有夏チャンのこっちのおクチはウソがつけない2

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「さぁさぁ、手洗ったら座って! たくさん食べてね。本当に食べてね」

 

 やけにテンションが高い。

 

 肉じゃが、牛肉と野菜の炒めもの、牛肉の野菜巻き、牛丼、青椒肉絲、牛肉とごぼうのしぐれ煮……。

 

 似たような色合いのメニューが食卓に乗り切らず、床にまではみ出ている有様。

 

「肉ばっか!」

 

「肉といっても牛肉だよ! 有夏、好きでしょ。牛だよ、牛!」

 

「いや、スキだけどさ……幾ヶ瀬がキモいわ」

 

 卓の前に腰を下ろしながら不審気に見やると、幾ヶ瀬の目はグルグルと泳いでいた。

 

「レイゾウコガ……」

 

「は?」

 

「レイゾウコガコワレタンダヨッ」

 

「レイゾウコガコワ……冷蔵庫が壊れ……ウソッ!?」

 

「嘘つくわけないでしょ」

 

「んじゃ、有夏のアイスは!?」

 

「アイスなんて知らないよっ! 勝手にドロドロになってるよっ! 急いで冷凍室の食材を救出して、とにかく調理したんだよ。あのままじゃ駄目になっちゃうから」

 

「や、でも、さすがシェフだよな。こんなにたくさん料理……って、こんなに食えるかっ!」

 

「いや、そういうのいいから。食べて」

 

 有夏、渾身のノリツッコミをあっさり流した幾ヶ瀬。





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