じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

中村文則「月の下の子供」

2022-07-01 16:13:30 | Weblog
★ 人と出会えば「暑い」が常套句になっている。7月早々、宇治市は過去最高気温を記録したという。暑いと食欲がなくなり、何かをする意欲も低下する。「うだる」とはよく言ったものだ。

★ さて、そんな暑さに耐えながら、中村文則さんの「世界の果て」(文春文庫)から「月の下の子供」を読んだ。

★ 生後間もなく遺棄された子ども。施設の人に発見され、そこで成長する。彼には「幽霊」が見えるという。何も語らず、表情も見えないが、彼はそれを感じる。

★ 彼は成長し、学校に通うようになるが同級生たちに馴染めず、いじめの対象になる。高校生になると旺盛な性欲が彼の表面だけ変えさせる。性の渇望は見知らぬ母への思慕なのか。

★ やがて就職するが、ここでも心のバランスをギリギリ保っている感じだ。周りは「疲れている」と解釈してくれるが。

☆ 読み終えて、結局「幽霊」は何だったのかと思った。終盤「幽霊」らしき男を見て、彼は「もういいよ、多分」「色々、考えてみるし」と言う。彼は何を悟ったのだろうか。

☆ 「土の中の子供」と同じような雰囲気だったが、この作品では「火」「月」に意味がありそうだ。私にはよくわからなかったが。

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