学びのプラスあるふぁ:日常の気付き

人の人生、それぞれが皆オリジナル。街を歩き人に話しかけることから「なるほど」と納得できる発見がある。

「もののあはれ」のプラスとマイナス

2022-08-05 15:16:01 | 日記
 僕の毎日は新聞と共に始まる。しかし、最近は新聞を開いてみても楽しく無いのである。ウクライナでの惨状、大雨や洪水、子供への虐待報道、政治的に自分の立場はどうであれ、安倍元首相の暗殺報道、これらは全て人の死がつきまとって心の中になにかモヤモヤしたものを残して気が重い。人の死は無常観や「もののあはれ」を心の中に呼び起こす。
 平安王朝の重要文学理念、美的理念のひとつが「もののあはれ」と言われている。源氏物語のテーマとはこの「もののあはれ」であるという。平安時代の貴族社会を描いて光源氏を通した恋愛、栄光と凋落、政治的欲望、権力闘争、を描いた。なぜ不意に紫式部なのか、源氏物語なのか、と言われるだろうが後期高齢者と呼ばれる者にとっては新聞で報道される人々の死以外にも、周りで耳にする知人とも言えないが全く知らない人でもない友人の友人、などの人々の訃報に今回の「もののあはれ」を感じるのである。折に触れ見聞きするしみじみとした無常観、それがこの「もののあはれ」以外の何者でもない。日本人は昔からこの「もののあはれ」に敏感に反応して生活を共にしてきた。仏教に根付いた無常感がそうさせるのだ。ペーソス(pathos) とは人生、文学、芸術の持つ哀感、哀調だ。仏教は「無常」を感じさせながら、その反対の「常住」、生滅、変化がなく永久に存在する仏の教え、つまり仏教に存在するということをも教える。と考えてみれば、「もののあはれ」は単に周りの物事に対する無常感ばかりではなく、情感豊かな人間を作り出す道への入り口なのかもしれない。

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