川音の町へ出づるや後の月

千代女



今宵は十三夜という事で、我が家でも団子を食べました。


この頃になると外は肌寒くなるので、この寂しげな夜の風景は名月とはまた違った趣きがある。


とくに今日は朝から気温がたいぶ下がって、車内の温度計は7℃を表示していた。


風も強くて身震いするような寒さを、この秋はじめて体感したような気がする。


表題の句は加賀千代女の作で、シンプルながらとても趣深い秀句である。


夜に外に出ると川音が寒々しく聞こえてきたのだろうか。


空には後の月が輝いているが、それでも泣いているやうに聞こえる川音は街の雰囲気を一層物悲しく包み込んでいるように感じられる。


出づるやという言葉の中に、このうらぶれた町の雰囲気から出て行きたいという気持ちがこもっているように感じる。


後の月とその下に続くうらぶれた夜の町の光景が映像にように思い浮かんでくる。


これこそ十三夜ならではの空気感と言えよう。