子どもをつくっていいのか悩むあなたへ、その答え見つかるかもよ

人間とは悩みの尽きない生き物だ。

しかも歳を重ねるにつれ悩みのスケールが大きくなっていくもんだから、も〜う嫌んなっちゃうよね〜〜!

こないだまで鼻水垂らしながら一緒に遊んでた友人が、いつの間にかキャリアを求めて転職してたり、結婚してたり、なんなら子どもまで生まれちゃったりして…

人生ゲームのコマ進めるの速すぎだろ!どうやってそんな決断できんだよ!!俺なんてまだ最初の職業決めルートを周回してるってのに!!!

特に子どもよ。結婚まではまだしも、子どもをつくるって決断エグすぎんよ〜

そんなこんなで悶々としながら日々を過ごしていると、オモコロでおなじみダ・ヴィンチ・恐山氏が小説家名義でこんな本を出版することを知りました。

ただしい人類滅亡計画 反出生主義をめぐる物語

反出生主義にまつわる小説とのこと。あらすじは…

全能の魔王が現れ、10人の人間に「人類を滅ぼすか否か」の議論を強要する。結論が“理”を伴う場合、それが実現されるという。人類存続が前提になると思いきや、1人が「人類は滅亡すべきだ」と主張しはじめ……!?

難しいテーマだけど、僕は絶対に面白いと読む前から確信してた。

それは恐山氏の異次元のボキャブラリーと独特な比喩表現が悔しい程に面白くて、その言動の端々には知性が溢れ出ているから。オモコロの菓子盆選手権の解説をはじめ、恐山氏が絡む企画にハズレはないね。

僕は発売日にこの本を買った。1日で一気に読んでしまった。そして内容は…想像をはるかに超える面白さだった。面白いだけでなくて、悶々とした悩みすら解決してくれた。

興奮して今すぐ皆に紹介したいと思った。でも僕が怠け者なので、記事にするのは2週間かかってしまった…gomenyo

てことで極力ネタバレを避けつつ、この本を読み終わった時に自分の心がどう動いたか、書き連ねてみます。

あなたにも是非読んで欲しいので、頑張って魅力を伝えるぞー!

「ただしい人類滅亡計画 反出生主義をめぐる物語」の感想

この本の魅力、読んで良かった!と感じた理由を項目ごとにまとめます。

反出生主義について理解が深まる

そもそも反出生主義の意図するところは

人間をはじめとする感覚のある存在は生まれてくるべきではない、または生まれるべきではなかったとする思想

パッと見ると過激な考えだけど、誰しもが似たようなことを考えたことがあるはず。

作中では集められた10人のうち、1人がこの反出生主義の思想のもと、人類は滅びるべきだと唱えるところから議論がはじまるわけ。

その理由や根拠を、他のメンバーの反対意見を否定する形で示していくので、一つ一つ理解を進められます。そしてキャラ達の議論を通じて、反出生主義を支える「道徳」の価値観まで考えを深めることができます。

哲学的な言葉や価値観をわかりやすく学べる

人類を滅ぼすか否か、この判断を下す上では様々な価値観がぶつかりあいます。

集められた10人は、実はそれぞれがある「主義」を持った人間です。

例えば「生きてても嫌なことばかりだ」の悲観主義者や、「生きてればいいこともあるわ」の楽観主義者、「とにかく自分がよければどうでもいい」の利己主義者などなど…

この設定が議論を活発にし、読者を話に引きこむのに効果的なんですね〜

人類滅亡の議論が進む中で、、抽象的な「道徳」「幸福」「不幸」「義務」「権利」などの言葉たちの意味が再確認されていきます。

道徳ってなんですか?

急に聞かれたら答えられませんよね。こういったある種の哲学用語の説明は難しくなりやすいですが、非常に低いハードルで理解することができます。

対話形式のおかげで、結論だけでなく思考の過程もたどれる

上述した内容って、普通は難しい哲学書とかでしか触れられないですよね。だからどうしてもハードルが高いですよね…

この本は「人類滅亡会議」とSFのようなキャッチーな設定かつ、個性的なキャラたちの対話形式が特徴的です。反出生主義を知らないキャラは、私たちの代わりに初歩的な疑問をぶつけ続けてくれます。

これはきっと、筆者がたくさんの時間と労力を費やして考え、整理した反出生主義の思想と、それに対する様々な角度からの反論です。

それをキャラたちの議論を眺めているだけで一通りなぞることができるなんて…なんて贅沢なことでしょうか!

ニュートンの言う「巨人の肩の乗っている」感覚を、この一冊で味わうことができます。

子どもをつくっていいのか?このエグ問いの答えを得られた

ここまでは知識としての魅力でした。

で、結局子どもをつくっていいの?悪いの?どっちなのよ。

この問いの答えが本に書いて…ありません。

ありません、が…!!!

自分が何を大切にして生きるのか
自分が「○○主義者」だと分かれば、答えを導くことができる

と感じました。

「子どもをつくっていいかどうか」

このハゲるほど難しい問いに対する向き合い方をこの本は教えてくれます。

読み終わった時、僕にはしっくりくる考え方が見つかったとだけ伝えますね。笑

シンプルに読み物として面白い

恐山氏は「小説にしては理屈要素が大きすぎる」と言ってましたが、むしろ理屈をここまでポップに、読み物として昇華できるのはすごいです。

10人のキャラたちの議論の様子は見ていて全く飽きません。

集められた人類の下した結論とは!?
それを聞いた悪魔がとった行動とは!?!?

最後の展開は、どんでん返し系の小説よりもよっぽど興味深かったです。

子どもをつくっていいかどうか、そこまで思い悩んでない人だって、小説として読んで十分面白いです。

ただしい人類滅亡計画 反出生主義をめぐる物語

学べるし、楽しめるし、最強の本でした。

一家に一冊、辞書よりは置いてあってもいいんじゃないでしょうか。

それでは
カルボン酸太郎でした

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