2021年08月24日

米英と中国のどちらを信用すればよいの?

今回は、「世界の主導権を掛けて争っている米中両国の情報発信を見た上で、何を信用すればよいのか」の考察となります。

既に関係が完全破綻したように見える米中の両国ですが、双方が敵対する国のネガティブなイメージを国際社会に植え付けようと色々な情報を発信しており、世界各国の国々も両国のこれ等の態度に対して様々な態度を表明しています。

米英発の中国批判や政策に対して、欧州勢や英連邦の国々は、中国の「中国国内の少数民族に対しての非人道行為と思われる情報」を指して、中国と敵対する道を選びました。

逆にロシアは欧米の発信している情報をそれ程までに重視せずに、中国相手にそれほど厳しい姿勢は取っていません。これは米国との親密度加減が関係していると思われます。

一方日本は、一応欧米に追従する姿勢を示していますが、どこか奥歯にモノが挟まったかのような微妙なニュアンスが見え隠れしています。

基本的に先進国に関しては、程度の差は有れど中国批判に舵を切っているように思えます。

逆に、これ以外の国々に関しては、態度を鮮明にしていないように思えます。これは態度を鮮明にする事によるメリットよりも、鮮明にするデメリットの方が巨大であるからと考えられます。

先進国に関しては、世界の流通や国際決済を米国に依存しているため、米国の築いた世界の構造から放逐されないようにしている為だと考えられます。

途上国が米国に追従しないのは、「米国依存が先進国よりもひどくない事」と「安易に米国に追従しない事による、対中国アピールから生じる、中国による自国への援助引き出し」を目的としているからと、それ以外にも途上国であるが故に国内の統治体制が中国と変わらない様な少数民族に対しての弾圧を布いている事も一因と考えられます。

これ等の態度の違いは、「米中の何方かに対しての親密度のバランス」や「米中の対立にどれ程影響されるのかの地理的・経済的な影響度」や「米中両国の発信している情報や理念に国内が対応できるのか?」に原因が有ると思われます。


★アメリカによる「"世界"に対しての対中情報発信」
では米国と中国の双方の互いへの批判は、どの様に信用し受け止めればよいのでしょうか?

まず米国に関しては、歴史を見渡してみれば「トンキン湾事件から発生したベトナム戦争」や「9.11テロから繋がった大量破壊兵器疑惑による対イラク戦争」や「かつての日中戦争で蒋介石の行った米国に対しての対日印象操作を信じ込んだフリをしてテロ組織でもあった中国国民党に軍事支援した件」などを確認すると、幾らでも嘘を吐きますし、相手のついた嘘も、信じたふりをして自国の国益に成ると思われる政策の出汁として利用しています。


今回の中国批判として利用しているモノとして、「コロナウイルスの戦略利用疑惑」や「チベットやウイグル等の中国共産党政府による侵略地域への弾圧に対しての批判」が有りますが、

コロナウイルス戦略利用疑惑に関しては、先のトランプ大統領が個人で、ツイッターなどを使用し散々中国政府を批判していた事は記憶に新しいが、実は連邦政府の総意としては、必ずしも中国政府が確信的に兵器として戦略的に利用したとは断言してはいません。

中国が占領した「中国内の他民族地域への民族的・文化的な弾圧」に関しては、米英西側諸国は中国の残虐性を誇張し伝えてはいるが、中国政府は公式に否定しており平行線に至っています。これは且つてチベット・ウイグル・内モンゴル・満州を支配下に置いた時に、中国共産党が行った占領地の民族に対して行った政策が疑いの眼差しを向ける要因として働く上に、例え共産党政府が虐殺を主導していなかったとしても、あからさまな個人の自由の規制や民族浄化(文化浄化)は行っているため、その部分を批判される事から、いざとなればその部分を批判の主題として挿げ替えればよいと考えている為とも思われます。

これに対して中国側が無実証明の為のフリージャーナリストを安易に国内に招き入れる事が出来ないのは、米英側の欧州諸国も歴史的に情報操作は幾らでも行っているため、それらを考慮すると共産党政府としても何を捏造されるかも分からないと疑っているのでは無いでしょうか?


★中国の「対米国を目的とした世界に対しての情報発信」
では、これに対して中国側は信用できるのかと言うと、歴史を見渡せば中国側(と言うか漢民族や中国を支配した民族の建国した国)に関しても、いざと言う時はいくらでも嘘を吐いています。

「日中戦争時の国民党(蒋介石政権)の行った対日を意識した対米情報操作」や「三国志時代の魏の国の魏志倭人伝」がこれに当たります。

知っている人は知っていると思いますが、「日中戦争時の国民党(蒋介石政権)の行った対日を意識した対米情報操作」に関しては、蒋介石が日本と戦うために米国からの援助を必要としており、米国が地政学的に日本と対立してしまう事を分かった上で、嘘でもソレを口実にして支援してくれるに違いないとの確信で、国際社会に嘘を訴えたと思われます。

「三国志時代の魏の国の魏志倭人伝」に関しても、"魏"と争っている"呉"の向こう側に、"魏"と仲の良い"倭"が有ると"呉"の国家リソースの全てを"魏"に向ける事が出来なくなるとの意図が有って、魏志倭人伝のような文献が作られたと考えられます。(魏志倭人伝によると"倭国"の位置が沖縄とか台湾の辺りに在る事になってしまうため、現在でも倭国の位置が何処にあったかの論争に成っています)

また、「選挙によらない独裁政権である中国に置いては、民衆の覚悟の上で選ばれた政治家が政治を行っている訳では無い事から、民衆の不満を溜め込ませない様にする情報操作を目的とした情報発信を行わなければ成らず、そのため中国共産党政府の発信した情報の全てが真実である筈が無い」と言う事も大前提として考慮しておかなければ成らないと考えられます。


★米国と中国の情報発信の主体
ここで米国と中国の情報発信合戦の主体と成っているモノに少しばかり違いが有ります。中国に関しては、政府や国営メディアがソレを行っていますが、米国の場合「政治家一個人の非公式場での発言」や「政府とは無関係の専門機関やメディアによる情報発信」、また「政府の見解であっても可能性は述べても、断言調では述べない」などの配慮が有り、中国の述べている事に関しては後戻りや修正が行い難いのに対して、米国の情報発信の場合は、尻尾の切り捨てによる情報修正が容易である様に思えます。

中国の場合、メディアも個人も政府の影響下が強いため、どうしても中国共産党の公式の見解として受け取られるリスクが有りますが、米国の場合自由経済の下で自由の情報発信を行っている事から、「あの情報は政府の公式の見解では無い」との言い訳が効くようになっている様なのです。

この辺り、覇権国家としての老獪さが滲み出ているように思えます。


★日本は中国に対してどの様な態度で臨めばよいの?
ではこれら米中の情報発信に対して日本はどの様に対応すればよいのでしょうか?

ブログ主の考えるところ「中国との関係を必要以上に悪化させる必要は無いが、基本的に米国の側に付く事が求められる」と思っています。

なぜかと言うと、「日本が米国の構築した国際秩序の下で恩恵を受けている事」が一つ、二つ目が「米国に敵対している大陸勢力がアフガニスタンに引きずり込まれ、日本に軍事リソースを向ける余裕が無くなるため、大陸勢力を米国の咬ませ犬として利用する余地が少なくなり、バランシング戦略が行い難くなるため」と、三つ目が「米国が軌道修正を行い日本との関係が悪化しても良い状況を作る可能性ある」の三点が考えられるからです。

一つ目は、いちいち説明する必要は有りません。

二つ目は、この記事の一つ前の記事で述べています。

三つ目は、ひとつ前の項目で述べた米国の老獪さが原因で、中国との関係を必要以上に悪化させないようにし、また改善できるようにしておけば、米中間の対立を煽り国益に出来る日本の様な国の術中にハマるリスクが低下します。

そのため「中国よりも米国と誼を結んだままにした方が良い」と言うのがブログ主の結論となります。

と言っても中国との関係も不必要以上に悪化させては成りません。

上記の可能性が高くなるのであれば、米中両国との関係を悪化させるのは安全保障上のリスクの観点からも容認する訳には行けません。

だからと言って中国との関係を良い状態のまま維持するのも米国に目を付けられる恐れが生じ、良い手とは言えません。

つまり日本としては、米国と関係を維持したまま、だからと言って必要以上に中国との関係を悪化させない様にするための中国も国際社会も容認せざるを得ない大義名分をかざして中国から距離を置く必要が出てきます。

難しい問題では有りますが、口実は作れます。

これに関しては、中国を含む特定アジア諸国が度々利用している「歴史認識を利用しての日本に対しての悪魔の証明による対日批判」を利用します。

知っている人は知ってはいると思いますが、特定アジア諸国が日本を批判する時、「日本は邪悪な国家である。何故なら邪悪な国家では無い証拠を証明できないからである」と言う論法で日本を批判します。これは日本が且つて行った事と言われている「南京事件」などがソレに当たり、例え日本が悪くない証拠を提示したとしても、その証拠が捏造されたモノでない証拠を要求したりして、有耶無耶にしようとする態度を取ったりしています。

ならば日本もソレを真似すればよいと思われます。

日本にとって「米国と関係を強くし、中国から手を引く事」が政府が主導する形では無い方法で求められるのであれば、日本の企業を中国から手を引かせるのが良いのですが、何の証拠も無く中国批判を行い、日本企業に中国との関係を絶つのであれば、日本の企業も中国政府も納得した態度は取れない筈です。


ですが「中国が日本の歴史問題を批判するように、同じように「自国が無実である」と言う証拠を「全世界の国々の人が確信できる形」で提示しないため、引かざるを得ない」との態度を表明し、中国に進出している日本企業に引かせれば、中国政府としては日本に悪魔の証明を要求している手前、苦虫を嚙み潰さざるを得ないと思われます。(納得するかどうか・・・、引くかどうかは別として・・・)

まあ、中国がそれで納得するかどうかは別として、日本国民を動かすには十分な口実ですので、少なくとも中国の要求する悪魔の証明に対して苦虫を嚙み潰している日本の反中保守層にとっては歓迎する行いに成ると思われます。



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以上を持って「米英と中国のどちらを信用すればよいの?」の考察を終了させて頂きます。

まあ、歴史を見れば両勢力とも「騙す時は、騙す!!」ので、馬鹿正直に信用するのは愚か者の行う事と言えるのでは無いでしょうか?

日本にとって必要な思考は、この状況利用して、どの様にして自国の安全保障を構築するかで、真実を明らかにする事では無いと思われます。政治外交と言うモノに、表向きにはどうかは分かりませんが裏では血も涙も必要ありません。

如何に冷徹になれるかが、政治家にとって必要な行動かと思われます。日本の政治家にそれを期待しましょう。


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