N3(文法分析)

「~を通して」と「~を通じて」は何が違う?|違いを解説します

「~を通して」と「~を通じて」は似ているけど、違うの??

そんな疑問を持っていませんか?

 

たのすけ
たのすけ
この記事を書いているのは、日本語教師のたのすけ(@t_tanosuke)です。以前は日本語学校で専任講師をしていましたが、現在はオンライン日本語教師として働いています。

 

「~を通して」と「~を通じて」は、学習者が学ぶ文法の本では一緒に出てきます。

なので、必ずといっていいほど、学習者から「違いは何ですか?」「どちらを使ってもいいですか?」という質問が出ます

 

「~を通して」と「~を通じて」は置き換えられる場合がほとんどなのですが、実際には微妙に違いもあって・・・

頭の整理のために、二つの違いをまとめてみました。

文法書によっては書かれていることに若干違いがあるような気もして、たのすけなりのまとめになりますので、その点はご了承くださいませ。

 

「~を通して」と「~を通じて」の違いについて知りたいなら、ぜひこの記事をご覧ください。

 

「~を通して」と「~を通じて」

「~を通して」と「~を通じて」の意味は?

「~を通して」と「~を通じて」には意味が二つあります。

  • ~を媒介・手段として。
  • ~その間ずっと。

詳しくは、「【N3文法解説】~を通じて/~を通して|用法・例文」をご覧ください。

たのすけ
たのすけ
「~を媒体・手段として」の意味で使うときに、どんな違いがあるのかを見ていきます。

 

「~を通して」と「~を通じて」は基本的に置き換え可能

この二つは、置き換え可能な場合が多いです。

もともとの意味は、以下のような違いがあります。

  • 通す:ある地点から別の地点へ物が通過する意味がある。
  • 通じる:「結ぶ」「つながる」の意味があるので、情報に使われることが多い。

 

では、もう少し細かく見ていくと、以下のように違いがあります。

  • ~を通して:意志的に行う行為に焦点が当たる。
  • ~を通じて:情報や情報手段、人、人脈などを通じて広がっていく結果に焦点が当たる。媒介や手段が、公にできないような秘密のものや、不正のもの。

 

「~を通して」と「~を通じて」の違いは?

媒介や手段によって意志的に・積極的に何かをする場合は、「~を通して」の方がよい

  • 社長への連絡は、秘書(〇を通して ×を通じて)ください
  • インターネットを(〇を通して ×を通じて)、仕事を探すつもりだ
  • 予定が決まったら、田中さん(〇を通して ×を通じて)連絡します
  • 日本の留学生活(〇を通して ×を通じて)、いろいろなことを学びたい
たのすけ
たのすけ
意志的に何かをする、積極的に何かをする表現と一緒に使われています。

 

結果に焦点が置かれ受動的な場合は、「~を通じて」の方が自然

  • Twitter(△を通して 〇を通じて)、新しいニュースを知った。
  • アプリ(△を通して 〇を通じて)、彼と出会った。
  • 韓国ドラマ(△を通して 〇を通じて)、韓国の文化を学べた。
たのすけ
たのすけ
結果が能動的なら「~を通して」がよく、受動的なら「~を通じて」が使われやすい。

 

物が通過・移動の意味の場合は、「~を通して」がよい

  • 窓(〇を通して ×を通じて)、太陽の光が部屋に入ってくる。

 

媒介や手段がネガティブの場合は、「~を通じて」の方がよい

  • 噂(×を通して 〇を通じて)、田中さんが離婚したことを知った。
たのすけ
たのすけ
ネガティブの場合とは、公にできないような秘密のものや、不正のものを指します。

 

その他の違いは?

和語が好きな人は「~を通して」を使い、漢語が好きな人は「~を通じて」を使う傾向があるようです。

「~を通じて」も「~を通して」も書き言葉ですが、漢語の「~を通じて」の方が硬い書き言葉だと考えられています。

たのすけ
たのすけ
どちらを使ってもいい場合は、話す人の好みによります。

 

学習者へは違いをどうやって説明する?

学習者へ「~を通して」と「~を通じて」の違いをどうやって説明するのか、どこまで説明するのかは、日本語教師によって意見が違うのかなと思います。

なので、ここでは、たのすけならどうするのか?をお伝えします。

基本的には、「~を通して」と「~を通じて」は置き換えOKだが、

後ろが、意志的・積極的に何かをするときは、「~を通して」、そうじゃないときは、「~を通じて」を使った方が自然である。

  • 日本の留学生活を通して、いろいろなことを学びたい
  • 日本の留学生活を通じて、いろいろなことを学べた。

 

このように、学習者へは基本的に置き換えができることと、簡単にココが違うよ!ということしか説明しません

理由としては、私たち日本人も「~を通して」と「~を通じて」を明確に使い分けているわけではないと思うからです。

なので、学習者の余計な混乱を招かないように、必要最低限の部分を説明すればいいと思います。

 

それでも、学習者がもっと詳しく知りたい!のであれば、授業中ではなく休み時間や授業後などの時間に詳しく説明すればいいのかな、と思っています。

たのすけ
たのすけ
あくまで、たのすけの考えです・・・!

 

【まとめ】「~を通して」と「~を通じて」は置き換え可能な場合が多い!ポイントだけ押さえよう!

「~を通して」と「~を通じて」の違いについて紹介しました。

基本的には、「~を通して」と「~を通じて」は置き換え可能だと思ってもらっていいと思います。

学習者向けの文法書では、この違いについて明確に明記しているものはないと思います。

 

ですが、微妙な違いもあるので、知識として覚えておくといいかと思います。

  • 媒介や手段によって意志的に・積極的に何かをする場合は、「~を通して」の方がよい
  • 結果に焦点が置かれ受動的な場合は、「~を通じて」の方が自然
  • 物が通過・移動の意味の場合は、「~を通して」がよい。
  • 媒介や手段がネガティブの場合は、「~を通じて」の方がよい。
  • 「~を通して」は「~を通じて」よりも、さらに硬い書き言葉。
たのすけ
たのすけ
とりあえず、下線部を押さえておけばOKだと思います。

 

以上、たのすけでした。

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