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ステルス艦とは?

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少しでも敵の戦力の上を目指し開発が続く軍事技術は日々進歩を続ける事を宿命づけられており、新たな技術やコンセプトを体現させた各種の兵器が世界各国で実験の段階を経て実用化を果たしてきている。
そうしたものの一例として主に銃火器等に用いられている事が多い昨今の概念としては、モジュラー化が挙げられ、ひとつの根幹を成す本体に各種の銃身や装備品を取り換える事で、複数の用途に対応させる手法が一般化してきている。
只こうしたモジュラー化という概念自体は、銃火器に留まらず戦闘車輛等にも広く拡大してきており、ひとつのベース車両から戦車、歩兵戦闘車、装甲兵員輸送車などを生み出す生産効率の向上が謳われている。

そんな軍事技術の中にあっても、とりわけ普及の方向にあるのがステルス化だと思われ、戦闘機を始め各種航空機では既に常識となり、且つ水上戦闘艦においてもステルス性能を意識した艦艇が主流になりつつある。
究極のステルス兵器と言えば水中に潜む潜水艦が第二次世界大戦の頃から実用化されてきた訳だが、そこから1世紀近い時間を経て、水上戦闘艦にもそのトレンドは普及の方向へと進んできている。
ここではそんな一般的にはステルス艦と呼称される軍艦、中でも水上戦闘艦について、主要で著名なものについていくつかの実例を挙げて紹介をしていきたいと思う。

目次

水上戦闘艦におけるステルス艦の起こり

そもそもステルス化が軍用の航空機や艦艇に求められる要件となった最大の理由は、探知・索敵能力を大幅に向上させた敵側のレーダーからの捕捉を如何に逃れるか、と言う命題への回答として進められたものと言えるだろう。

敵のレーダー設備が発するそのレーダー波を受けても、それを如何に実体の大きさより少なく・小さくするのかと言う事が追求され、謂わゆるRCS(レーダー反射断面積)を低減させる事を目的としたものがステルス化である。
航空機の場合、世界で初めて量産化された機体はアメリカの当時のロッキード社(現ロッキード・マーチン社)が開発した対地攻撃用のF-117ナイトホークであり、1983年から実戦配備され、総数で64機が製造された。
これに対し水上戦闘艦の場合は、明らかなステルス艦の元祖がなんであるのかと言う点についても諸説があり、それは航空機に比べて遥かに大きな艦艇の場合、どの程度のRCS(レーダー反射断面積)を低減を果たしたのかが判断し辛い事が大きいようだ。

水上戦闘艦においてRCS(レーダー反射断面積)を低減させる上では、従来多くの兵装が艦上に露出していた事を改め、VLS(垂直発射管)を導入した事や、艦橋構造物や艦体そのものに傾斜を施こす工夫が行われた。
これらの点、VLS(垂直発射管)の導入、艦橋構造物や艦体そのものの傾斜が盛り込まれた艦艇としては、旧ソ連時代に建造されたキーロフ級ミサイル巡洋艦をその始めであると見做す説も多く、アメリカ海軍の艦艇でない事は以外にも感じられる。

キーロフ級ミサイル巡洋艦は1980年から4隻が建造され、今も2隻が現役と見られるが、基準排水量で24,000トンを超える現時点でも世界最大の水上戦闘艦だが、NATO側が初めて同艦をデンマーク海峡でレーダーで捕捉した際には、2,000トン級の小型艦と誤認したとも言われている。
但し所謂第5世代戦闘機と称される機体の場合、敵のレーダーに探知される大きさはゴルフ・ボール大等の表現が散見されるが、これらより遥かに大きな水上戦闘艦の場合、小さく感じられる事はあっても探知自体を逃れる事は難しいと思われる。

ステルス艦の代表例1 アメリカのズムウォルト級ミサイル駆逐艦

ステルス艦の世界的な代表例と言えば、アメリカ海軍が建造したズムウォルト級ミサイル駆逐艦が正にその代名詞的存在であると言え、今の最新の各国のステルス艦に互しても、その先進的で近未来的な外観は存在感がある。
ズムウォルト級ミサイル駆逐艦は、満載排水量が14,797トン、全長が183.0メートル、全幅が24.5メートル、吃水が8.4メートルの艦体を備え、機関構成はロールス・ロイス社社製ガス・タービン発電機MT30を2基、RR450を2基搭載する統合電気推進である。

これによりズムウォルト級ミサイル駆逐艦は、最大出力92,800馬力で最大速度30.3ノットを発揮可能で、主兵装は62口径155mmの単装先進砲を2基、Mk.57型VLS・20セルを4基で計80基搭載し、航空機は中型回転翼機のSH-60シーホークなら2機を収納できる。
こうした中でも主砲である62口径155mmの単装先進砲2基は、未使用時にはステルス性を高める為の覆いが施されるなど注目の兵装ではあったが、目玉のGPS若しくはINSの誘導で最大140km弱の射程を持つ長距離対地攻撃砲弾の開発が難航、結局コスト面もあり実現しなかった。

そもそもズムウォルト級ミサイル駆逐艦自体がこうした強力な対地攻撃能力を有する水上戦闘艦として計画されたものの、建造費用の高騰(1隻約45億ドル・2024年2月時点の日本円換算で約6,700億円)もあり僅か3隻の建造で打ち切られた。
アメリカ海軍ではこのズムウォルト級ミサイル駆逐艦の開発計画の失敗から、以後の新型兵器の開発においては新機軸の投入数を抑制すると表明しており、コンセプト・性能ともに計画を満たせずに終えた苦い事例となった。

ステルス艦の代表例2 フランスのラファイエット級フリゲート

アメリカのズムウォルト級ミサイル駆逐艦が鳴り物入りで建造が進められた末に、最終的には大失敗なステルス艦となった事に比して、フランスのラファイエット級フリゲートは複数国への輸出も成功させている艦艇である。
ラファイエット級フリゲートは、満載排水量が3,810トン、全長が124.2メートル、全幅が15.4メートル、吃水が4.8メートルの艦体を備え、 機関構成はかつてのSEMTピルスティク社の12PA6V280STC ディーゼル機関を4基積むCODAD方式を採用している。

これによりラファイエット級フリゲートは、最大出力21,107馬力で最大速度25.0ノットを発揮可能で、主兵装には55口径100mmの単装砲を1基、個艦防空用のクロタルCN2対空ミサイル・システム8連装発射機を1基、エグゾセMM40艦対艦ミサイルの4連装発射機を2基等搭載している。
またVLS(垂直発射管)や短魚雷発射管を搭載可能なスペースも担保されており、1996年から5隻が就役中のラファイエット級フリゲートは、必要に応じて近代化改修と併せ、兵装の強化が行われる可能性もある。
ラファイエット級フリゲートは、 中華民国海軍で康定級として1996年から6隻、サウジアラビア海軍でアル・リヤド級として2003年から3隻、シンガポール海軍でフォーミダブル級として6隻が就役するなど、輸出でも成功を収めている。

ステルス艦の代表例3 日本のもがみ型護衛艦

今回ステルス艦の最後に紹介するのは日本の海上自衛隊の最新鋭の護衛艦であるもがみ型で、三菱重工業社が2017年に行われた選考で提案され採用された艦艇で、海外の海軍で言うところのフリゲートに相当する規模の護衛艦である。
もがみ型護衛艦は、満載排水量が5,500トン、全長が133.0メートル、全幅が16.3メートル、吃水4.7メートルの艦体を備え、機関構成はロールス・ロイス社製のMT30ガス・タービン機関1基とMAN社製12V28/33D STCディーゼル機関2基のCODAG方式を採用している。

これによりもがみ型護衛艦は、最大出力70,000馬力で最大速度30.0ノットを発揮可能で、主兵装は62口径5インチ単装砲を1基、Mk.41VLSが16セル、17式艦対艦ミサイルの4連装発射筒2基、324mm3連装短魚雷発射管2基等を搭載している。
もがみ型護衛艦は海上自衛隊の艦艇として初となるFFMという艦種記号を付与されており、これはフリゲートと言う艦の規模と、多用途及び対機雷戦闘迄を包括した艦艇である事を表すものと説明されている。

その為もがみ型護衛艦は従来はもっと小型の掃海艇が担ってきた、機雷の除去と敷設の両方の機能を行える多用途な水上戦闘艦となっており、12隻の建造が確定、以後は更に若干の大型化を図った新型FFMの建造が計画されている。
新型FFMはもがみ型護衛艦よりも大型化する事に比例して、主兵装のMk.41VLSも倍の32セルを装備すると目されており、現時点ではもがみ型と同様に12隻を1年に2隻程のサイクルで建造する計画である。

ステルス艦の実戦参加は起こるのか

これまで紹介してきたように昨今の軍用の新造艦艇は特に水上戦闘艦の場合、多かれ少なかれステルス性を意識した設計となっている事は間違いなく、日本でも現行のもがみ型やそれに続く新型FFMが数の上での主力となって行く予定だ。しかしある程度の規模の海軍力を持つ国同士の水上戦闘艦による戦闘は、1982年のイギリスとアルゼンチンによるフォークランド紛争以後は生起しておらず、昨今のステルス性を加えた水上戦闘艦がどの程度効力を発揮するのかも未知数に思える。

今のロシア・ウクライナ戦争では非対称戦で地対艦他艦ミサイルや無人水上艇を駆使した戦いで、一定の成果をウクライナ側が挙げたと言えそうだが、ここでの戦訓が今後どのように各国の水上戦闘艦に反映されるのかも注目だろう。

※画像はイメージです

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