緑茶を飲めば、血糖値の上昇が緩やかに?カテキンの血糖値を下げる効果を解説!

お茶って血糖値を下げるの良いと聞きましたが、実際のところどうなんでしょう?

お茶と湯呑

緑茶が血糖値を下げる仕組み(メカニズム)

糖質の吸収のメカニズム

でんぷん、炭水化物に含まれる糖質は、口の中、胃、腸の中の消化酵素の働きで、胃や腸で消化されて、小腸で吸収されます。吸収されると、血液中の糖が増え、血糖値が上がります。

糖質を食べると血糖値が急上昇

このときに血糖値が急上昇すると、活性酸素がたくさん発生し、血管にダメージを与えてしまいます。この状態が長年続けば、腎臓機能が低下したり、視力の低下、痺れや震えの原因となる神経障害など起こす場合があります。酷くなると、人工透析、失明となる場合もあるので、早めに対処した方が良いです。

人間の身体には、血糖値を下げる機能が備わっています。よく耳にする「インスリン」または「インシュリン」です。インスリン(インシュリン)が分泌されると、血液中の糖が各細胞に取り込まれ吸収されることで、血糖値は下がります。

1.緑茶のカテキン(EGCG)が消化酵素の働きを弱め、糖の吸収を抑えることで血糖値を下げる

緑茶のカテキンの中で最も多く含まれている、EGCG(エピガロカテキンガレート)は、口の唾液になどに含まれる「α-アミラーゼ」という酵素を阻害し、加えて小腸粘膜上皮細胞に存在する「α-グリコシダーゼ」を阻害し、小腸での糖の吸収を抑制します。

胃や腸などの消化器官

でんぷん→(α-アミラーゼ)→二糖類→(α-グリコシダーゼ)→単糖類→吸収→血糖値上昇

ペンシルバニア州立大学の研究では、EGCGがα-アミラーゼの活性を34%減少させるとの報告があります。(下記文献記載)

お茶の中では、緑茶が最も血糖値を下げる効果が高い

別の研究では、緑茶、烏龍茶、紅茶、プアール茶を試験管やラットを使った実験で、緑茶→烏龍茶→プアール茶→紅茶の順にスクラーゼ(グリコシダーゼ)の活性を抑制し、血糖値上昇を抑える結果となったそうです。この順番はEGCGの多い順になり、EGCGに高い血糖値の抑制作用があることが分かります。

また、お茶にも品種があり、50品目中、「サンルージュ」という品種が最も「アミラーゼ」や「α―グルコシダーゼ」の活性を弱めたという報告もあります。サンルージュは、アントシアニンを多く含む新しい品種で、機能性の面でも注目されています。

関連記事:緑茶、烏龍茶、紅茶、プアール茶の違い、お茶の種類について

そこで、インスリン以外に上昇を抑える方法として、「消化酵素の働きを抑える」ということがあります。そもそも、糖分が身体に吸収されなければ、血糖値は上がりません。

2.お茶はインスリンの効果を増大させ、血糖値を下げる働きがある!

インシュリン(インスリン)の働き

ラットの精巣上体脂肪に緑茶、紅茶、烏龍茶の成分を添加すると、15倍以上インスリンの働きが増大したという報告があります。インスリンが脂肪細胞に糖分を取込む作用を緑茶や烏龍茶のカテキン類や、紅茶のテアフラビンが活性化させて、血糖値を下げる効果が期待できるそうです。

尚、研究では、お茶にミルクなどを多く混ぜると効果が下がったとのことで、ミルクティーよりもストレートで飲む方が良いでしょう。

Anderson RA, et al. Tea enhances insulin activity. J Agric Food Chem. 2002, 50:7182-7186.

3.お茶は、すい臓を保護してインスリンの分泌を促進

ラットの実験ですが、薬剤で膵臓(すいぞう)を悪化させ、インスリンが不足するようにしたところ、緑茶のEGCGを8週間投与したラットは、血糖値の上昇を抑制できたそうです。この実験から、日常的に緑茶を飲むことで、膵臓の細胞を守り、インスリンの分泌を促し、血糖値が上がるのを防ぐ効果が考えられています。

4.お茶のカテキンは、身体が糖を造るのを減らす

糖質を全く摂らない人は、血糖値がゼロなのでしょうか?

答えは、そうではありません。なぜなら、血糖値が低くなると、体内で酵素を利用してアミノ酸などから糖を造ってしまうからです。これを「糖新生」といいます。糖に限らず、体に足りない栄養素の多くは、変換して作ってしまう機能があります。

緑茶は、この糖を作ってしまう機能の働きを鈍らせて、糖が生成させる量を減らします。

実験では、お茶が糖新生の酵素をつくる遺伝子(転写因子)に作用し、酵素の量を減らすことで、糖新生を抑制したそうです。EGCG以外にクルクミンやケルセチンなどのポリフェノールを試してみましたが、糖新生の抑制効果はなかったそうです。

5. 水出しでポリサッカライド(ポリサッカロイド)も血糖値を下げる

緑茶、特に番茶、中でも秋冬番茶には、ポリサッカライドを多く含みます。ポリサッカライドとは、ブドウ糖などの単糖が複数結合して構成される多糖類のことです。お米やじゃがいものでんぷんや、きのこや野菜に含まれる食物繊維も多糖類に分類されます。

水出しにすると、最大で39.8%血糖値が下がったとの報告があります。ポリサッカライドは、熱に弱いため、水出しにすると良いそうです。ちなみに京都で番茶というと、ほうじ茶のことを指すようですが、ほうじ茶と番茶は違いますのでご注意を。ほうじ茶では高温で加熱するため、ポリサッカライドは少なくなるでしょう。

関連記事:番茶やほうじ茶などのお茶の種類について

茶種(温度)血糖値減少率
玉露(水出し)34.6%
玉露(お湯出し)28.0%
煎茶(水出し)31.7%
煎茶(お湯出し)28.1%
番茶(水出し)39.8%
番茶(お湯出し)24.4%
紅茶(水出し)19.4%
紅茶(お湯出し)28.3%

出典:清水 岑夫 日本茶の血糖降下作用成分に関する研究

結局のところ、お茶を飲むとどれくらいの効果が?実際のところ、血糖値は下がるの?

お茶を飲む女性

●日本人40〜65歳の合計17,413人(男性6727人と女性10,686人)のコーホート研究(追跡調査)では、お茶を一日に6杯以上飲むと33%糖尿病のリスクが下がったとの結果でした。(この研究では、緑茶のカフェインの効果との結論です)

抹茶パン

●普通のパン、と抹茶を添加したパン(抹茶以外の原料は全く同じ)を食べて、血糖値にどのような差が出るかの実験がありました。抹茶の分量は、炭水化物30.5gに対し0.75g使用してあります。

さて、結果は?

食後45分後の血糖値食後60分後の血糖値
抹茶が入っていないパン165±6mg/dL158±5mg/dL
抹茶が入ったパン141±3mg/dL138±7mg/dL
下がった血糖値24mg/dL20mg/dL

抹茶が入っていないパンの食後45分後の血糖値は165mg/dL、60分後は158mg/dLに対し、抹茶が入ったパンは、それぞれ141mg/dL、138mg/dLでした。

食後血糖のピークであった45分後で24mg/dL、割合で約15%血糖値が下がり、60分後で、20mg/dL、13%血糖値が下がっています。

たった0.75gの抹茶ですが、血糖値の急上昇を十分に抑制することができる結果です。

尚、0.75gは、市販の抹茶パンで0.5g~1g程度使用されていることから、市販品と同等の分量になるようにしています。実験では、6g使用で医薬品同等の効果が想定されていましたので、0.75gよりも多くの抹茶を使用すれば、血糖値抑制効果もより大きくなることが予想されます。

他の実験でも同様の結果に

●別の試験(無作為化プラセボ対照二重盲検クロスオーバー試験)では、140.2 mgのEGCGを含む粉末緑茶とご飯130gを同時に食べたところ、食後15分、30分、45分の血糖値が優位に下がったとされています。この論文は、機能性表示食品「EGCG は、食後血糖値の上昇を緩やかにする」の根拠として採用され、有識者によってレビューされた論文なので、信頼性は非常に高いと言われています。

対象論文

この実験より、食事と一緒に抹茶を摂取することで、血糖値の急上昇を緩やかにすることができ、糖尿病の予防に期待できる結果となっています。

●緑茶を飲んだ時の効果は?

と考える方もいるでしょう。

図の試験では、人が1.5gの粉末緑茶を摂取した場合、どれくらい血糖値が下がるかの試験です。下の図で、〇がお湯を飲んだ場合、●がお茶(粉末緑茶)を飲んだ場合の血糖値を計測し、グラフにしてあります。

上グラフ出典(一部日本語に変換):緑茶が糖尿病(db / db)マウスの血糖値と血清プロテオミクスパターンおよび健康なヒトの糖代謝に及ぼす影響

図の結果で分かるように、お湯を飲んだグループと比較すると、緑茶を飲んだグループは、血糖値が大幅に下がっていることが確認できます。

まとめ

EGCGは、唾液などに含まれる消化酵素の「アミラーゼ」の働きを21%弱め、小腸の「αグルコシダーゼ」を89%弱めると報告されています。人を使った臨床試験はまだ少ないですが、食品に抹茶を少量添加するだけで、ピーク時の血糖を15%下げる結果となっています。

食後血糖値の急上昇(血糖値スパイク)は、活性酸素の大量発生を招き、毛細血管にダメージを蓄積されます。その結果、糖尿病三大合併症(失明、人工透析、麻痺)などを引き起こす原因となる場合があります。

食後血糖値の急上昇 血糖値スパイク

そうは言っても、私たち人間は食事をしないと生きていけませんので、食後に血糖値が上がるのは、どうしても仕方ない面もあります。

血糖値の急上昇を緩やかにできれば、2型糖尿病のリスクは格段に下がると考えられています。

これまでの説明の通り、緑茶には、血糖値の吸収を抑える、インスリンの働きを増大させる、インスリンの分泌を促進させる、糖新生を妨げ体内で糖をつくりにくくするなど、様々な血糖値を下げる作用が報告されています。これらが、複合的に作用することで、血糖値を実際に下げる結果が出ています。

食中に緑茶を飲む習慣をつければ、血糖値の上昇を緩やかにしたり、血糖値を下げる効果も期待できるので、血糖値を気にされる方は、是非緑茶を飲みましょう。食品についても、抹茶入りのパンやスイーツも選べば尚良いでしょう。

血糖値が下がれば、脂肪がつきやすくなるインスリンの分泌も抑えられるので、ダイエットにもなります。また、お茶には、動脈硬化、高血圧予防効果もあるので、血圧が心配な方にも大変おすすめです。血糖が下がれば、糖化による老化作用も低減できます。

ペットボトルのお茶よりも急須で淹れたお茶の方が、カテキン、アミノ酸等の栄養は数倍高いので、出来るだけ急須またはティーパックのお茶を飲むか、さらに効果を求めるなら粉末緑茶を飲みましょう。粉末茶なら、若返りビタミンと呼ばれるビタミンEやビタミンA、骨を丈夫にしてくれるビタミンKなども摂れます。

緑茶は、どこでも買えるし、誰もが日常的に飲むものです。

難しいことはないので、すぐに始めましょう。

この記事のライター:株式会社山麓園 代表取締役 甲斐宣史
お茶の魅力、健康効果などについて情報を発信。楽天やヤフーショッピングの店長としても活躍中。食前にサラダを山盛り、高温調理の食品は避け、米は玄米と決めていて健康オタクでもあります。
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参照文献

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