眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

稲妻対局室

2024-05-08 02:57:00 | この後も名人戦
「大変なことが起きました。落雷の影響による停電でしょうか。たった今、対局室の明かりが消えていました。タブレットの光によって辛うじて様子がわかるほどでしょうか。先生、このままでは対局の継続が危ぶまれますでしょうか。もしも回復しない場合は、対局延期になってしまうのでは?」

「何をおっしゃる。そんなおかしなことにはならないですよ、田辺さん」

「そうでしょうか」

「説明しますと、棋士というのは誰しも脳内将棋盤といって頭の中にちゃんと鮮明な局面が映ってるわけなんです。ですから、たとえ部屋の中が真っ暗だろうが、特に何も問題はないわけです」

「これは大変失礼しました。取り乱してしまいました」

「正着は指が指し示してくれますし、いざとなれば符号を告げることもできますから。むしろ、これくらいでちょうどいいとさえ言えます」

「ムードがあって、これはこれで素敵にも思えてきました」

「万一回復しないとしても、何の心配もありません」

「素敵な夜戦になりそうですね」

「そういうことです」

「この後も、名人戦生中継をお楽しみください」








コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 最後の笛 | トップ | みんなのおやつ »

コメントを投稿