「君の書いた技術文書はわかりやすい」と言われる技術文書の書き方(その31)

「重要なことを理解する」に関する解説内容のうち,今回は,「技術文書を書く目的」「『内容が伝わる』と『内容が“明確に”伝わる』の違い」および「内容が明確に伝わる技術文書」ついて解説します。

①技術文書=コミュニケーションの手段
②技術文書を書く目的
③「内容が伝わる」と「内容が“明確に”伝わる」の違い
④内容が明確に伝わる技術文書
⑤内容が明確に伝わる技術文書を書く理由

技術文書を書く目的
技術文書を書く目的とは,技術文書の書き手からその読み手に内容を伝達することです。内容とは,書き手が読み手に伝えることです。例えば,仕事の成果,会議や打ち合わせで説明すること,提案や企画の内容,メールで伝えることなどです。書き手はこれらのことを読み手に伝達するため(伝えるため)に技術文書を書きます。

「内容が伝わる」と「内容が“明確に”伝わる」の違い
「内容が明確に伝わる技術文書」を書くことで技術文書を書く目的が達成できます。ここでは,「内容が伝わる」「内容が“明確に”伝わる」の違いを解説します。以下の2つの文章を比べてください。

Ⅰ:製品Aと製品Bと製品Cの比較の結果,製品Aを選んだ。3つの中で製品Aが最もよかったからだ。
Ⅱ:製品Aと製品Bと製品Cの比較の結果,製品Aを選んだ。3つの中で,製品Aは形がシンプルで色も美しくかつ最も使いやすかったからだ。

Ⅰの文章が,「『内容が伝わる』文章」です。書き手がAを選んだこと,すなわち,内容は伝わります。しかし,Aを選んだ具体的な根拠が書いてありません。そのため,この文章を読んだ人は,「何でAを選んだのだろうか,自分だったらBを選ぶと思う。他の人もBあるいはCを選ぶと思う」とこの文章に疑問を持つかもしれません。これでは,読み手がAを選んだこと(内容)が明確に伝わりません。「内容が伝わる」とは,内容がぼんやりと伝わることです。

Ⅱの文章が,「『内容が“明確に”伝わる』文章」です。書き手がAを選んだこととAを選んだ具体的な根拠が書いてあります。このような文章であれば,「なるほど,書き手がAを選んだ根拠がわかった。自分だったらBを選ぶと思う。しかし,書き手は自分と違った視点でAを選んだのか」と思いAを選んだこと(内容)が明確に伝わります。「内容が明確に伝わる」とは,内容がはっきりと伝わることです。

内容が明確に伝わる技術文書
「内容が明確に伝わる技術文書」とは,「内容がはっきりと伝わる技術文書」と言い換えることができます。

次回に続きます。

【参考文献】
森谷仁著,「マンガでわかる技術文書の書き方」,オーム社,令和4年3月25日

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