いきなり愚痴から始めるが、
ジョージアでアンティークを探すのは本当に大変である。
そりゃジョージアの美術館に行けば、
様々な美しいアンティークを見る事はできるが、
実際に買うとなると全く手立てがなくなる。
ジョージアでもアンティークショップと称する店は多いが、
扱っているのはロシアまたはソビエト時代のお皿やカトラリー、シャンデリアがほとんどで、
いわゆる古い日用品であって僕が求める古美術品ではない。
で、クタイシの美術館の物達のご紹介。
美術館員に許可を得て写真を撮っています。
中央の布をよく見ると、縁に古のジョージア文字※(正確な呼び名は不明)が縫い込まれている。
古いジョージア文字は現代の宗教物にも見る事ができ、美しいカリグラフィであると思える。
(※歴史的な詳細が複雑なので、この回でもジョージアまたはジョージア文字としてますが、
カルトヴェリとかカルトリなのかなど、
紀元前3世紀にはジョージア文字はあったらしいが詳しい事は分かりません。
毎度情報が間違っていたりで不勉強ですみませんが、
あくまで宝探しのブログとしてお読みくれれば嬉しいです)
こーゆーのが欲しいが、どこを探しても売っていない。
英語の話せる美術館学芸員に「アンティークが欲しいんだけど、何処で買えるの?」と聞いたが、
「えっと...うーん...ジョージアで売っている所はないわね」と言われた。
物を見る限り、おそらく教会関係から譲り受けるのだろう。
一介の外国人行商がそこに入り込むのは時間やコネが必要で難しいだろうな、と思った。
交易の地であったジョージア。
様々なかつての王国や帝国が入り組んでいて、一瞬どこの宗教物か分からないのだがジョージアの物だろう。
色々詳しく聞きたかったが英語を話せる学芸員が一人しか居なく、
それもたどたどしい英語であり詳しくは聞けなかった。
どれも素晴らしい。
トビリシの美術館の。
黄金が多い。
素晴らしすぎる。
アブラハムとその家族を信仰する護符らしい。
文化が混ざり合い交差するジョージアは様々な物が存在したのね。
有名な黄金ライオン。
きゃわゆい。
古いコインも多く展示されていたが、
モスリムコインも多くあった印象。
ジョージアは料理が美味しいとか自然が美しいとかが有名だが、
美術品の感性も非常に高いと個人的に思うのです。
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アンティークの美術品に続きジョージアの古い民族衣装。
今では結婚式以外では着られなくなったようだ。
クタイシの美術館に飾られていた男性用民族衣装チョハ。
以前、僕も古いチョハをジョージアで仕入れた事もある。
地方の古いチョハは山羊の毛で創られていると某学芸員の方に教えて頂いた。
剣は検閲上持ち帰られないのだがベルトもかっこいい。
ベルトは別日に個人的に買ったのだが、
僕が買ったベルトの装飾部分の先が少し尖っていて空港のX線チェックで二回止められた。
知人の絨毯屋に古い民族衣装の事を聞いたら写真を沢山送ってくれた。
もし仕入れても一般的には売れないだろうから、
どれも仕入れる事はしなかった。
もう忘れられていると思うが、一応、僕はプロのディーラーである。
しかも個人商売の零細バイヤーである。
今まで珍しい物や良い物は数多く見ているとは思うし、
自慢では無いがチベット関係に至っては美術書や専門書に載る以上の物も数多く見て来た。
多くの場合、それらはお金さえあれば買える(または交渉可能な)状況の場に居るのである。
しかし僕はコレクターや学者ではないので見送る事は多い。とゆーかほぼ見送る。
何せお金がない。
友人がキャバクラで一晩数十万円を使う姿を見てジクジたる想いであるが、
この資本主義社会の現代ではお金の使い方は人それぞれだろう。
やれやれ。
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おまけ
バグラティ大聖堂の裏にあった古の彫刻石。
写真の石はまだ壁の一部としての体をなしていてマシだが、
教会の周りには大小様々な他の彫刻石の破片が多数転がっている。
野外に全く手入れしてなく裏手の草だらけの溝とかに放置されていたので、
神父様に「どれか小さな石を記念に譲って頂けませんか?もちろん寄付金を収めます」と
神をも恐れず、ずうずうしく聞いたが丁寧に断られた。
当たり前だろう。
もちろん、売買用にするつもりもなく最大限のリスペクトを込めて聞きました。
歴史的な文化価値があるはずだが瓦礫の様に放置されているのは忍びない。
どこか屋内に保管するか、せめて整理して欲しい欲しいと外国人ながら余計なお世話とは思ったが感じてしまった。
僕が出来る事は寄付のみだったので寄付金を募金箱に多めに入れて後にしました。