まだ昨年末に発売されていた薬剤の紹介が終わりません(苦笑)。
今回は、新規関節リウマチ治療薬のナノゾラ皮下注(シリンジ)です。
名称でわかりますが、注射薬です。現状、自己注射できるかわかっていません。
ナノゾラは、分類的には「抗TNFα阻害薬」ですが、分子的には既存のものと大きく異なります。
その点については、木元先生の「新薬情報オンライン」に詳しく書かれています。
ナノゾラ(オゾラリズマブ)の作用機序・特徴【関節リウマチ】 - 新薬情報オンライン (passmed.co.jp)
こちらもどうぞ。
難治性の関節リウマチに対する新規TNFα阻害薬:日経メディカル (nikkeibp.co.jp)
「日経メディカル」さんから抜粋させていただきますと
「ナノゾラはTNFα阻害薬であり、既存のレミケードなどと同様、TNFαに高い結合親和性を示し、TNF受容体に対するTNFαの結合を阻害することによりその生理活性を抑制する。同薬は他のTNFα阻害薬と異なり、2つの抗ヒトTNFαのナノボディ(ラマ由来重鎖抗体の可変領域から作成した単一ドメイン抗体)と1つの抗血清アルブミン(HSA)ナノボディを持つ三量体構造のヒト化融合蛋白質(低分子抗体)であり、分泌型ヒトTNFαに対する阻害活性と、膜結合型ヒトTNFαおよびHSAに対する特異的な結合能を有する、日本初となるヒト化ナノボディ製剤である。動物実験において、抗HSAナノボディを有する三量体は、ナノボディを有しない二量体に比べて血中半減期を延長し、さらに炎症組織への集積性が向上したことが報告されている」
わかりました? 私、これを読んだだけでは全く想像できませんでした(苦笑)。
これについては「新薬情報オンライン」に素晴らしいイラストがありましたので参照してください。
ここでは、インタビューフォームから抜粋します。
IgG抗体の一部(ナノボディと呼んでいる)を3つくっつけたようなイメージです。
3つのナノボディのうち2つは、TNFαに対する抗体、1つは血清アルブミンに対する抗体です。
血清アルブミンに対する抗体を付けることにより、アルブミンに結合して、血中半減期が延びます。
また、IgG抗体に比べると分子量が小さいので、ざっくり言うと行き届きやすくなります。
ナノゾラ以外の製剤の構造については、以下を参照してください。
生物学的製剤、分子標的製剤 - 国府台病院リウマチ膠原病科 (ncgmkohnodai.org)
では、薬剤情報です。
○ナノゾラ皮下注30mgシリンジ(オゾラリズマブ)
※現状、シリンジのみです。
【効能・効果】
既存治療で効果不十分な関節リウマチ
【用法・用量】
通常、成人には1回30mgを4週間の間隔で皮下投与する。
【用法・用量に関連する注意】(抜粋)
・剤と他の生物製剤や、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤(局所製剤以外)の併用について、有効性及び安全性は確立していないので併用を避けること。
【適用上の注意】(抜粋)
・投与30分程度前に冷蔵庫から取り出し、室温に戻してから投与すること。室温に戻るまでは、本剤のキャップを外さないこと。
・注射部位は上腕部、腹部又は大腿部とし、同一箇所への繰り返しの注射は避けること。
【取り扱い上の注意】(抜粋)
・本剤は外箱に入れて保管すること。外箱開封後は遮光して保管すること。
副作用などは添付文書・インタビューフォームなどを参照してください。
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