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富士山

富士登山記 1合目発 吉田ルート登山(2021年8月)

7合目―本8合目

2021年8月6日

低酸素のせいか、どうも眠りが浅く、午前3時に目が覚めてしまった。
他の宿泊客を起こさないよう、こそっと表に出てみると、夕方見たよりも奇麗な富士吉田の夜景が夜の闇の中に浮かんでいた。 富士吉田市の夜景
富士吉田市の夜景
寝床に戻り、出発の準備を済ませて4時10分、山小屋の売店で買ったカップうどんを朝食に頂く。

東の空が赤くなり始めてはいるが、まだ夜明け前の4時19分、ヘッドランプを装備して7合目鎌岩館を出発。登山2日目の開始だ。
吉田ルートの7~8合目は急傾斜の岩場が続く。ランプで足元の一歩先を照らしながら慎重に足を運ぶ。
その間、何度か足を止めて振り返っていたが、7合目4つ目の山小屋・鳥居荘、更に5つ目の東洋館を過ぎた4時47分、待ちわびていたその時が来た。 山中湖の向こうに御来光
山中湖の向こうに御来光
山中湖の向こうに、赤い太陽――御来光である。
8合目入り口の山小屋・太子館に到着した5時20分には、空はすっかり青くなっていた。
ここともう一つ先の山小屋・蓬莱館では休憩せず、そのまま登り進む。
急峻な岩場だった7~8合目に比べると、8合目からはつづら折りの比較的緩やかな傾斜で、歩きやすかった。7合目で1泊して高地順応できたのか、息苦しさもさほど感じられない。 8合目は坂が比較的なだらかになる
8合目は坂が比較的なだらかになる
8合目白雲荘
8合目白雲荘
5時52分、8合目白雲荘に到着。ここは標高3,200m。日本2番目の高峰・北岳が3,193mなので、既に2番目を超えたことになる。
ここでちょっと休憩を取る。
下界を望むと、山中湖周辺はクリアに見えるが、甲府盆地のあたりは、朝霧に覆われているような感じで雲がかかっているが、これはこれで幻想的でいい。 白雲荘からの眺望
白雲荘からの眺望
一方で、山側を望んでみると、灰色に近い茶色の山肌をえぐるように、赤に近い茶色の土が露出していて、自然の猛々しさが伝わってくる。
下界で富士山を北側から望むと、沢のように深くえぐれた部分がある。「吉田大沢」と呼ばれている、富士山の崩落の跡だ。吉田ルートの登山道は、登りがこの吉田大沢の中を進む形になっていて、下りが吉田大沢の東の外側を進む形になっている。 深くえぐれた吉田大沢
深くえぐれた吉田大沢
6時10分、白雲荘を出発。
途中、山小屋・元祖室を通過。ここは眺望がいいのと、富士山天拝宮や烏帽子岩神社など、富士山信仰の施設が集中しているのが特徴だ。 8合目 元祖室
8合目 元祖室
本8合目
本8合目
6時49分、本8合目に到着。8合目からの標準コースタイム1時間40分のところを1時間11分(休憩時間除く)と、快調に登ることができた。
この地点には富士山ホテルトモエ館胸突江戸屋と、山小屋が集中している。ここは、吉田ルートの登山・下山道、須走ルートの登山・下山道が合流する、言わば富士山の「交通の要衝」なのだ。
須走ルートは以前、上り下りを2度ずつしているし、吉田ルートの下山道も昨年下っているので、本8合目はもう5度目になる。 チベット仏教の祈祷旗・タルチョ
チベット仏教の祈祷旗・タルチョがたなびく
ここでお気に入りなのが、胸突江戸屋に張り巡らされているチベット仏教の祈祷旗・タルチョだ。チベット愛好家の私にとってはこの旗だけでもたまらないのだが、今回は今までここから見ることができなかった下界の眺望もセットで見られたことがたまらなかった。
防寒装備は整えて出発したが、さすがに少し寒さを感じたので、胸突江戸屋でココアを頂く。体を温めて、いざ山頂へと再び脚を動かす。

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