ナルコスの登場人物とゆかいな仲間たち

「マジックリアリズムは、コロンビアが発祥の地。不可解な事が日常的に起こる。肝心な時に限って、奇妙な事が。」

映画【インディアン・ランナー】ショーン・ペン監督最新作公開前の今こそみるべし


記念すべきショーン・ペン第1回監督作品について

俳優として大成功、監督業でも評価が高いショーン・ペン。最新作の「フラッグ・デイ 父を想う日」公開を控え、ショーン・ペン作品をみなおしている人も多いはず。新作では、待望であった初の監督・出演を果たし、実娘ディラン・ペンと父娘役で初共演という試みがなされており、ファンとしては期待値が高い。監督デビュー作には監督の全てが詰まっているとよくいうが、本作にもそれは当てはまる。今回は最高に無骨な映画「インディアン・ランナー」について振り返ってみたい【永久保存版】。

目次

映画【インディアン・ランナー】監督デビュー作には監督の全てが詰まっている

本作で描かれているのは、兄弟の、家族の崩壊といった家族の絆がテーマ。

 

その後もショーン・ペン監督作品では、社会との微妙なズレから大きく剥離してしまう落伍者を描く作品が多いのが特徴的。

 

過去作品「クロッシング・ガード 」では幼い娘を交通事故で失った男、「プレッジ 」では少女強姦殺人事件の犯人を追う刑事をそれぞれジャック・ニコルソンが演じている。

 

イントゥ・ザ・ワイルド」では成績優秀・裕福な青年が何もかもを捨てて、自由を手に入れるためのアラスカ放浪の旅に出る役にエミール・ハーシュ

 

「ラスト・フェイス」は、落伍者とはやや毛色が違う作品だが、過酷な状況下という点では共通点がある。

 

貧困国に医療援助資金を提供する組織に所属する女性にシャーリーズ・セロン

 

今のところ、ショーン・ペン監督作品の評価については「イントゥ・ザ・ワイルド」がいちばだが、個人的には本作「インディアン ・ランナー 」がオールタイムベストの1本に入るほど気に入っている。

 

映画【インディアン・ランナーブルース・スプリングスティーンの「Highway Patrolman」からインスパイアされた理由

まずジャケットがクソカッコイイこの映画、ブルース・スプリングスティーンの「ハイウェイ・パトロールマン」からインスパイアされたショーン・ペン監督デビュー作で、楽曲から世界観と歌詞が映像化された。

 

歌詞がそのまま映画化というのは珍しいが、ショーン・ペン自身の兄弟の関係(ショーン・ペンは兄、問題児だった弟がきた)を反映させているという背景がある。

 

また、ヴィゴ・モーテンセン演じるクレイジーなフランク(弟役)にも、これまで自身が演じてきた役を投影させた、二重構造の映画となっている。

 

音楽は、 ジャック・ニッチェとデビッド・リンドレーのスコアが渋い。

 

サントラ は、ジェファーソン・エアプレイン、ジャニス・ジョプリン、そしてエンディングテーマにザ・バンドの「 I Shall Be Released.」が流れるまであっという間で、何度観ても大変素晴らしく、最高に無骨な映画だ。

 

映画【インディアン・ランナーショーン・ペン

インディアン・ランナーショーン・ペン

※画像の引用元:IMDb公式サイトより(以下同様)

 

個性派俳優としての呼び声が高かったが、その実力は名だたる大物俳優・巨匠監督と組んでも引けを足らない大器で、堂々たるフィルタグラフィーの持ち主。

 

実力も折り紙つきで、世界三大映画祭を3年連続制覇し、アカデミー賞まで受賞しているなど俳優をしてはやりたいことをやり尽くしている感のある完成度の高さの稀有な存在。

 

そんなショーン・ペンの監督作品では、これまでの人脈がここぞとばかりに活かされていて、スタッフ出演者もまぁ豪華。

 

最新作では以前から待望されていた、監督・出演作が最新作では実現されており、イースト・ウッドらに並び、限られた人のみが許されるステージに到達。

 

今後は、監督としても、世界三大映画祭を制覇という誰も成し遂げたことのない唯一無二の世界をみせて欲しい。

 

「フラッグ・デイ 父を想う日」の公開が本当に楽しみだ。

 

 

映画【インディアン・ランナー】作品概要

インディアン・ランナー作品概要

原題 The Indian Runner

製作 1991年

製作国 アメリ

 

スタッフ

監督 ショーン・ペン

脚本 ショーン・ペン

製作 ドン・フィリップス

音楽 ジャック・ニッチェ

撮影 アンソニー・B・リッチモンド

編集 ジェイ・キャシディ

 

映画【インディアン・ランナー】キャラクター紹介

インディアン・ランナージョー

ジョー・ロバーツ

キャスト:デヴィッド・モース

 

ハイウェイ・パトロールマンで街のヒーロー。

 

子供も生まれて、公私ともに充実している弟想いの兄。

 

インディアン・ランナーフランク

フランク・ロバーツ

キャスト:ヴィゴ・モーテンセン

 

ベトナム戦争帰りの帰還兵、生粋のアウトロー

 

兄とは対照的に、精神が不安定で狂気を秘めていて気象が荒すぎる弟。

 

インディアン・ランナーマリア

マリア・ロバーツ

キャスト:ヴァレリア・ゴリノ

 

父には結婚を反対されたメキシコ人女性だが、良妻賢母。

 

インディアン・ランナードロシー

ドロシー

キャスト:パトリシア・アークエット

 

元ヒッピー、フランクに虐げられながらも、フランクにぞっこん・ベタ惚れ。

 

インディアン・ランナーチャールズ・ブロンソン

ジョーとフランクの父

キャスト:チャールズ・ブロンソン

 

悲哀たっぷりなふたりの父親像を体現。

 

インディアン・ランナーデニス・ホッパー

シーザー

キャスト:デニス・ホッパー

 

存在感あり過ぎるバーの店主。

 

ジョーとフランクの母

キャスト:サンディ・デニス

 

愛情溢れる母親像を熱演。

 

ミゲル

キャスト:ベニチオ・デル・トロ

 

恋人のドライバー役という端役だが、独特な動きで存在感をアピールしている。ブレイク前のデル・トロがみられる。

 

ランドール

キャスト:ジョーダン・ローズ

 

イカー氏 

キャスト:ハリー・クルーズ

 

イカー夫人

キャスト:アイリーン・ライアン

 

洗車場の女性

キャスト:キャシー・ジェンセン  

 

医者(リーランド・J・オルソン博士として) 

キャスト:リーランド・J・オルソン

 

テルマネージャー

キャスト:アニー・ピアソン  

 

クライド

キャスト:トーマス・ブレア・レヴィン 

 

映画【インディアン・ランナー】あらすじ・ネタバレ

1960 年代のネブラスカ州を舞台にした物語。

 

小さな町のパトロール警官であるジョーは、メキシコ人の妻マリア、小さな息子がひとり、少し離れたところに父と母がふたりで暮らしている。

 

ジョーには、フランクというまったく性格が異なる弟がいて、ベトナム戦争から久しぶりに帰ってきて再開を喜んだが、しばらくするとフランクは姿を消してしまう。

 

ジョーはしばらくフランクから連絡がなかったが、フランクが刑務所にいることを知る。

 

フランクが刑務所から釈放されるタイミングで、ジョーはフランクを迎えにいくが、フランクはガールフレンドのドロシーと一緒に故郷に戻る。

 

その後、ジョーとフランクの母親が亡くなり、父親も直後に自殺してしまう。

 

フランクはジョーの教えに習って落ち着いた生活をするように努め、ドロシーが妊娠中であることがきっかけとなり結婚する。

 

建設業に従事し、このまま落ち着いた生活に馴染むのかと思いきや、フランクは理由もなく暴走してしまう。

 

ドロシーが出産時を迎えると、フランクの怒りは頂点に達し、フランクはバーで店主を殺してしまい、町を出ていってしまう。

 

映画【インディアン・ランナー】名場面ハイライト(評価・解説・考察)

ネブラスカを舞台にした家族の崩壊を描いた暗黒ホームドラマの傑作

 

インディアン・ランナーネブラスカ

映画のオープニング、ジョーが銃を使って自衛のために男を殺すことで終わるカーチェイス

 

犯罪者を殺すことについてのジョーの相反する感情と、この銃撃による町のコミュニティーからの賞賛と軽蔑をもたらす閉塞感が、何もないネブラスカの町の規模感をよく示している。

 

本作の撮影は、「赤い影」「地球に落ちて来た男」などニコラス・ローグ監督の撮影を手掛ける事が多い、アンソニーリッチモンド

 

そして、「ハイウェイ・パトロールマン」の歌詞にもある通り、「血のつながり程良いものは無い 、俺は彼が迷っていたら手助けする」「 家族に背を向ける奴にろくな奴はいない」というジョーの想いとは対照的にロバーツ家はことごとく崩壊していく。

 

フランクが理由なく暴走するシーン全般

インディアン・ランナーフランク狂気・暴走・破壊

もともと秘めていた狂気が、ベトナム戦争で精神に異常をきたしコントロール不能となり、突如として破壊衝動が目覚めてしまうと、手がつけられない状態となり、暴走してしまう。

 

「哀しみの街かど」のアル・パチーノ、「ミーン・ストリート」のロバート・デ・ニーロ、「グッドフェローズ」のジョー・ペシ、「シーズ・ソー・ラヴリー」のショーン・ペンなどが入り混じった危ないキャラクターをヴィゴ・モーテンセンが演じた。

 

敬愛するこの俳優は、端整な外見の裏に狂気を潜めている稀有な存在で、それはもう「悪魔のいけにえ3」の頃から健在だったのに、若い頃はそのルックスに隠れて目立たなかったが、歳を重ねるにつれ、内に秘めたものを隠せなくなっているのがよくわかる。

 

本作で演じるフランクは、自由意志に溢れ、ヴィゴ・モーテンセンのちんこ芸人でもある側面をフル活用して、タトゥーを入れまくった全裸で暴れまくるハマりっぷり。

 

インディアンが映る理由

インディアン・ランナーインディアン

フランクの真骨頂は、アバンでインディアンの説明があって、本編でインディアンの亡霊がチラチラサブリミナル的に使われる時、内に秘めたアメリカ人のフロンティア・スピリッツが目覚め、突如として暴走、内に秘めた獣を見事に体現しているように感じる。

 

まとめ

インディアン・ランナートップ

・映画【インディアン・ランナー】監督デビュー作には監督の全てが詰まっている

・映画【インディアン・ランナーブルース・スプリングスティーンの「Highway Patrolman」からインスパイアされた理由

・映画【インディアン・ランナー】俳優としてのショーン・ペン

・映画【インディアン・ランナー】作品概要

・映画【インディアン・ランナー】キャラクター紹介

・映画【インディアン・ランナー】あらすじ・ネタバレ

・映画【インディアン・ランナー】名場面ハイライト(評価・解説・考察)

 

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