「ペン1本も置いてはならない」
すべての堕落はそんなところから始まるからだ。
最初は軽い気持ちで置いてしまう。実際、いつでも動かすことは可能なはずだ。しかし、一旦緩み始めた行いはほとんど制御不可能だ。人間の仕様とは、滑稽なほど愚かに作られているものだ。
「敵が攻めてきたぞ!」
あなたが血相を変えて飛び込んできた。
その時、私の戦闘機の上は、あり得ないほどに余計な物であふれていた。鉛筆、ノート、靴下、パンツ、お菓子、トートバッグ、小銭入れ、乾電池、サプリメント……。
「だから言ったでしょう」
あなたは言わんこっちゃないという顔で戦闘機を見上げている。
これでは、すぐにコックピットに入ることは困難だ。
こんな時が来るなんて夢にも思わなかった。来てほしくもないし、来てはならないのだ。何かの間違いであるべきだ。
「何この縫いぐるみは?」
「お気に入りのだけど」
飾るものではなく捨てるには捨てられない。巡り巡って戦闘機の上にたどり着いたのだった。
「敵が迫っているのよ!」
そう言うあなたの顔には恐怖が見えない。
これはフェイク・ニュースではないのか?
「さあ、早く片づけなさい!」
そう。まさにそれがあなたの目的だ。