イースターの日付を計算する~Excel計算式・日付の決め方

イースターの日付は毎年変わるので、どうやって決まるのか改めて詳しく調べてみた。イースターとはイエス・キリストの復活を祝う日で、復活祭ともいう。

簡明に言えば、「イースターは春分の日の後の、最初の満月の次の日曜日」である。しかし、春分の日が満月だったらどうなるのか、満月の日が日曜日だったらどうなるのか、とか、細かいことが気になる。

イースターの日付の決め方

イースターはキリストが磔にされて亡くなった3日後に復活したことにちなむ祝祭日である。

西方教会(カトリック、プロテスタント)、東方教会(ギリシャ正教)、その他何種類かの日付の決め方がある。その中でも、西ヨーロッパ、アメリカ(日本も含め)でメジャーな西方教会の定義を見てみる。

西暦325年のニカイア公会議で「春分の日の後の、最初の満月の次の日曜日」と決められたと言う。

春分の日・満月について

日付を決める最初のポイントは、春分の日である。まず重要なことはイースターを決める際の春分の日は天文学的な春分の日ではないということ。実際の春分の日は3月20日になったりするが、イースターを決める春分の日は3月21日と決められている。

キリスト教世界においても、ユダヤ暦やユリウス暦、その後のグレゴリオ暦と様々な暦が使われてきた。春分の日は教会が3月21日に統一した。

満月の日は教会暦で14日を指しており、月の満ち欠けはメトン周期(19年周期)で計算する。

メトン周期とは太陽年19年で一巡して元に戻るという考え方で、大の月(30日)が125個で小の月(29日)が110個で、19年では30×125+29×110=6940日となり、1年は約365.2632年。簡単に言えば、19年で月の満ち欠けと日付が一致するということだ。

また、28年周期で日付と曜日がそろうので、19年×28年=532年で一巡して元に戻る。ここに400年周期のうるう年の計算を加味する。

補足すると・・・

・春分の日が満月だったら、次の日曜日がイースター

・(春分の日以後の)満月が日曜日だったら、次の日曜日がイースター

・つまり「イースターは、春分の日以後(春分の日を含む)の最初の満月の、次の日曜日」となる

・春分の日が3月21日と決まっているので、イースターは最も早くて3月22日。遅い時は4月25日になる。

計算式

イースターの日付を計算するOudinのアルゴリズムがあり、これを使って計算する。下記は、Excelなど表計算ソフトで計算するように表記した。(国立天文台の暦Wiki)を参考にした。

セルのB1に西暦年を入れて、各計算式を順にコピペしていくと、セルB9で月、セルB10に日が計算される。 Excelの計算式はイコール(=)から始まるので、イコールからコピーしてください。

イースターの日付をExcelで計算する(Oudin’s Algorithm, 1940)

B1 =2023 ←西暦年
B2 =MOD(B1,19)
B3 =TRUNC(B1/100,0)
B4 =TRUNC((B3-17)/25,0)
B5 =MOD((19*B2+15+B3-TRUNC(B3/4,0)-TRUNC((B3-B4)/3,0)),30)
B6 =B5-TRUNC(B5/28,0)*(1-(TRUNC(29/(B5+1),0)*TRUNC((21-B2)/11,0)))
B7 =MOD((B1+TRUNC(B1/4,0)-B3+TRUNC(B3/4,0)+B6+2),7)
B8 =B6-B7
B9 =3+TRUNC((B8+40)/44,0) ←月
B10 =B8+28-31*TRUNC(B9/4,0) ←日

順にコピペしていけばよいのだが、一発で計算したいという方もいるかもしれない。そこで、これらを代入して式を一本にしたものを次に掲載する。最初の計算式が、セルB1に入力した西暦年に対応するイースターの月、次の式が日を表示する。

セルB1(西暦年)に対応するイースターの月:

=(3+TRUNC(((MOD((19*MOD(B1,19)+15+TRUNC(B1/100,0)-TRUNC(TRUNC(B1/100,0)/4,0)-TRUNC((TRUNC(B1/100,0)-TRUNC((TRUNC(B1/100,0)-17)/25,0))/3,0)),30)-TRUNC(MOD((19*MOD(B1,19)+15+TRUNC(B1/100,0)-TRUNC(TRUNC(B1/100,0)/4,0)-TRUNC((TRUNC(B1/100,0)-TRUNC((TRUNC(B1/100,0)-17)/25,0))/3,0)),30)/28,0)*(1-(TRUNC(29/(MOD((19*MOD(B1,19)+15+TRUNC(B1/100,0)-TRUNC(TRUNC(B1/100,0)/4,0)-TRUNC((TRUNC(B1/100,0)-TRUNC((TRUNC(B1/100,0)-17)/25,0))/3,0)),30)+1),0)*TRUNC((21-MOD(B1,19))/11,0)))-MOD((B1+TRUNC(B1/4,0)-TRUNC(B1/100,0)+TRUNC(TRUNC(B1/100,0)/4,0)+MOD((19*MOD(B1,19)+15+TRUNC(B1/100,0)-TRUNC(TRUNC(B1/100,0)/4,0)-TRUNC((TRUNC(B1/100,0)-TRUNC((TRUNC(B1/100,0)-17)/25,0))/3,0)),30)-TRUNC(MOD((19*MOD(B1,19)+15+TRUNC(B1/100,0)-TRUNC(TRUNC(B1/100,0)/4,0)-TRUNC((TRUNC(B1/100,0)-TRUNC((TRUNC(B1/100,0)-17)/25,0))/3,0)),30)/28,0)*(1-(TRUNC(29/(MOD((19*MOD(B1,19)+15+TRUNC(B1/100,0)-TRUNC(TRUNC(B1/100,0)/4,0)-TRUNC((TRUNC(B1/100,0)-TRUNC((TRUNC(B1/100,0)-17)/25,0))/3,0)),30)+1),0)*TRUNC((21-MOD(B1,19))/11,0)))+2),7))+40)/44,0))

セルB1(西暦年)に対応するイースターの日:

=(MOD((19*MOD(B1,19)+15+TRUNC(B1/100,0)-TRUNC(TRUNC(B1/100,0)/4,0)-TRUNC((TRUNC(B1/100,0)-TRUNC((TRUNC(B1/100,0)-17)/25,0))/3,0)),30)-TRUNC(MOD((19*MOD(B1,19)+15+TRUNC(B1/100,0)-TRUNC(TRUNC(B1/100,0)/4,0)-TRUNC((TRUNC(B1/100,0)-TRUNC((TRUNC(B1/100,0)-17)/25,0))/3,0)),30)/28,0)*(1-(TRUNC(29/(MOD((19*MOD(B1,19)+15+TRUNC(B1/100,0)-TRUNC(TRUNC(B1/100,0)/4,0)-TRUNC((TRUNC(B1/100,0)-TRUNC((TRUNC(B1/100,0)-17)/25,0))/3,0)),30)+1),0)*TRUNC((21-MOD(B1,19))/11,0)))-MOD((B1+TRUNC(B1/4,0)-TRUNC(B1/100,0)+TRUNC(TRUNC(B1/100,0)/4,0)+MOD((19*MOD(B1,19)+15+TRUNC(B1/100,0)-TRUNC(TRUNC(B1/100,0)/4,0)-TRUNC((TRUNC(B1/100,0)-TRUNC((TRUNC(B1/100,0)-17)/25,0))/3,0)),30)-TRUNC(MOD((19*MOD(B1,19)+15+TRUNC(B1/100,0)-TRUNC(TRUNC(B1/100,0)/4,0)-TRUNC((TRUNC(B1/100,0)-TRUNC((TRUNC(B1/100,0)-17)/25,0))/3,0)),30)/28,0)*(1-(TRUNC(29/(MOD((19*MOD(B1,19)+15+TRUNC(B1/100,0)-TRUNC(TRUNC(B1/100,0)/4,0)-TRUNC((TRUNC(B1/100,0)-TRUNC((TRUNC(B1/100,0)-17)/25,0))/3,0)),30)+1),0)*TRUNC((21-MOD(B1,19))/11,0)))+2),7))+28-31*TRUNC((3+TRUNC(((MOD((19*MOD(B1,19)+15+TRUNC(B1/100,0)-TRUNC(TRUNC(B1/100,0)/4,0)-TRUNC((TRUNC(B1/100,0)-TRUNC((TRUNC(B1/100,0)-17)/25,0))/3,0)),30)-TRUNC(MOD((19*MOD(B1,19)+15+TRUNC(B1/100,0)-TRUNC(TRUNC(B1/100,0)/4,0)-TRUNC((TRUNC(B1/100,0)-TRUNC((TRUNC(B1/100,0)-17)/25,0))/3,0)),30)/28,0)*(1-(TRUNC(29/(MOD((19*MOD(B1,19)+15+TRUNC(B1/100,0)-TRUNC(TRUNC(B1/100,0)/4,0)-TRUNC((TRUNC(B1/100,0)-TRUNC((TRUNC(B1/100,0)-17)/25,0))/3,0)),30)+1),0)*TRUNC((21-MOD(B1,19))/11,0)))-MOD((B1+TRUNC(B1/4,0)-TRUNC(B1/100,0)+TRUNC(TRUNC(B1/100,0)/4,0)+MOD((19*MOD(B1,19)+15+TRUNC(B1/100,0)-TRUNC(TRUNC(B1/100,0)/4,0)-TRUNC((TRUNC(B1/100,0)-TRUNC((TRUNC(B1/100,0)-17)/25,0))/3,0)),30)-TRUNC(MOD((19*MOD(B1,19)+15+TRUNC(B1/100,0)-TRUNC(TRUNC(B1/100,0)/4,0)-TRUNC((TRUNC(B1/100,0)-TRUNC((TRUNC(B1/100,0)-17)/25,0))/3,0)),30)/28,0)*(1-(TRUNC(29/(MOD((19*MOD(B1,19)+15+TRUNC(B1/100,0)-TRUNC(TRUNC(B1/100,0)/4,0)-TRUNC((TRUNC(B1/100,0)-TRUNC((TRUNC(B1/100,0)-17)/25,0))/3,0)),30)+1),0)*TRUNC((21-MOD(B1,19))/11,0)))+2),7))+40)/44,0))/4,0)

計算できましたか?
それぞれ、1個ずつの計算式なので、改行を入れないでコピペする。

イースターの日付の計算結果

一覧にした日付を表にした。

西暦年
1960 4 17
1961 4 2
1962 4 22
1963 4 14
1964 3 29
1965 4 18
1966 4 10
1967 3 26
1968 4 14
1969 4 6
1970 3 29
1971 4 11
1972 4 2
1973 4 22
1974 4 14
1975 3 30
1976 4 18
1977 4 10
1978 3 26
1979 4 15
1980 4 6
1981 4 19
1982 4 11
1983 4 3
1984 4 22
1985 4 7
1986 3 30
1987 4 19
1988 4 3
1989 3 26
1990 4 15
1991 3 31
1992 4 19
1993 4 11
1994 4 3
1995 4 16
1996 4 7
1997 3 30
1998 4 12
1999 4 4
2000 4 23
2001 4 15
2002 3 31
2003 4 20
2004 4 11
2005 3 27
2006 4 16
2007 4 8
2008 3 23
2009 4 12
2010 4 4
2011 4 24
2012 4 8
2013 3 31
2014 4 20
2015 4 5
2016 3 27
2017 4 16
2018 4 1
2019 4 21
2020 4 12
2021 4 4
2022 4 17
2023 4 9
2024 3 31
2025 4 20
2026 4 5
2027 3 28
2028 4 16
2029 4 1
2030 4 21
2031 4 13
2032 3 28
2033 4 17
2034 4 9
2035 3 25
2036 4 13
2037 4 5
2038 4 25
2039 4 10
2040 4 1
2041 4 21
2042 4 6
2043 3 29
2044 4 17
2045 4 9
2046 3 25
2047 4 14
2048 4 5
2049 4 18
2050 4 10

念のためにナザレン教団のホームページに掲載されているイースターの日付一覧と照合してみたがすべて一致していた。

この計算式でどの年でもイースターの日付を計算することはできる。とは言うものの、ユリウス暦からグレゴリオ暦への移行は国によって異なり、イタリア、スペイン、ポルトガルなどカトリックの国は1582年10月15日に採用した。

つまりこの方式で計算できるのは歴史的には1583年以降となる。プロテスタントの国はもっと後になってグレゴリオ暦を導入している。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください