

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南風 従来経路

南風の従来経路は、北東から着陸南東に離陸となっています。
注意しなければいけない点は、北側の滑走路(22)で南便、南側の滑走路(23)で北便が着陸している点です。離陸便に邪魔されずに自由に使用できるB滑走路を、比較的便数の多い南便に振り分けるための工夫です。

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南風 新経路

そして南風新経路は、北西から着陸する経路です。

この経路の最も厄介な点として、北便離陸経路が2パターン存在することが挙げられます。ただ、運用計画には、A滑走路が21回/時・C滑走路が5回/時だけ離陸を行う、と書いてあったので、A滑走路の方がメインで運用されるようです。

A/C滑走路の使い分けに関してご存知の方いましたら、コメントしていただけると嬉しいです!!

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離着陸滑走路早見表

1. flight radar24で現在状況を確認

まずは、現在の運用経路を知る必要があります。風向を調べたりするよりも手っ取り早いのは、flightradar24で確認する方法です。現在飛んでいる航空機の位置を確認できます。

Flightradar24を開いて、羽田空港に着陸しようとしている(又は着陸した)飛行機が、どの方向から着陸しているかを確認します。以下の3つの写真のどの赤い矢印と一致するかを見ましょう。

ちなみに、Flightradar24では、飛行機をタップするとその飛行機のルートが確認できるので、判別が楽になります。

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2. 調べたい飛行機が「北便か南便か」を確認

目的地や出発地をチェック!!

北便 ... ヨーロッパ アメリカ 北海道 東北 一部アジア(北京etc)
南便 ... 西日本 アジア オーストラリア   

3. 早見表で見る

 
 
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離陸 北便
34R 16L 16R (偶に16L)
離陸 南便
05 
16R
22
着陸 北便
34R 23 16R
着陸 南便 34L 22 16L

4. 滑走路の見える展望台へ Let' go !!

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A・B滑走路なら、「第1ターミナル展望台」か「第3ターミナル展望台」、

C・D滑走路なら、「第2ターミナル展望台」がおすすめです!

 

まとめ

家族や友達が飛行機を使う際のお見送り・お出迎えの際は是非、展望台で飛行機を眺めてみてください!
但し、本サイトに記載している滑走路運用方法は「基本的な運用方法」であり、常に安全を優先して運用しているので、急な変更が発生する場合もあります。ご了承ください。また、本サイトの内容によって生じた不都合・不利益に関しては、一切責任を追えませんのでご了承ください。

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