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安田由久が驚くべき聖書の世界をご案内します

新約聖書の世界 31 新約聖書の地理の基礎知識 16 パレスチナ 16 エルサレム 01 

2023-06-08 04:00:00 | 聖書入門 新約聖書
地中海から内陸部に入った標高800メートルの小高い丘の上にエルサレムはあります。

そしてユダヤ人が住む西エルサレムと、

アラブ人居住区である東エルサレムから成り立つています。

イエス・キリストが処刑された地でもあり、

ユダヤ教・キリスト教・イスラム教共通の聖地となっています。


1・東エルサレムは、第一次中東戦争(1948~1949年)により、

ヨルダンの支配下に置かれた地区が東エルサレムです。

1949年以前のエルサレム市域の20%を占め、

本来のエルサレムである城壁に囲まれた旧市街は東エルサレムに含まれます。

1967年の第三次中東戦争によってイスラエルに占領、

イスラエルは旧ヨルダン領の28の地方自治体をエルサレムに統合し、

エルサレムの面積は大幅に拡大していきます。

この新市域にイスラエルは大型のユダヤ人入植地を次々と建設しています。

旧市街のすぐ東にはオリーブ山があります。ここはイエス・キリストの足跡が多く、

多くのキリスト教徒が訪れ、旧約聖書のゼカリヤ書においても、最後の審判の日に神が現れ、

死者がよみがえる場所とされているため、ユダヤ人の聖地ともなっています。

旧市街の北側には、ロックフェラー博物館や、

中東における聖公会の主教座聖堂である聖ジョージ大聖堂があり、

旧市街の南側にはシオンの山(丘)があり、ダビデ王の墓やキリストにかかわる旧跡がたくさんあります。


2・旧市街はユダヤ教・イスラム教・キリスト教の聖地となっています。

嘆きの壁や聖墳墓教会、岩のドームといった各宗教の巡礼者が絶えません。

旧市街は城壁に囲まれ、東西南北に宗派ごとで四分割されています。

北東はムスリム地区、北西はキリスト教徒地区、南西はアルメニア正教徒地区、

南東はユダヤ人地区となっています。

現在の城壁はオスマン・トルコ皇帝のスレイマン1世によって建設されたもので、

城壁には北側中央にあるダマスクス門から時計回りに、

ヘロデ門、獅子門、黄金門、糞門、シオン門、ヤッフォ門、新門の八つの門があり、

ここからしか出入りができません。

19世紀に作られた新門以外はスレイマン時代より存在する門です。

嘆きの壁はユダヤ人地区の東端にあります。

嘆きの壁の上はムスリム地区に属し、神殿の丘と呼ばれ、かつてのエルサレム神殿の跡で、

ここにはイスラム教の聖地アル=アクサー・モスクやイスラーム建築の傑作とされる

岩のドームが建っています。

旧市街がヨルダン領であった時代にはユダヤ人は旧市街より追放され、

イスラエルからは限られた時期にアラブ人のみが入国することができました。

このため、イスラエルのユダヤ人は嘆きの壁を訪れることができなかったのですが、

1967年にイスラエルが旧市街を占領したことによって、

イスラエルのユダヤ人は再び聖地を訪れることが可能となったのです。

一方、イスラエルにはアラブ人のイスラム教徒が一定数存在していたため、

イスラエル統治下ではイスラム教徒が聖地を訪れることは可能となりました。

しかし、現在でもイスラエルと国交のないアラブ国家は多く、

そういった国の国民であるイスラム教徒はイスラエルに入国できないため、

エルサレムにも行くことはできません。

旧市街は「エルサレムの旧市街とその城壁群」の名で1981年に世界遺産に登録されています。

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