豪州帰りの「えりー」日記

メルボルンでの学生ワーホリ経験をシニカルに慎ましくご紹介。その経験を映像業界で活かしたり殺したりな趣味ブログ。

小説れびゅー(13)/恩田陸『黒と茶の幻想』

2020-09-12 23:11:00 | 小説れびゅー

夜が涼しくなりまして遂に窓を閉めて寝るようになりました。夏らしいこと(夏らしいことって何だ)を殆どしないまま夏がいよいよ終わります。そして夏休みの課題を先延ばしたままにするようにブログの更新も先延ばしにしたままになるのでした。(お久しぶりです


今回は恩田陸『茶と黒の幻想』になります。上下800ページ程のミステリで、4人の登場人物が4章それぞれで語り部になって展開される「過去」をテーマにした作品です。


・「それでは、皆様、これより我々の『非日常の旅』を始めたいと思いまする。あ、これ、口上ね。やっぱりこれがないと気分が出ない」(上巻p.34より引用)


大学時代の同級生たちが集まり離島で非日常を過ごす。旅の発起人はそんな非日常を非日常たらしめるために、「過去」にまつわる謎をそれぞれ出し合ってみんなで解決しながら過ごそうと宣言する。その「過去」には忘れたくても忘れられない同級生の存在があって


前述した通り4人の登場人物がそれぞれ語り部となって全4章のストーリーを展開します。それぞれの目線や記憶からそれぞれの仕草や過去を掘り返したり紐解いたりするのは読んでいる方までもくすぐったい気持ちになります。


また「過去」にまつわる謎解きに関してはそれぞれの個性から生まれるであろう推理が良く出来ていて、陳腐な表現ですが親しい友人と飲み会で語り合うような打ち解けていて許されている空気感が伝わってきます。要するに何でも言える関係だからこそというようなテンポで会話が繰り広げられます。


旅のテーマになっている通り「非日常」をこれでもかと感じさせてくれるような作品です。

それでは!



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