群青と真紅⑱【高貴と狂気】 | Yoっち☆楽しくお気楽な終活ガイド

Yoっち☆楽しくお気楽な終活ガイド

アラフィフの生活や周辺で起きたことを書いています☆
そしてときどき
終活のガイドをさせていただきます

現在、BTSの底なし沼にハマり浸かっております
ガチガチのグテペンです
現在、テヒョンとジョングクをモデルに小説を執筆中☆

いつも【群青と真紅】を愛読下さりありがとうございます✨🙏✨

今回の物語に関連する言葉は
【カーテシー】
【イングリッシュフルーツケーキ】
です😊

ご存知の方もいらっしゃると思いますが
まず、カーテシーとは女性が片足を後ろに引いて(前足とクロスして)膝を曲げてする御辞儀の事です
背筋は伸ばしたままなので、カッコイイです✨😉✨

日本だと、海外の王族が来賓として来日された際に、皇太子妃時代の雅子様や紀子様など女性の皇族方が、ご挨拶の時にやってましたよね

自分より身分の高い相手に対してされる作法です👑
めちゃくちゃエレガントで私は好きです😍

そしてイングリッシュフルーツケーキ💕
中世からあるイギリスの伝統菓子で、かなりずっしりしているケーキ🍰
アフタヌーンティーにも出され
現在のイギリス王室でもよく召し上がるそうです😉👍
画像はバッキンガム社のHPからお借りしました

ということで物語の続きをどうぞ

前回のお話




【社交界の偽淑女達】


テヒョンとジョングクが、それぞれに代わる代わるボールを追いかけ、敵からのライドオフをかわしながら疾走する勇ましい姿に、見学者達から盛大な歓声が上がる
「テヒョンさまぁ〜〜!」
「ジョングクさまぁ〜〜!」
会場は殆どテヒョンとジョングクに向けられた【貴婦人】達の歓声で湧いていた

しかし、あまりにも御婦人達の興奮状態が続いているので
「ちょっと!あなた達なぁ〜に?わたくしに場所を譲りなさい!」
「いやよ!あなたのような方は、テヒョン様の好みではないはずだから、あの方の視界に入らない方がよくってよ!」
「まぁっ!わたくしの身分にも及ばぬ小娘のクセに、生意気な!」
「あらぁ〜、テヒョン様もジョングク様も身分よりも、私のような愛らしい娘がお好みのはずですわ!」
「あら、それを仰るなら私の方が美しいわよ」
「なによあなた、横からしゃしゃり出てきて!」
「あなたが先程からごちゃごちゃと、うるさいのよ」
「なんですって!!私を誰だとお思い?」
「そんなこと知らないわよ。どこぞのド田舎の雌豚ではなくて?」
「この無礼者!!!」
・・・と、御婦人同士での小競り合いまで起こる始末
言葉の応酬だけでも見苦しいのに、言い合いがエスカレートした挙げ句に、平手打ちをし、髪を掴んで引っ張り、押し倒したりと、とても良家の淑女がすることとは思えない、暴挙に打って出た

この異様な騒ぎに、試合中のチームのメンバー達も気付いて、試合が中断される
これでは流石に練習試合の進行に支障が出てしまうので、会場の警備をしていた警備隊が、暴れる御婦人方を強制退場させる為に動いた
「ちょっと!痛いじゃないの、失礼な方ね!」
「いやよ!帰らないわよ!助けて、テヒョンさまぁ〜!ジョングクさまぁ〜!」
警備隊に掴まれながら会場を出される時も、往生際悪くテヒョンやジョングクに向けて騒ぐ御婦人もいた
「国王陛下の御前ですぞ!慎しみなさい!」
警備隊にきつく注意を受けると、最後にはとうとう号泣するという状況である
秩序を重んじる社交界の一環でもあるこの会場が騒然とした

「やれやれ、あれではもうただの恥晒しではないか。あの者達がどこの者達か早急に調べよ」
「はっ!」
騒ぎが起きてから、急ぎ試合中の国王の周りに護衛が付いていたが、国王はその護衛の一人に命令を出した
「これが貴族の娘であったならば、この乱痴気騒ぎの責任を取らさせねばならぬ」
国王も流石に呆れ果て、厳しい口調になった

テヒョンもジョングクも試合が中断してから、馬に跨ったまま騒ぎを呆れて見ていたが、特にテヒョンは静かな怒りの形相をしていた
「なんなのだ、あれは!吐き気がする」
と嫌悪感をあらわにし、喉の奥から絞り出すような声で吐き捨てるように言った
そして、二度とそちらを振り返らなかった

ジョングクは騒ぎを起こした者達が、警備隊に引きずられるようにして連れ出される様子を見ていた
テヒョンはジョングクの方を振り返り
「ジョングク、さっさと試合に戻るぞ!」
と促した
「はい!」
ジョングクは直ぐにテヒョンの側へ付いた
そしてこういう時にハッキリと嫌悪感を表に出すテヒョンの姿を横目で見て、初めて言葉を交わした離宮での、貴婦人達を厳しく見るテヒョンの事を思い出した
『テヒョン様はご自身の【美学】に相反する事は決して受け入れず、本当にキッパリと拒絶をされる』
揺るがない意志を見せるテヒョンの横顔をジョングクは見ていた

「僕の顔に何か付いてるのか?」
ジョングクの視線を感じて、テヒョンは前を見据えたまま聞いた
ジョングクは少し笑って
「いいえ。テヒョン様の怒りに満ちた横顔が素晴らしく凛々しくて見惚れております」
と応えた
「フㇷ、、君はホントに時々歯が浮くような事を平気で言うね」
テヒョンはチラッと横目でジョングクを見て言った
その顔はすでに怒りから柔和な笑顔に変わっていた
「私はテヒョン様のその神々しい笑ったお顔が好きです」
ジョングクは重ねて賞賛する
「もう、、分かった、分かった!ほら、行くぞ!」
テヒョンはそう言うと、馬を走らせた
ジョングクは、テヒョンが一瞬照れたように、はにかんだ顔をしたのを見逃さなかった
それを見て自分の心が弾んだことも・・・

しかし、次の瞬間にはテヒョンは勇まし表情で試合に臨んでいた
気分を害した分、その怒りを試合へのエネルギーに変えるかのように果敢にボールを追った
ジョングクはそんなテヒョンの後を追走してフォローに回る


全ての練習試合が終わった___


難儀なことはあったが、とりあえず怪我人もなく、無事に終わった
参加したチームのメンバーは、試合会場のすぐ近くに張り出されたテント内の、国王が用意したブランチの席に案内された
見学者達は試合で穴だらけになった会場の芝生に入って来た
そして、皆で一斉に穴を塞ぐ作業に取り掛かる
あちらこちらで、楽しそうにドレスの裾を上げて、自慢の靴で芝生の穴を塞いでいく
この光景は、ポロの試合がある度に行われる見学者の「楽しめる仕事」として【名物】になっていた
そして、それが終わると見学者達もあちこちで、ピクニックの様に食事を始める
国王やテヒョン達がいるテント内には、参加者とその家族や友人以外は入れないようになっている
先程のような騒ぎが起きないように、特に今回は警備が強化された

「今日はご苦労であった。堅苦しいことは抜きで、食事を楽しまれよ」
国王がそう言って自ら食事に手を付けると、皆がそれに従って食事を始めた

テヒョンとジョングクとジョンソン男爵は同じチームということで、国王と同じ円卓のテーブル席に着いていた
国王はテヒョンの顔を覗き込むと
「テヒョンの機嫌は直ったのか?」
と聞いてきた
テヒョンがさっきの騒ぎで1番気分を害している事を国王もよく分かっていた
「はい。とっくに戻っております」
テヒョンはそう言ってニヤリと笑う
テヒョンも国王の気遣いを分かっているのだ
するとそこにジョンソン男爵が、忙しくナイフとフォークを動かしながら話に入って来た
「しかし、今日の貴婦人方のあのような喧嘩は初めて見ました。可笑しくて笑いそうになりました」
ジョンソン男爵はそう言って豪快に肉を頬張った
国王とテヒョンとジョングクが感心したように、よい食べっぷりのジョンソン男爵を見つめた
3人からの視線を感じて、ジョンソン男爵の口の動きが止まる
「??・・なんで、、ございましょうか?」
恐る恐る3人に伺い聞いた
「お前の食べ方がまことに気持ちがいいと思って見ていたのだ」
国王が笑いながら言う
「は!恐縮でございます」
ジョンソン男爵は少し照れながら応えた
「ジョンソン男爵、決して褒めたわけではない」
テヒョンとジョングクは思わず笑い出した
「ジョンソン男爵、あなたは本当に楽しい方だ」
テヒョンがキョトンとした顔をして皆を見回すジョンソン男爵の肩をポンと叩いた


【淑女のお手本】

各テーブル毎に話が弾んで、どこも楽しそうな笑い声がした
テヒョン達のテーブルも談笑が続いていたが、国王の周りには他のチームのメンバーも代わる代わる挨拶に来るので、更に賑わっていた

実は、テヒョンは先程からある人物がずっとこちらを伺い見ている事に気付いて、気になっていた
それはまだ若い女性の姿で、どうやらジョンソン男爵を見ているようだった
「ジョンソン男爵、お知り合いなのでは?」
テヒョンはそう言って、ジョンソン男爵に目配せをした
ジョンソン男爵はテヒョンの目線の先を見てその女性と目が合うと、立ち上がって手を振った
「フランシス!!」
「なんだジョンソン男爵、フランシス嬢が来ていたのか。こちらに呼んで差し上げなさい・・」
国王がそう言って、迎えを侍従に頼んだそばから、ジョンソン男爵が
「はい!ありがとうございます」
と自ら迎えに飛んで行ってしまった

フランシスというその女性は、ジョンソン男爵が迎えに行くと、彼の腕に自分の手を預けてこちらにやって来た
そして国王の前まで来ると、カーテシーの所作で挨拶をした
「お久しぶりでございます、国王陛下」
テヒョンもジョングクも、その優雅で無駄のない身のこなしに見入ってしまった
「お元気そうで何よりだな、フランシス嬢。来ておったのなら早くこちらに居たらよいではないか」
「はい。今日は父の用事で本来なら来られなかったのでございますが、早くに済みましたので、お許しを頂いて参りました」
「そうであったか。・・ジョンソン男爵、自分で紹介をするか?」
国王はジョンソン男爵自身にこの女性の紹介をさせた
「はい、そうさせて頂きます」
ジョンソン男爵は女性を自分の所に寄せると、テヒョンとジョングクの前に出た
「フランシス、こちらはキム・テヒョン殿下、キム公爵でいらっしゃる。キム公爵、彼女はフランシス・ルイーズ・ド・リオンヌと申しまして、私の婚約者でございます」
「初めまして、フランシス嬢。キム・テヒョンです」
フランシス嬢はテヒョンに対してもカーテシーで挨拶をした
「初めてお目に掛かります、キム・テヒョン殿下。フランシス・ルイーズでございます」
「そしてこちらは、チョン・ジョングク様、チョン伯爵でいらっしゃる。チョン伯爵、私の婚約者のフランシス・ルイーズ・ド・リオンヌでございます」
「初めまして。チョン・ジョングクです」
「初めまして、チョン伯爵。フランシス・ルイーズでございます」

フランシス嬢は落ち着いた声のトーンで、テヒョンとジョングクに挨拶をした
その笑顔や目の動き、首の傾げ方が洗練されて、エレガントに感じられる
「さぁ、挨拶が済んだら皆テーブルに戻って」
国王が皆をテーブルに座らせた
「フランシス嬢、食事は?」
「はい、こちらに来る前に済ませております」
「そうか、では皆でデザートにしよう」
国王がそう言うと、テント内の全てのテーブルに、セイロンティーと共にイングリッシュフルーツケーキが振舞われた

国王のテーブルにフランシス嬢が加わり、和みが増した談笑が続いた
おかげでテヒョン達は、先程まで起こっていた『修羅場』を忘れていた

夕刻になり、練習試合に参加したチームのメンバーも、見学者達も帰っていった
チームクレッセントのジョンソン男爵もフランシス嬢を送るために帰った
「本当のエレガントとは、彼女のような人を言うのだ」
ファームハウスに戻りながら、テヒョンがジョングクにそう言った
「フランシス嬢ですか?見ていて気持ちのいい方でしたね」
「そうだろ?彼女のドレスを見た?質の良い生地で仕立てられて、華美な装飾が無かっただろ」
ジョングクは頷きながら聞いていた
「余計なものがないから、彼女の良さが所作に綺麗に出るんだ。自分というものを知っている人は、無駄に着飾ったりしないものだ。久しぶりに美しいと思える人を見たな・・・ジョンソン男爵は人を見る目があるな」
テヒョンが一瞬懐かしむような顔をしたので、ジョングクがすかさず聞いた
「テヒョン様、久しぶりに・・ということは、以前はどちらで『美しいと思える人』にお会いになったので?」
テヒョンは思わぬ質問がジョングクから飛んできて、返事に詰まった
「いや、、忘れたわ!」
「いやいや、思い出されたから久しぶりに、、って仰ったんですよね?」
「いいじゃないか、別にそんなこと」
「テヒョン様〜〜教えて下さい。気になります」
「何で君が気にするんだよ」
「テヒョン様の【美学】に興味があるからですよ〜」
「はぁ?そんなことに興味を持たなくていい!」
テヒョンとジョングクは、仲良く押し問答をしながら廊下を歩いて行った




画像はお借りしました