「集団で学ぶ価値」に関して追求していく中で、「個人の学び」に関するヒントも数多く得ることができました。「基本概念を学ぶ」という視点に立つと、数学の参考書では「長岡亮介先生の総合的研究」が優れていると思います。教科書レベルから発展的内容まで網羅されているいわゆる「網羅系参考書」と言われる分厚い参考書ですが、「概念の理解」を促す記述が随所に見られます。「その単元や公式によってどのような数学的問題が解決したのか」や「その単元を学ぶことが、今後の数学学習においてどのような意味があるのか」など、長岡先生自身がおそらく「基本概念を学ぶ」重要性を感じておられる事が伝わってくる参考書になっています。「総合的研究」が基本概念を学ぶことにつながる事例を紹介します。
【基本概念】指数法則
総合的研究では、累乗の指数という考え方がデカルトによって導入された事と、これにより、「長い掛け算の式」という問題が解決された事が紹介されています。また、初学者が不思議に思うであろう以下の問題がどのように解決されたかも紹介されています。
【問題】なのはなんで?
m,nを正の整数とすると
は以下の3つに場合分けできます。
m > nのとき
m = nのとき1
m < nのとき
以下の具体例を考えると納得できますね
ただ、上記のような場合分けは煩雑なので、
m = nのときもm < nのときも
の式で表したいと考えた結果
と定義されました。つまり、やという式は、指数法則が0以下の整数でも成り立つように形式的に拡張されたものだったんですね。
【ビッグアイディア】
指数が0でも指数法則が成立するように(形式的に拡張するように)、という式が定義された。
「入試問題を解く」というゴールから逆算すると、それに必要な基礎的リテラシーを反復によって知識(技術)として身につける方が効率的なのかもしれませんが、今後の学習経験においては「基本概念を学ぶ」事がより価値のある事だと感じてしまいます。学習塾においては特に「基礎的リテラシー」としての知識や技術を反復によって詰め込んでいく傾向があります。また、生徒・保護者も即効性のある得点力を期待している側面もあると思います。「基礎概念を学ぶ」事が、現実の「入試」という課題を突破すうる上でも勝っている事を示すためにも、自身が「基礎概念を学ぶ」という視点で学習を積み重ねていきたいと思います。
長岡先生の総合的研究はKindleでも購入できるので、1台のタブレットでいつでもどこでも学ぶことができます。タブレットで問題を解き、スマホで答えを確認するという形で効率的に学習できます。