京都サンガがJ1に昇格してから今年は3年目で、そろそろ選手のレベルはJ1になり、J1のチームらしくなってきたと思っていた。しかし、シーズンが開幕してみると、前半は散々であった。原大智をCFとした3トップはほとんど機能せず、守備がザル状態になって、調子が良ければ惜敗、悪ければ惨敗という試合が続いた。得点チャンスが少なく、両サイドバックが上がったときにサイドにスペースができ、そこに相手に入られてフリーでクロスを上げられて失点というパターンが何度も繰り返された。5月19日に広島に5対0で敗れたときには、最下位で残留ラインとの勝点差が7という惨状で、私もJ2への降格をほぼ覚悟した。
この危機を救ったのは、ブラジル人FWのラファエル・エリアスと言われている。彼の出現で攻撃陣が活性化し、調子に乗れていなかった原大智も得点できるようになり、マルコ・トゥーリオがアシストで大活躍するようになった。また、彼自身も後半だけで11得点をあげている。
ラファエル エリアスが救世主であったことを否定するわけではないが、もう一人、重要なプレーヤーとして平戸太貴を挙げたい。平戸は、昨シーズンから京都に加入し、パサーとしての役割を期待された。しかし、残念ながら京都のサッカーはハイプレスと運動量のサッカーで、随分と戸惑っていたようである。今季は、大敗した5月19日の広島戦の次の26日の名古屋戦から先発で出場するようになった。インサイドハーフで前線に正確なパスを供給し、決定機を演出した。彼の正確なパスがハイプレスと縦に速いサッカーと組み合わされると、京都の攻撃が厚みを増すようになった。ラファエル・エリアスの攻撃が加わるのは、7月20日の磐田戦からで、それまでにすでに連勝があったり、負けにくいチームに変容していたりしたように思える。なお、磐田戦にラファエル・エリアスの逆転ゴールで勝利を収めたころから、残留に希望が持てるようになったと私は記憶している。
今季の京都にとって、非常に重要なターニングポイントは、すでに述べた広島に大敗した試合である。私もこのときは、曺貴裁監督を解任して、サッカーの方向性を変えるべきなのではないかと思った。攻撃陣にもハイプレスを求めるのは難しいサッカーで、プレスをはがされたらたちまちピンチを招く。そして無様な大敗に当然ながらブーイングがあると予想していた。ところが、サポーターたちは、ブーイングどころか、次の試合から頑張れと選手を鼓舞したのである。このエピソードは、曺監督だけではなく選手たちも感激させたようだった。最終節の12月8日の試合の後のセレモニーにおいて曺監督からの挨拶があったが、彼は、このときのサポーターにはたいへん感謝していると述べていた。
これまでの京都サンガのJ1最長連続期間は3シーズンで、2025年シーズンはJ1の4シーズン目に入る。今後も、ハイプレスで縦に速いスリリングなサッカーを見せてくれることを期待している。
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