【あらすじ】
老婦人の絹子(富司純子)は海の見える葉山の屋敷に住んでいた。屋敷には駆け落ちした次女の子・渚(シム・ウンギョン)がいた。渚の両親は既に他界していた。2人は椿の咲く屋敷の庭園を散策しながら穏やかに暮らしていたが、絹子の夫も死に、高い税金を支払わねばならず、長女・陶子(鈴木京香)から心配される。
【感想】
古き良き日本。豊かな暮らし。…そして新しい時代へ。留まっていたい残っていて欲しいと切に願っていても、時間は刻々と流れ、時代は変化し続けるのだなぁと思いました。
絹子の世界は既に完成されている。
いい暮らしであることは間違いない、けど、それが娘たちに合っているかは別なのだ。だから、なぜ絹子の娘が駆け落ちしたのかも分かるし、陶子が家を継がないのも映像を見てると何となくわかる。
家を守って子育てをする人生
都心のマンションで夫婦だけで暮らす人生
日本を出て異文化の中で生きる人生
印象に残ったシーンは、
病の祖母・絹子に『庭を掃いてほしい』と頼まれた渚が苛立ちを覚え『掃いても掃いてもまた落ちてくるのに意味ないじゃない!』とうったえるところ。(セリフは定かじゃないです)
絹子は弱った体で庭を掃き続ける。
絹子にとって生きるとは家を守り、庭を手入れし、海を眺めること。それが生涯続けたこと。
とりあえずビール、とりあえずパチンコ、とりあえず仕事、とりあえず結婚、とりあえず勉強、とりあえず庭いじり… 他の誰かにとっては価値を見出せないことかもしれない。
辛い時も悲しい時も楽しい時も幸せな時も、何かを繰り返しながら生きている私たち。
絹子は駆け落ちした娘に先立たれ
添い遂げた夫と死別し
渚は両親も祖父母も失う
生きている時間に丹精込めて築いたものも、死ねば誰かの新しい価値観によってあっけなく消えてしまう諸行無常。
庭も家も家具も人も、
整えられた様子は美しく
そして儚いなぁと思いました。
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